郵政省では1981年より〈電子郵便〉のサービスを開始したようです。私は郵便関連の趣味がありましたので何となく情報として耳に入りましたが、『企業用のサービスなのだろう…』と言った程度の認識で気に留めていませんでした。個人には無関係だと感じていたのです。

 

1984年10月1日からは、郵便局の窓口で〈電子郵便〉用、500円の普通切手が発売されています。そして差出用の封筒や通信文を書き入れる原稿用紙などが無料で配布されます。〈電子郵便〉の制度が開始されてから3年後、ようやく本格的にサービスが開始されたようです。

 

郵趣の一環として500円切手を購入し、無料配布していた差出人用の申込封筒や原稿用紙を貰っています。実逓便も欲しいと思い、友人の結婚式や家族の不祝儀などを利用して数部のみ残しています。

 

 

どのようなものが収集対象となったかと言うと、先ず(差出人の申込封筒)、申込みの(原稿用紙)そして受取人用の(届け先封筒)、受取人用の(受取用紙)あたりです。

 

今回はその中から、1984年10月にサービスが開始された初期の(差出人の申込封筒)をご紹介します。初期には1年の間に制度の変更が見られます。私が興味を持っていたのは初期の頃だけです。

 

 

 

 

 

                  申込み封筒 1

 

                 (59.9. イムラ 納)

 

封筒表面には電子郵便料金の 500円切手を貼付する欄と、右側には原稿を返還してもらうための返送料金の切手貼付欄が印刷されています。

 

利用者は、原稿の返送には 60円の封書郵便料金が必要でした。この位置は、もともと封筒を送付する時の切手貼付欄として定められた位置です。返還希望者には、郵便局からこの封筒を利用して密封された状態で差出人に原稿が返還送付されてきます。

 

利用者は、B4判サイズ以内の適当な紙に通信文を書いて郵便局へ持ち込んで、専用の〈原稿用紙〉と〈宛名用紙〉に住所氏名を記入してこの封筒へ入れて【開封状態】で差し出します。

 

あるいは、この封筒と一緒に専用の〈原稿用紙〉と〈宛名用紙〉を持ち帰って通信文と住所を書き込み、この封筒へ入れて【開封状態】のまま郵便局へ届けます。

 

 

封筒には小さく製造会社名と納品時期が記載されていますので、昭和59年(1984年)9月に納品されたと分かります。10月1日にサービス開始なので、最も早い初期の封筒です。

 

                                 

                        通信文の返還希望者はここへ住所を書きます。

 

 

 

                    返還先記入欄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      左  印面              右  印面

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

                 (59.9. イムラ 納)

 

昭和60年(1985年)の3月頃、無料配布の封筒に〈レタックス〉専用の 500円切手を貼付した

封筒が用意されていました。封筒を貰う時、500円の電子郵便料金を先払いするわけです。

 

短期間で、ほんのごく一時期だけの事でしたが……。利用者は封筒と原稿用紙を一度自宅へ持ち帰る事が多いのですが、これは一部の利用者からの苦情が予想されそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     裏面

 

利用方法が複雑で一般の郵便物の扱いと違うためでしょうか、裏面には利用方法が事細かに 説明されています。右下には小さく製造会社と納入日が記載されています。

 

裏面には封筒を封緘するための糊が付いています。しかし利用者は〈原稿用紙〉や〈あて名用紙〉などの必要な用紙を書き込み、封筒に 500円切手を貼付して【開封状態】で郵便局へ差し出します。郵便局から原稿を返還する際に、郵便局で【封緘】して利用者のもとへ送付されます。

 

 

持ち込む用紙サイズは裏面にB4判までと書かれていますが、【慶事用】や【弔事用】に用意された

〈原稿用紙〉と《配送用紙》のサイズはA4判です。この封筒の横の長さや《配送封筒》の横の長さも同じで、定形郵便のサイズになっています。

 

一般の利用者は《結婚祝い》か《葬儀》が多いと思われ、郵便局でも A4判サイズで【慶弔用】の〈原稿用紙〉と《配送用紙》を用意しました。おそらくB4判は、おもに企業の通信向けを想定しているものと思われます。

 

 

 

                   説明文 左側

 

 

 

 

 

 

 

                   説明文 右側

 

1通で6枚まで利用可能と書かれています。個人では考えづらく、企業向けの制度と言えそうです。

また3として、通信文の返還には郵便料金が必要な事が書かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  申込み封筒 2

 

                  (60.10. 津田 納)

 

昭和60年(1985年)10月 納品の封筒表面には電子郵便料金の切手を貼付する欄だけが記載されていて、原稿を返還してもらうための返送料金の切手貼付欄が削除されています。

 

この頃の私は《配送用紙》に気を取られていて〈申込封筒〉はおろそかになっていました。久しぶりに窓口で尋ねたところ、様式が変更されていました。昭和60年の何月から様式が変更されたのかは分かりません。

 

 

60円の返送郵便料金が必要なく原稿を返してもらえるようになりました。電子郵便料金の切手貼付欄は、これまで返送料金の切手貼付欄が印刷されていた右側へ移動しています。

 

