〚日本専売公社〛は、1985年4月1日に〚日本たばこ産業株式会社〛へと社名が変更されています。
私は40代の後半頃に、それまで愛煙していた《ショートホープ》から両切り《ゴールデンバット》へと乗り換えました。理由は単純で、たばこの価格が高くなったからです。
自分で愛煙するたばこを《ゴールデンバット》に換えた事から〚日本たばこ産業株式会社〛のパッケージを、吸っていた頃はそれなりには残しておきました。そこで手元に残っているパッケージを今回まとめてご紹介します。
と言っても7種類しかありません。私が《ゴールデンバット》を吸い始めたのは、表記が【JT】になってからです。〚日本たばこ産業株式会社〛設立当初はまだ《ショートホープ》を吸っていましたので《ゴールデンバット》のパッケージは残していません。
《ゴールデンバット》は明治39年(1906年)の発売当初からスリムサイズでした。パッケージには〈口紙〉が挿入されていましたので、箱の横幅が広く作られていました。戦時色が強くなっていた昭和13年(1938年)9月より〈口紙〉が廃止されてからは、パッケージがスリムになっています。
英語が禁止された時代には《金鵄》と名前が変更されていました。昭和15年(1940年)10月からです。戦後、昭和24年(1949年)10月に《ゴールデンバット》の名称が復活しています。また、終戦前後には物資不足からパッケージにいろいろな変化が見られます。
〚煙草専賣局〛の時代、第二次世界大戦を挟んだ時代はパッケージの変化もめまぐるしいのですが、
〚日本専売公社〛になると一貫して⦅ 細身の両切りたばこ ⦆の製造が続きました。
それが〚日本たばこ産業株式会社〛になると変化が激しくなります。発足当初はパッケージの底面に【JT】のロゴが大きく印刷されていました。1997年頃より【JT】のロゴは小さくなり、サイドに社名と並べて印刷されます。
2005年には〈細巻き〉から一般的な〈太巻き〉になり、健康表示がサイドから正面に移って大きく書かれます。2016年からは〈フィルター付き〉に変更され、2019年10月には全国販売が終了して北海道限定の〈リトルシガー〉に生まれ変わります。そして2022年10月に完全に終了しました。
日本たばこ産業株式会社
1985年4月1日 以降
1985年4月1日、〚日本専売公社〛に変わって〚日本たばこ産業株式会社〛が発足します。私がたばこのパッケージを集めていたのは〚日本専売公社〛の時代ですが、社名が変更されて収集を全くやめてしまったわけではありません。
全てを集める事はなくなりましたが、ふと目に入った銘柄は思い立った時などに購入していましたし、友人からもパッケージを貰っていました。
《ゴールデンバット》は2004年頃から吸っていました。1990年に【JT】のネームがサイドに大きく印刷されるようになってから15年後あたりと言う事です。
1997年に【JT】の文字が小さくなって社名と並んで印刷されてから、7年が経過した頃からです。【JT】になるとパッケージの基本デザインは同じですが、文字表記が目まぐるしく変化します。
代表的な変化の一例をあげると、まず〈健康表示〉が変更されています。また、2003年12月9日にはリサイクルマークの印刷が決定され、2004年からパッケージが登場しています。
〚日本たばこ産業株式会社〛になると収集も適当になります。思い立った時にしか購入していません。その上、両切りたばこにはあまり関心がありませんでしたのでほとんど残していません。
1985年~2004年頃まで、《ゴールデンバット》のパッケージは一枚もありません。40代の後半頃から、《ゴールデンバット》に銘柄を乗り換えたあとのパッケージがいくつか残っている程度です。
賞味期限 H.17.8. (2005年8月)
2005年8月が賞味期限となっています。まだ【U字型包装】の時代で、内紙はパラフィン紙です。
〚日本たばこ産業株式会社〛では葉タバコの賞味期限を10ヶ月にしているようです。こちらが製造されたのは2004年10月と言う事になるのでしょう。
