彼との衝撃的かつ変態的な出逢いと、愛に至る道のりを語っていきます。


これは彼との愛の物語

 

 年子で産まれた息子と娘の世話と家事だけに時間を費やす日々が終わったのは33歳の春。子供が3歳になったら保育園に預けて、働きに出ようと思っていた。息子が満3歳を過ぎたのを機に、パート看護師として病院勤めを始めた。

 今までは朝も昼も夜も子供につきっきりで自分の時間なんてなかったものが、平日の仕事が休みの昼間、ふと手持無沙汰な時間ができる。

 魔が差した、というやつだろうか。退屈しのぎに覗いてみたのはマッチングアプリだった。家庭内引きこもり状態の夫とのセックスレスに悩み、私の女としての人生はもう終わったのだと絶望していたときだった。


 始めは気軽なセフレを作っては遊んでいた。もう夫に愛情は感じないながらも、子どもたちのために家庭を壊す気はなかった。

 相手に恋愛感情を抱くことはなかったし、相手が恋愛関係を望んでいるなら断ってきた。

 ただ、「可愛い」とか「色っぽい」とか褒められ口説かれるのは楽しい。女として求められることが快感だった。


 そんな頃出会ったのがHだった。明るく人懐っこい性格で、話していて楽しい男。ただ、押しが強いところが少し困った。

 Hはセックスを遊びととらえているようで、毎回アブノーマルな行為を迫った。

 始めは昼間のカーセックス。次には3P。回を重ねるごとに要求はエスカレートしていった。

「お願い!1回だけでいいから」

と何度もせがまれると断りきれずに応じてしまうことが続いた。


「〇〇シネマ行ってみない?」

「女が一人で入ると男が寄ってきて、痴漢してもいいって暗黙のルールがあるの」

「オレも少し遅れて入って危ないようなら助けるからさ。男連れだと遠慮して近寄りがたいから」

 〇〇シネマとは成人映画館である。一度も行ったことがなかったが、それゆえに興味はあった。元々のМ気質もあったのだろう。

 

 しかしたいした期待はしていなかった。痴漢してもいいとは言っても、こんなデブのオバサン相手に喜ぶ男性がそうそういるものだろうか?マッチングアプリではそれなりにモテてはいたけれど、それは予めデブ専の男性に限ってのこと。

「一人で来たの?痴漢されにきたの?」

 そう言って見知らぬ男性が隣に座った。そこからのことは、もう何が何だかよく覚えていない。

 気がつけば誰のともわからない男性器をくわえ、両手にも握らされている状態。何人いるかも見ている余裕もないけれど、10人以上の見知らぬ男たちに囲まれていた。しまいには全裸にされて床に転がされてやりたい放題。

 閉館の時間になりやっと解放された。

「騙された…」

と思いながら外へ出ると、ニヤニヤ笑いながら待ち受けているHがいた。

「興奮した?」


 もうどうでもよかった。Hがろくなことを企んでいないのはわかっていて引き受けた私も悪い。それにどこか憎めないところのあるHが嫌いではなかった。

 もうHと会うのはやめようと思いながらも、しつこくLINEを送ってくるHを切り捨てることもできなかった。


 彼に出逢うのは、もう少し先のお話…