君の瞳の中。 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 君の瞳の中。

 大人しい無口な○○と勝ち気な××。
 片目に眼帯をして車椅子の××と、そんな××を絶対に守るという○○。
 ××は二人いる。
 神と車椅子。
 神の傀儡。
 神は車椅子を殺そうとする。車椅子は死にたいと言う。
 魔法世界?
 現実では××を庇って○○は死んでおり、××は植物状態になっている。
 ○○のいない世界なら、××は死にたい。
 ○○の生命を犠牲にしてしまった、××は自責の念を堪え切れない。
 そんな××の中で現実の○○と混成した、彼女のイメージの中の偽物の○○が、一人で戦いを挑む。
「ただし、偽物よりも本物の方が、彼女を好きな気持ちが強いだなんて、そんな風に俺を見くびらない方がいい。オリジナルなんかより、ずっとずっと、愛してるさ」
 現実の回想と脳内の世界の逃避行。
 車椅子の××は苛められる。むしろ殺されることを望む。
 ××の中で○○は、決して自らの意志を曲げない格好良い姿に見えていた。
「死にたい、死にたい……死にたいの。死にたいのよ。どうして私を好きなのに、私を殺してくれないの? どうして私を楽にしてくれないの?」
「俺はお前を愛しているから、一生お前を生かし続ける。
 生きるのが苦痛だと言うのなら、死ぬまで苦しめ。その苦しみが俺の愛だよ」