先日の演奏に感化されてしまい、手持ちのCDを聴き直していました(未だにCD派)。

 

 

計10枚。録音の大半が1980年代で、版はジュースマイヤーが7枚、バイヤーが2枚、ランドンが1枚です(CDに版の記載がないものはジュースマイヤー版としてカウント)。聴き比べる度に、表現がこうも違うのかと思わず感嘆の声が出ます。

 

で、需要があるかわかりませんが、せっかくの機会なので上記のCDの感想をざっくりと書いてみたいと思います。全部だとさすがに骨が折れるので、私のお気に入りベスト5をご紹介。

 

 

1、ムーティ/ベルリン・フィル

 

 

指揮:リッカルド・ムーティ
楽団:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:スウェーデン放送合唱団、ストックホルム室内合唱団
版:ジュースマイヤー
録音:1987年
 

妖艶なイントロイトゥスからはじまり、滑らかなフーガのキリエ、大迫力のディエス・イレ、軽快なドミネ・イエスなど聴きどころ満載。聴くたびにムーティ&天下のベルリン・フィルの演奏の素晴らしさに酔いしれます。合唱がオペラ的だ何だと難癖つける人もいますが、こんなに妖艶で魅力的なモツレクってそうないでしょう。

 


2、バーンスタイン/バイエルン放送響
  

 

指揮:レナード・バーンスタイン
楽団:バイエルン放送交響楽団
合唱:バイエルン放送合唱団
版:バイヤー
録音:1988年
 

ムーティや後述のベームと比べると独唱がやや地味。加えて、ライブ録音なので音が良くないのが玉に瑕ですが、個人的にはムーティに次ぐ名盤だと思っています。特に、心揺さぶられるラクリモーサは必聴。バーンスタインが妻のフェリチア・モンテアレグレ没後10年に捧げた感動的な一曲です。

 

 

3、ベーム/ウィーン・フィル

 

 

指揮:カール・ベーム
楽団:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱連盟
版:ジュースマイヤー
録音:1971年
 

モツレクの名盤といったらベームですね。ピエール・ダモワのシャンベルタンのようなドッシリとした存在感や、厚みのある重曹的な響きが印象的です。一方で、ゆったりとしたテンポがオールドファッションに聴こえてしまい、時折演奏の良さが霞んでしまうことも。エディット・マティスの独唱は官能的で素晴らしく、何度聴いても涙腺が緩みます。

 

 

4、ティーレマン/ミュンヘン・フィル
  

 

指揮:クリスティアン・ティーレマン
楽団:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:バイエルン放送合唱団
版:ジュースマイヤー
録音:2006年
 

ピリオド奏法のような洒脱なかっこよさがあります(アーノンクールやコープマン位になると癖?が強すぎて自分には聞きづらい)。クナッパーツブッシュやフルトヴェングラーを敬愛するティーレマンですが、演奏は実直かつ主観を廃した構成になっています。外連味のない歌唱も素晴らしい。ただ、レクイエムに金色のブックレット、CDは如何なものかとw

 

 


5、バレンボイム/パリ管
  

 

指揮:ダニエル・バレンボイム
楽団:パリ管弦楽団
合唱:パリ合唱団
版:ジュースマイヤー
録音:1984年

当初は5位にカラヤン/ベルリン・フィルを入れる予定だったのですが、聴き比べる内に、奇しくもバレンボイムに開眼。インテンポで曲想は中庸、カラヤンのような華はありませんが(失礼)、全体のバランスやフィネスに関してはバレンボイムに軍配が上がります。キャスリーン・バトルの美しい独唱は一聴の価値あり。

 


最後に余談です。ジェイムズ・ガフィガン/フランス国立管を好きで良く聴いているのですが、演奏の質の高さと映像美が相まってかなり良い感じです。Youtubeで聴けますので、興味ある方は是非。