彼との衝撃的かつ変態的な出逢いと、愛に至る道のりを語っていきます。

 

これは彼との愛の物語

  Hのことは少し警戒しながらも、LINEでのやり取りは続いていた。〇〇シネマの件での怒りも薄れた頃、紹介されたのがYだった。
「オレの知り合いのYと遊んでやってくれない?お願い!」
 どうしてそんな得体の知れない男の相手をする気になったのか、今から思うと不用心甚しいけれど、私は再びYと〇〇シネマに行くことになった。
 頼まれると断れない性格もあるけれど、ヤケクソだったのだろう。女としての幸せの望めない結婚生活に絶望していた。女として求められることを諦められなかった。

 Hは用事があって参加はできないけれど、Yとの橋渡しのために〇〇シネマに来ていた。どんなことになるか知っているので、手荷物を持って入るわけにもいかずHを通してYに預けることにした。
 Yがどの人なのか聞いても「終わったら声かけるから、それまでお楽しみ」なんて言って教えてくれなかった。

 前回と同様、入るなり群がってくる男たち。目の前に突き出される誰のともわからない男性器。シートの上に四つん這いさせられて、後ろから突かれながら次々と口にも挿入される。
 玩具で攻め続けられてもう何も考えられなくなってきたところ、一人の男性が声をあげた。
「この子も嫌いじゃないんやろうけど、流石にちょっと疲れたやろ。休憩しよ」
 場を取り仕切るこの人がYであろう。そう思った私が声をかける。
「Yさんですか?」
「いや…違うけど」

 ここで事態は急変する。その場にYはいなかったのだ。私の手荷物一式を持って、姿を消していた。
 声をあげたその人が困惑する私をロビーに連れ出し、飲み物を買って渡してくれた。その人こそが後に私の最愛のひととなる彼だった。

 事情を聞いて、彼を中心に犯人探しが始まる。数人の男性たちが館内を見回ったり、駐車場や周辺を探してくれたけれど、Yは見つからなかった。
 そこで得た情報は、どうやらとあるネット掲示板で「雌豚放置します」という募集がかけられていたということ。雌豚とは私のこと。それを目当てで彼を含む男たちは集まっていたのだ。Yはおそらく放置の常習犯であろう。しかしわかったのはそれだけ。
 諦めムードの中、私を慰める言葉や諌める言葉が放たれる。
「あんまり気を落とさんとな」
「ちょっと不用心やったなぁ。これからは気をつけんと」
「あんまり変なの信用したらダメやな」
  自分が悪いのはわかっている。
 そんな中、呆然として何もできずにいる私よりも、彼の方が怒り狂っていた。
「女をこんな酷い目にあわせるなんて許せん!絶対捕まえてやる!」

 しかし携帯もなくしてHにもYにも連絡することもできず、手がかりも何もない。打つ手なく時間だけが過ぎていった。
「もしかしたら荷物はその辺に捨ててあるかもしれないから、探しながら歩いて帰る」
と言う私に、彼は言った。
「こんな夜中に女一人で歩いてたら何があるかわからないやろ!俺が送っていく。駅に車とめてあるからちょっと待ってて。走って取りに行ってくる!」
 言うなり彼は本当に走って出ていった。
 そこから駅までは徒歩10分ほど。本当に走っていったようで15分程で息を切らせて帰ってきた。
 8月半ばの蒸し暑い夜、汗を流しながらハァハァ息をして「お待たせ」と笑いかける彼のことを、まるで犬っころみたいだな…なんて思った。