君を殺してよかった 第10回GA文庫大賞前期 第一次落ち 評価シートとあらすじ | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 まずはGA文庫で評価シートもらえた分から転載していこっかなー。

 評価シートの内容、ちょっと写してみますね。

 

評価シート

 

作品名 君を殺してよかった

ペンネーム 篠渕暗渠

 

以下5段階評価

 

設定について 3

キャラクター 3

ストーリー 3

作品構成力 2

文章力・表現力 2

 

あなたの作品ランクD 必要な要素が不足し、読者にとって魅力的な作品になっていません。

 

総評

 

主人公である灯人の安定しない精神状態がにじみ出ているようで鬼気迫る作品でした。シスコンとブラコンの行き過ぎた想いという導入から、霞のかかったような灯人の彷徨う世界、飛花が隠していた衝撃の真実とインパクトのある内容になっていたと思います。その精神的な世界を表現するのには十分成功していると思いますが、長編小説としてはある程度読者が受け入れやすい文章、構成にする必要があります。小説、特にエンターテイメント小説の基本は読みやすさと思って意識してみましょう。ストーリーの流れはわかりますが、作品の目的・テーマとなるところはあまり伝わってきませんでした。この作品で読者に伝えたかったことは何なのか、明確に読者に提示するようにしましょう。主人公である灯人が能動的な行動をあまりしておらず、物語自体も受け身に感がられるためかもしれません。主人公はなるべく能動的に描くようにしてみましょう。エキセントリックでショッキングなシーンは十分に描けていますので、長編としての構成や小説としての読みやすさ、テーマが伸びれば楽しみな作品だと思います。

 

 これはライトノベル作法研究所というサイトに投稿して、一番評判がよかった『錆びた赤色』という作品を、投稿できるくらいの長さに引き延ばした作品ですね。多分、投稿した中でも一番評価はよかったんじゃないでしょうか(それでもまあランクD、第一次落ちだったわけだが……)。多少は総評で褒められるポイントもあった。的な。

 

 んで、小説投稿する時には、ネタバレ込みで全体を表現したあらすじを書くんですね。それも以下に貼っときます。

 これから毎日1章ずつ小説本体を投稿していこうと思うので、万が一小説そのものを楽しみたいという人がいるとしたら、ネタバレですので読むのはやめておいてください。

 

 日常生活を送るのに困難が生じるくらいに悪夢に苦しめられる廻里灯人。精神病院に収容されている彼は苦しみのあまり生命を絶とうと暴風雨吹き荒れる屋上へと向かい、そこで正体不明の影の怒りの声に晒される。灯人は悪夢を辿る事で茫洋としている記憶を取り戻そうとする。
 灯人は度を越したシスコンであり、毎朝妹の鳴希から受けるキスにも気付かないフリをしている。彼には鳴希のいない高校生活に興味がなく、唯一の友人の熾宮飛花と話した事しか記憶に残らない。灯人が高校から帰宅すると、居間の壁は両親の身体をミキサーでペーストにした肉片で塗り潰されており、鳴希は部屋の中央で首を吊っていた。
 以降、妹の死を受け容れられず記憶が混濁した灯人は、精神病院で日毎移り変わる悪夢に苦しめられる事になる。
 鳴希と二人きりの引き篭もり生活を送る夢では、やがて鳴希も灯人、全人類も得体の知れない粘液と化し、混ざり合う。
 魔法少女になった鳴希と共に、ビーム砲を放つ影と戦う事になる夢では、結局宇宙人フィクスに騙され、世界滅亡を招くウイルスの生成に力を貸す事になる。
 殺人鬼・人吊り男爵との戦いでは、灯人、鳴希、飛花、教師の織衣恵でチームを組んで挑むが、次々と返り討ちになり、灯人も殺される。
 他の様々な夢でも最後には鳴希を生命を落としたり、彼女の死が暗示されたりする。
 夢の中ですら鳴希の死を否定し切れない灯人は、最後には自ら全身を刻むミキサーに飛び込み現実逃避を終了させる。
 場面は屋上に戻る。全ての記憶を取り戻した灯人は、靄の正体飛花と対峙し、自殺を敢行しようとする。しかし、背後から飛花にバットで襲い掛かられ重傷を追い、自殺は失敗する。
 飛花は自分の人生を振り返る。妄想が激しく灯人が初めてにして唯一の友達だった。飛花はやがて灯人が溺愛する鳴希と入れ替わりたいという異常な妄想を抱く。
 連続猟奇殺人集団エンドロールが灯人の両親を殺害した日、現場で震えていた鳴希を自殺に追い込んだのは飛花だった。
 飛花に介護されるかのような入院生活を続ける灯人は、エンドロール主犯格逮捕のニュースを見る。動揺を見せる飛花に半ば勘で鳴希殺しについて問うと、彼女はその犯行を認めた。
 自殺する気力も飛花を糾弾する激情もない灯人は、ただ飛花と二人で今の生活の破綻、世界の終わりを待ち続ける。

 

 この作品はですね、確か一番の元ネタになったのは、タオルケットをもう一度というフリーゲームシリーズの、笑う、わらわぅっていう作品でした。

 笑う、わらわぅって作品は、わらわぅって女の子が異様な世界を旅していくっていうRPGなんですが、オチとして、実際のわらわぅは寝たきりで動けないっていう結末なんですね。で、お母さんが寝たきりのわらわぅに物語を聞かせてくれるんだと。でも、それはお母さんが繰り返して聞かせる内に擦り切れてボロボロになっていく、と。わらわぅはどこにも行けない、みたいな。

 結構救いのない作品だったんですが、この現実は終わっていて、その現実逃避のために様々に夢見る主人公という構造を魅力的に感じまして、自分が書いた本作でも、妹が死んだという事実から延々と夢を見ることで逃れる主人公という構図になっています。

 でも、現実には歪んだ愛ゆえに妹を見殺しにするに至った幼馴染が待っているという感じですね。

 報われない物語ですね。でも現実に報われないからこそ、現実逃避というのは楽しいし、人は妄想に遊ぶんじゃないか? と思います。

 現実の絶望こそが妄想の始まりではないでしょうか? そして、妄想というのは現実にはありえないことだけど、本当に無意味なことなんでしょうか? 本作は散々主人公が現実から逃げ回り、しかし逃げ切れないという作品です。

 えー、今晩から毎日1章ずつ投稿していきます。

 この作品、書いたの2年前ですね。で、去年の賞の前期に応募した、って感じみたいです。