彼企画【宍戸 亮】 | The course of life

The course of life

心機一転

これは、智裕がまだ中1の頃の俺の誕生日の話



真面目な彼~04515~

(※先に ダン!ドン! を読んだほうが多分、分かりやすいと思います)


「・・・だーれだっ♪」

と言って目隠しをする・・

「その声は・・・智裕だろ!」

「ピンポーンvv」

「ったく、『ピンポーンvv』じゃねえよ、

こんなことするのなんてお前ぐらいしかいねえじゃねえか」

「・・それもそっか」

「「あははははは(爆笑)」」


と、2年後のように(今のように)仲良さそうに見えますが・・・

(自分で言うな、って?)


・・・・・・・・実は。





***



「そろそろハッキリさせたらどや?」

「・・・なっ、何のことだよ」

「お前が言わへんなら俺がもろてくで。

ちーを狙っとる奴は何人もおんねんから」


・・・あぁ、そっか・・・智裕、最近、別れたんだっけ。

不謹慎だとは思うけど、これはチャンス!だと思うと、嬉しくなる。


けどさっき、忍足も言ってたように、智裕を狙ってる奴は何人もいる。

現にそう言った張本人・忍足だって狙ってんだから。


それに前、智裕と話したときに「好きな人いる」とは言ってたけど・・・



けどどうも引っかかるんだよな・・・


『私の好きな人は一番近くにいますよ』


・・・一番近くに・・・いる・・・?


・・・一番近くにいるっつっても・・・クラスメイトのことだったり?


・・・考え事はやめだ!

それに智裕にとって俺は印象にあんま残ってないだろう。

智裕はいつも色んな人に話しかけられてんだから。


大体智裕が俺を・・・なんて保障は、どこにある?



・・・これは絶対に実らない、恋。

何せハードルが高すぎる!



・・・って。

さっき考え事はやめだとか言っといて結局また考え事してんな・・・



「何難しい顔してるんですか、宍戸さん」

「・・・え、そんな顔だったか?」

早速智裕の鏡を借りて自分の顔を見てみると、・・・確かに難しい顔してる。


「・・・フフッ」

「・・?どうした智裕、さすがに今度は何もしてねえぞ」

「・・・今度は って?」

あ。しまった。墓穴掘っちまったな・・・。

「・・・なんもねーよ?」

「・・・まあいいですけどね、宍戸さんがそうおっしゃるのなら」

「それより質問の答えになってねえ」

「・・・あぁ、なんか意外だなぁって思って」

「意外?」

「はい、宍戸さんって毎日ちゃんと見えないところで努力してて

真面目な人だなぁって思ってましたから、そんな難しい顔するなんて何かあったんですか?」

・・・・まさか見抜かれて・・・・!?


いや、口が裂けてもあんなことは言えねえな・・・。


にしても俺って真面目に思われてたんだな。

智裕がそう言うならこれからもそうしようって思う。



・・・・って!俺こそ質問の答えになってねえじゃんか!

「・・・っとに、なんもねーから、安心しな?」

「・・・はい。」




・・・まさか智裕に気にかけてもらえるなんてな・・・。


・・・これは本当に期待して良いのか・・・?




***




日付が変わって、その日の夜中に来たメールに俺は驚きを隠せなかった。



結局その日は授業も何も耳に入ってこなくて、

期待と不安が入り混じった気持のまま放課後になった。


・・・これは本当に・・・・``もしかして´´なのか!?



いつも通り机を一通りそろえた後で、

誰もいないのを確認して、俺はある場所に向かう。





「・・・智・・・裕・・・・・?」


まさか俺が遅くなって怒って出て行ってしまったとか?

・・・いや、智裕が怒ったのなんて見たことない。



「・・・だーれだっ!」

「またそれかよ!大体お前が呼び出したんだから・・・話って何だよ?」

「さすがにもうバレますか・・・。・・・・・・でも、ちゃんと来てくださったんですね!」

「夜中にメール来たときはビックリしたけどな?」

「・・・・ごめんなさい

でも、ちゃんとけじめつけたくて・・・・・・呼び出したんだ」

・・・けじめ・・・?・・・智裕が?

次に智裕を見たとき、智裕の顔が少し赤くなってるような気がした。


「・・・ちゃんと聞いててくださいよ?」

「・・ん、あぁ」










「・・・・・・好き、です。」






・・・・・・・・まさか・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・?


でも智裕に俺はあまりにも不釣合いすぎる。

だから思わず・・・

「・・・えーっと・・・言う相手間違ってねえか?」


次に智裕の口から出た言葉は、

俺の思ってた言葉とはまったく裏腹で――。


「・・・本当に想ってたら日付が変わった直後に・・・



メール送ったりなんて・・・・・・しないんだから・・・・・」



・・・気づけば智裕は泣いてた・・・。

・・・そしていつの間にかタメ口になってるんですけど!?



「・・・本当に・・・・・俺で・・・・・いいのか・・・?」


なんでもう一度聞いてんだ、俺!?


でも目の前の智裕は首を縦に・・・ちゃんと頷いてる。



・・・やれやれ。

「・・・・泣くのか笑うのかどっちかにしろよ」

「・・・だって~~~・・・」



・・・なぁ。日付が変わった直後に誰かに祝ってもらえたのなんて初めてだ。


しかも・・・その日に・・・ずっと好きだった相手に告白されるなんてな・・・



多分今日は内心テンションおかしくなるから、

真面目っていうのは取り下げになるかもな!





こんな誕生日・・・・・最高だ!




***



おめでと宍戸っち!