サイドには既にリサイクルマークが印刷されています。2003年12月9日にリサイクルマークの導入が決定されますので、印刷されて間もない頃のパッケージです。
タール 18㎎ ニコチン 1.2㎎ と表示されています。デザインが昔ながらの雰囲気を持つ、最後のパッケージとなりました。この翌月、賞味期限が9月の印刷から大きく変更されています。
左サイドに4段で書かれた健康表示
この頃の10個入りカートン包装紙
賞味期限 H.16.9. (2004年9月)
10個入りの包装紙です。スキャナーに収まる範囲の画像なので、四方が切れています。
賞味期限 H.17.9. (2005年9月)
2005年、まだ【U字型包装】の時代で内紙はパラフィン紙です。健康表示が正面に印刷され、文章も大きく変更されました。こちらもタール 18㎎ ニコチン 1.2㎎ の数値は変わりません。こちらは2004年11月に製造されたと言う事です。
表面の健康表示は「脳卒中の危険性…」が書かれ、数値は「約1.7倍…」とあります。裏面の健康表示は「人により程度は異なりますが…」と書かれています。
賞味期限が2005年8月までは正面に健康表示がありません。2005年9月から印刷されています。
2006年1月には包装形態が【U字Ⅱ型包装】に変更されるので、こちらの【U字型包装】で健康表示の印刷されたパッケージは4ヶ月間と短期間の販売でした。
たばこの賞味期限は10ヶ月です。賞味期限が2005年12月まで、たばこの巻きサイズは他の銘柄より〈細巻き〉でした。製造が2005年の製品から包装形態の変更と共に、一般的な巻きサイズに変更されてしまいます。(太くなる)
正面(表)≪脳卒中≫ (数値 ≪約1.7倍…≫)
正面(裏)に書かれた健康表示
この頃の10個入りカートン包装紙
賞味期限 H.17.10. (2005年10月)
10個入りの包装紙です。スキャナーに収まる範囲の画像なので、四方が切れています。表面に健康表示が印刷されるようになって包装紙も変わりました。包装紙にも健康表示が記載されますが、これはパッケージの健康表示と連動した文章ではないようです。
健康表示 喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。
妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。
賞味期限 H.17.12. (2005年12月)
健康表示が変更されています。表示はパッケージとは関係なく、いくつかの文章を印刷した包装紙がパターン化しているようです。私は2種類の包装紙を残していますが、何種類のパターンが用意されたのかは分かりません。
健康表示 喫煙は、あなたにとって肺気腫を悪化させる危険性を高めます。
未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの
依存をより強めます。
周りの人から勧められても決して吸ってはいけません。
たばこの巻きサイズが太くなり包装形態が変更されるまでの、最後のパッケージとなりました。
賞味期限 H.18.1. (2006年1月)
〈太巻き〉に変更
これまで〈細巻き〉でしたが、製造が2005年3月よりたばこの巻きサイズが太くなり一般的な他の銘柄のサイズと一緒になりました。同時に包装形態も【U字Ⅱ型包装】に変わっています。
こちらの製造は賞味期限から10ヶ月さかのぼって2005年3月なので、包装形態が変更された最初のパッケージと言う事になります。
【U字Ⅱ型包装】に変更され、内紙が銀紙になりました。ニコチンの量が0.1㎎ 低くなっています。
タール 18㎎ ニコチン 1.1㎎ と表示されています。健康表示は変わっていません。
こちらのパッケージも短期間だったようで、3ヶ月で健康表示が変更されています。この健康表示は【U字型包装】で4ヶ月、【U字Ⅱ型包装】で3ヶ月と、僅か7ヵ月程度で消えてしまいました。
