彼との衝撃的かつ変態的な出逢いと、愛に至る道のりを語っていきます。
これは彼との愛の物語
できるだけ早く退院したいのはわかるけれど、最短の術後3日目で早々に退院した彼。散々休みなさいと言ったのに、翌日には仕事にも復帰。仕事に出なければ私に会えないという都合もあったようだけれど。
奥さんも止めてくれればいいのに…。デスクワークならまだしも、彼の仕事は土木作業。ハラハラしながらの1日を過ごし、彼に会うためいつもの待ち合わせの駐車場へ。
年末から断続的に降り続く大雪のおかげで駐車場の隅には雪の山。今夜も大雪の予報。ひらひらと舞い落ちる雪が街灯の光の中で踊っていた。
いつもの調子で「いやー、疲れた」と笑顔で現れた彼だけれど、少し顔色は悪いようだった。
「今日はさすがに疲れたしまだ雪も続くみたいだし、たまにはホテルでゆっくりするか」
彼に同意して久しぶりのラブホテルへ。
なるべく彼の身体に負担をかけないように、彼を寝かせたままで全身をゆっくり愛撫していく。できることなら騎乗位で最後までと思ったけれど、唐突に彼が言う。
「俺も腰振りたくなってきた」
思わず笑ってしまった。
「腰振りたくなってきたって、どんな表現よ。初めて聞いたよ」
「そう?おかしい?」
二人して笑いながら、彼が私を組み敷く。
「ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫。痛くない範囲で腰振るから」
甘い時間はあっという間に過ぎ、別れの時間がやってきた。
ホテルから外へ出て、驚いた。外は猛吹雪でホワイトアウト状態。かろうじて道路は走れそうだけれど、待ち合わせのときと景色が一変するほどの積雪だった。
なんとか待ち合わせ場所まではたどり着いたけれど、さっきまで除雪されてアスファルトが見えていた地面は一面の白。しかし帰らないわけにもいかないので、彼の車で無理やりに雪原に進入した。
車を降りると膝までズッポリと雪に埋まる。ネットニュースによれば今夜の積雪は40cmだ。当然すんなり車が動くわけもない。
「あっちは車に乗ってて。俺がなんとかするから」
私をNOAHの運転席に押し込むと、彼は素手で車の前の雪を掻きはじめる。まさかこんな大雪になるとも思っていなかったので、車にスコップもダンプも積んでいなかったのだ。
「やめてよ!私がやるから、Kは指示だけして。まだ術後4日目だよ。傷が開いたらどうするの!」
慌てて車を降りて駆け寄る私に、彼は息を切らせながら言った。
「女にそんなことさせられるか!」
気持ちは嬉しいけれど、彼の体が心配で泣きそうだった。犬が穴を掘るかのように四つん這いで両手で雪を掻き出す彼の姿をオロオロしながら見ていることしかできなかった。
私はどちらかと言えば男勝りで、喧嘩こそしたことはないけれど力で男に負けるつもりはなかった。実際力持ちで重い荷物も平気で持つし、仕事でも患者をお姫様抱っこできるだけの力と体力がある。
家庭では力仕事は夫より私の方が勝っている。小学生の子供たちを担ぎ上げては振り回すような、普通の家庭では父親がするような遊びも私の役目である。いつしか自分が女だなんてことを忘れていた。
そんな私を彼はとことん女として扱ってくれる。まるで箸より重いものを持ったことがない姫君のように。自分の身を犠牲にしてでも。
嬉しかった。このひとなら私を守ってくれる。
ただ、ちょっと無茶なところがあるのは心配だけれど…。本当に、術後4日目で素手で雪かきして車を押すなんてやめてほしかった。
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