先週末にハイスクールのバスケットボールトーナメントを観戦してきました。今の季節アメリカではNBAのプレイオフ(ファイナル)を除いてはオフシーズンという感覚ですが、正確には、プレ・プレシーズンみたいな時期でもあります。


高校生や大学生のバスケットは、幾ら強いチームでも3月中にはシーズンを終えます。そして、4月と5月は全くのシーズンオフと言ってよいでしょう。


もちろんチームとしては、この時期に来シーズンへの準備(の仕上げ)をするわけです。例えば、沢山のコーチが入れ替わります。なぜなら、首になるコーチと、新しくより良いポジションのオファーをもらうコーチがいるからです。通常、ヘッドコーチが首になると、そのアシスタントも含めて全員が首になります。それは、コーチングスタッフを、ヘッドコーチが抱えるチームであるという考え方からです。それゆえに、チーム全体の運営を“~~(誰々)コーチのプログラム”と言う呼び方をします。シーズン通して素晴らしい成績を収め、かつ学生の成績や地域へのボランティアなどの貢献度が高ければ、「~~コーチのバスケットボール・プログラムは素晴らしい。」と言ったような賞賛を受けます。



さて、高校ではこの時期、体育のクラスでのバスケットボール以外には、週に数回の練習をしています。そして、この5月の末から6月にかけてが卒業式シーズンなので、4年生(アメリカの高校は4年制)が皆卒業して、全く新しい若いチームがスタートするのがこの時期な訳です。

HS Basketball

実際には、身体を作ったり、ファンダメンタル(基礎)を練習したりする時期なのですが、実は高校生でもすでに、サマー・リーグ、サマー・クラシック等と呼ばれるリーグ戦やトーナメント戦が行われます。いわば、力試しの試合ですね。そう言った意味ではNBAのサマー・リーグと同じような意味合いであり、年間のスケジュール構成はある程度、近いものがあると考えられます。





さて今回、観戦したのはSCIBCA(Southern California Intersholastic Basketball Coaches Association) が開催しているSummer Classic というトーナメントです。6/8-10の3日間に、11会場で同時開催されました。私が足を運んだCerritos と言う町のValley Christian HSという高校では、8チームが2日間に渡り戦い、その勝者がそれぞれファイナルズに進みました。それぞれの会場で8校(1会場のみ6校)が競い合っていたので、約86校が参加していたことになります。


私は、夕方からの5試合を見ました。「えっ?5試合も夕方から?」

そうなんです。実はこのトーナメントでは独自のルールも設けており、試合時間は、20分ハーフ(前後半各20分)の流しです。それぞれ前後半の最後2分で、得点差が12点以下の場合のみ、ファールなどのたびに時計を止めます。また、興味深いのは、オーバータイムは2分なのですが、2回目のオーバータイムの場合は、2点先にとったほうが勝ちと言う、いわゆる”Sudden death”なんです。サッカーでは聞いた事がありますが、バスケットボールでは初めて聞きました。

試合はというと、私が応援に行った知り合いのコーチのチームは早々にして負けてしまったのですが、その中にはディビジョン1のチームも出ており(高校でもディビジョンは5段階から、細かくは10段階くらまで分かれている)、高校生でもアリウープなどのプレーが簡単にでます。この時期から、かなり完成されたチームもあるかと思えば、全くファンダメンタルからかなりの時間をかける必要があるチームまで様々です。


しかし、何よりも最もすばらしいことは、若いバスケットボールプレーヤー達が、コート上で今自分の持っている100%の力を引き出し切ろうと、全力で一生懸命プレーすることです。それには改めて感動を受けました。1つ1つのプレーであっても失敗したりすると、とても悔しがります。それは、日本の選手と比べて、もっとも違って見える部分です。


表現方法の違いや、自分の感情を表に出すか出さないかの違いは確かにあるでしょうが、それ以上に違うことがあります。それは、日本の選手では、何かミスを犯した時に、コーチの顔色を見たり、周りの選手に申し訳ないというネガティブな思いになりがちですが、アメリカの子供達が感情をぶつけているのは、彼ら自身です。自分自身がふがいないことに腹が立っているのです。


よく、「真の敵は自分の中に潜んでいる。」(自己との闘い)と言う事を言いますが、まさに彼らは自己と戦っているんです。まずは自分と戦って、自己を高める事が先決。そうでなければ、チームの勝利に貢献できる選手にはなれません。


しかし、その一方で、アメリカの多くのコーチが最もエネルギーを注がなくてはいけない部分は、その自己主張の強さを必要によっては抑え(自己抑制、自己コントロール)、チームプレーをできるように選手を教育する事です。


その部分に関しては、日本の選手やチームの方が考え方が優れていると言えると思います。



“One for all, all for one.”


真の勝者になるには、その両方が必要です。

だから、Victoryを掴むと言う事は決して容易ではないのでしょう。

それゆえに、若い世代からスポーツに勤しむということが、健全で琢磨し精神を育てる事にとても貢献するんだなと、つくづく考えるチャンスを与えてくれた、今回のサマークラシックでした。




皆さんも是非機会があれば、ユース・スポーツを覗いて見るといかがでしょうか?

意外なものが見れておもしろいかもしれないですよ。目