こちらは賞味期限が2006年のパッケージです。〚日本専売公社〛では販売量が少なく老朽化の進んだ【U字型包装】の包装機械を処分して【U字Ⅱ型包装】の包装機械だけにしたのでしょうか。この頃にはたばこ製造工場の閉鎖がかなり進みますので、その影響があると思います。
煙草の巻サイズも、工場の閉鎖により《ゴールデンバット》だけの〈細巻き〉の手間を省いたのか、あるいは細巻き専用の巻上げ機械が老朽化した、と言う事が考えられます。セロファン包装はまだありません。リサイクル表記に【プラ】の表示がないので分かります。
健康表示は表面、裏面共に同じ文章です
正面(表)≪脳卒中≫ (数値 ≪約1.7倍…≫)
正面(裏)に書かれた健康表示
この頃の10個入りカートン包装紙
賞味期限 H.18.1. (2006年1月)
10個入りの包装紙です。スキャナーに収まる範囲の画像なので、四方が切れています。H.17.12月には健康表示が変更されていますが、こちらはH.17.10月の文章と同じ表記のパターンです。ただし【U字Ⅱ型包装】に変更されたため(お知らせ)と(新デザイン)の文字が印刷されました。
健康表示 喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。
妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。
包装紙の一部に【お知らせ】が印刷されています
このようにカートンの包装紙には形態変更のお知らせが印刷されましたが、たばこ本体のパッケージには変更のお知らせが何も印刷されていません。
賞味期限 H.18.4. (2006年4月)
賞味期限が2006年4月のパッケージです。【U字Ⅱ型包装】のままですが、健康表示が変更されました。こちらの表示でもタール 18㎎ ニコチン 1.1㎎ と表示されていて変化はありません。
健康表示の文章は、表面は「心筋梗塞の危険性」に変更されています。裏面は「たばこの煙は…」から始まり、6行の長い文章になりました。
正面(表)≪心筋梗塞≫ (数値 ≪約1.7倍…≫)
正面(裏)に書かれた健康表示
このあと数年の禁煙期間もあり、たばこパッケージへの興味も今まで以上に失っていました。数年後には再び《ゴールデンバット》を吸い始めましたがパッケージは無視していた頃です。
〚たばこ史研究〛に⦅沖縄のたばこ事情⦆について一回目に文章を書いた時、【TASC】編集部の方に「旧3級品は廃止の方向へ向かっている…」と伺い、その頃のパッケージを残しておきました。
賞味期限 2016.06 (平成28年)
包装形態が【スタンダード型包装】に変更されています。タール 18㎎ ニコチン 1.1㎎の表示は変わりません。両面の健康表記がまた変更されていました。賞味期限が白抜きで印刷されています。
表面は「肺がんの原因…」となり数値が「約2倍から4倍…」に変更されています。裏面は「妊娠中の喫煙は…」と変更されました。
たばこの包装機械が老朽化した【U字Ⅱ型包装】機から新裁断の【スタンダード型包装】へ、機械の置き換えがかなり進んだようです。左下に三角の切れ込みがないので新しい機械と分かります。
正面(表)≪肺がん≫ (数値 ≪約2倍から4倍…≫)
正面(裏)に書かれた健康表示
賞味期限 2017.02 (平成29年)
製造が2016年から《ゴールデンバット》は《しんせい》と同時に〈フィルターたばこ〉に変更されました。賞味期限が白抜きで印刷されています。
製造されたのは賞味期限から10ヶ月さかのぼると2016年4月となります。〈フィルターたばこ〉に変更された直後だと分かります。パッケージの印刷を見れば一目瞭然なのですが…。
ニコチン、タールの含有量も減っています。タール 15㎎ ニコチン 1.0㎎の表示となります。
大幅なたばこ工場の閉鎖により、販売数量の少ない【両切り巻上げ機】を《ショートピース》に特化して、老朽化した機械が処分されたのかもしれません。
フィルター付きに変更された時点で外装セロファンが用意されます。リサイクルの表記にも【プラ】の表示が印刷されるようになりました。旧3級品の軽減たばこ税が廃止されたために、他の銘柄と同じセロファン包装の体裁になったのではないかと思われます。