この位置は封書を縦に見た時の、封筒による切手貼付欄の定位置です。封筒の形もこれまでは平らだった封緘部分が山形に変更されています。

 

                                 

                        通信文の返還希望者はここへ住所を書きます。

 

 

 

 

           電子郵便料  印面 → 右へ移動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     裏面

 

初期と同じく利用方法が説明されています。右下には小さく製作会社と納入日が記載されています。

 

 

 

 

 

 

                   説明文 左側

 

左下に記号【 ユ07800(ユ25) 】と印刷されています。郵便局の印刷物では、納入会社の名称と

併せて印刷されていて、良く見られる記号です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   説明文 右側

 

【1通の電子郵便では最高6枚まで通信文を送信出来ます】の文字と、最後の【3.通信文の返還】の欄が削除されました。右下は製造会社と納入日です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   実逓便 封筒

 

                 (59.9. イムラ 納)

 

申込人は〈あて名用紙〉と〈原稿用紙〉に記入して、必要料金の切手を貼付したこちらの封筒へ入れて【開封状態】で郵便局へ申し込みます。郵便局から返送される時に糊付けで封緘されます。

 

昭和59年(1984年)11月28日に送った封筒です。使用した封筒は(59.9 イムラ 納)でした。

当日の消印で返送料金にも押印されています。これは自宅の不祝儀の連絡をした時です。

 

 

11月28日の受付で、この封筒の返送の取り扱いは消印を見ると封筒を【横】のままで扱っています

 

 

 

 

 

                     裏面


裏面の封緘部分に押印されています。郵便局で処理をした後、原稿を封緘した時に押印したようです。一般の郵便では速達や書留で消印が押されますが、普通郵便では珍しいと思います。

 

    この封筒の返送の取り扱いは、消印から見ると封筒を【横】のままで扱っています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昭和59年(1984年)11月29日に送った封筒です。使用した封筒は(59.9 イムラ 納)でした。当日の消印で返送料金に押印されています。上と同じ取扱いですが、裏面に違いが見られます。こちらも自宅の不祝儀の連絡をした時の封筒です。

 

受付の時には開封状態の封筒を横に取扱って、返送の時には封筒を縦に取り扱った事が分かります。返送料金の消印が縦方向になっています。この場所の消印は、都市部では機械印が予想されます。

 

 

  11月29日の受付で、この封筒の返送の取り扱いは消印を見ると封筒を【縦】に扱っています

 

 

 

 

 

                     裏面

 

前日の封筒では裏面に消印が見られましたが、こちらにはありません。普通郵便での返送ですから、

こちらが一般的と思います。それとも郵便局で封緘するのでその証明で消印を押すのでしょうか?。まだ郵便局内でも職員に制度がしっかりと行きわたっていないような印象を受けます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   原稿2枚送付

 

 

原稿は、1枚の料金が 500円です。2枚目は別途 300円の料金が必要となります。原稿を2枚用意して当時発行されていた 300円切手を貼付しました。300円切手の適正使用の郵便物が欲しかったので〈レタックス〉を利用しています。

 

秋田の友人へ結婚式の祝辞を送った時です。この時には1枚には祝辞を記載して、2枚目には近況の報告と、郵便局から送付された封筒を返送してほしい旨、記入していました。

 

 

   11月29日の受付で、この封筒では返送の取り扱いの消印は封筒を【縦】に扱っています

 

 

 

 

 

                     裏面

 

 返送が普通郵便のためか、返送用の封筒を【縦】に扱った場合の裏面には消印が見られません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   返送便  速達

 

 

もう少し遊んでいます。全く必要のない事ですが、返送を速達(別配達)にしてみました。こちらも、当時の速達料金だった 260円切手の適正使用のために〈レタックス〉を利用しています。

 

一般的な郵便では相手に頼んで封筒を返送してもらう必要がありますが、こちらは自分へ返送されるための郵便料金なので気が楽です。これも自宅の不祝儀で利用した時です。

 

 

    11月28日の受付で、速達の赤印も返送料金の消印も、封筒を【横】に扱っています

 

 

 

 

 

                     裏面

 

   速達の消印は11月29日の取り扱いで、封書を【縦】に扱って裏面に押印されています。

 

 

 

 

原稿返還のために郵便局で封緘して取り扱う、返送切手の消印の方向がわずか1日で変わっていました。11月28日には返送料金の消印は封筒が【横】に扱われ、29日には【縦】に扱われています。

 

〈レタックス〉の申し込みは窓口で手続きが行われますので左側の(電子郵便料金)欄は櫛型印だと思います。右側の(返送郵便料金)欄はどうでしょうか?。こちらは地方局の取り扱いなので櫛型印ですが、郵便量の多い都内では機械印が多かったのではないかと予想されます。

 

 

 

 

 

〈レタックス〉のサービスが開始したばかりの送付封筒だけを残しています。私は3年程度の期間、無料配布の封筒や原稿用紙を貰っていました。1年後に見かけた、返送料金が必要なくなった封筒は貰っただけで実逓便を作っていません。その頃、丁度必要となる結婚式や不祝儀がなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

        次回は受取人に向けて、郵便局から配送される封筒をご紹介します。