裏面にフィルター付きになってタール量が減った事が記載されました。そのため面積が小さくなったからか、健康表示の文章は平成18年(2006年)頃の表記に戻りますが、裏面は文字配列が変わります。2006年には4行目にあった【周】が5行目に移り、6行目に【うに】が移動しています。
フィルター付きの案内表示は短期間だったようで、健康表示と併せてまもなく元に戻ります。
フィルター付きの記載
正面(表)健康表示がH.18.4月に戻されています ≪心筋梗塞≫(数値 ≪約1.7倍…≫)
正面(裏)の健康表示は H.18.4月と同じ文章で4行目【周】が5行目、【うに】が6行目に移る
2019年10月、《わかば》《エコー》《ゴールデンバット》の生産中止が発表され、リトルシガーに生まれ変わります。この時に《ゴールデンバット》は北海道だけでの限定販売となりました。そしてその3銘柄の製造は海外に受注され、国内での生産は行われていないようです。
賞味期限 2020.02 (令和2年)
収集のためではなく開封したので封緘紙が破れています。吸い終わった後、捨てる事なく残っていました。地元で販売されていた最後の頃の製品です。タール 15㎎ ニコチン 1.0㎎の表示です。
賞味期限から逆算して、こちらは2019年4月の製造です。読んではいませんが、たぶん『半年後の10月に製造中止になる』事だと思われるメッセージが外装セロファンには既に貼付されています。
賞味期限が白抜きで印刷されています。両面の健康表示は2016年6月のパッケージと同じ文章に戻されました。ここまでの《ゴールデンバット》《エコー》《わかば》を国内で作っていたとすると、こちらは国内生産の最後の製品と言う事でしょうか?。
正面(表)≪肺がん≫ (数値 ≪約2倍から4倍…≫)
正面(裏)に書かれた健康表示
このパッケージの外装セロファンには、1度剝がすと元に戻らない接着式のステッカーが貼付されていました。内側は見ていないので不明ですが、ネットの情報によると特別税率の撤廃により9月末で製造中止になる事が書かれているようです。
廃止される直前頃のカートン
賞味期限が2020年2月と印刷されたカートンです。この頃には包装紙ではなく、厚い紙のボール紙でした。外装セロファンに(お知らせ)の告知シールが貼付された事が印刷されています。
〚日本たばこ産業株式会社〛の時代、《ゴールデンバット》はめまぐるしく変化していました。
まず、定価改訂のたびに定価がどんどん高くなって行きます。
記憶に残る定価です。調べていませんので確かな数値ではありません。
H.18(2006年) 140円
H.22(2010年) 200円
H.26(2014年) 210円
H.29(2017年) 300円
H.30(2018年) 330円
R. 1(2019年) 420円
そして2016年より〈両切りたばこ〉から〈フィルター付き〉に変わります。フィルターが付いてずいぶんと吸いやすくなったものです。〈両切り〉の時には、100均で購入したプラスチックの吸い口を付けて吸っていました。
その後2019年10月にリトルシガーに変更された時に全国販売は中止となり、北海道だけで販売していました。その時点で私は同じくリトルシガーとなった《わかば》に乗り換えています。そして、2022年11月には北海道でも販売が中止されたようです。
リトルシガーとなった旧3級品の《ゴールデンバット》《エコー》《わかば》は外注され、国内ではなくアジアで生産されて輸入しているそうです。
明治39年(1906年)9月に発売され、アールデコのデザインがレトロだった日本最長の販売記録を持つ《ゴールデンバット》も終焉を迎えてしまいました。販売期間は116年に及びます。
戦前の煙草専賣局から専売公社の時代の《ゴールデンバット》は、今年7月に当ブログでいくつかをご紹介しました。宜しかったらご参照ください。
ゴールデンバットと金鵄:日本専売公社 | アリタリアfujiのブログ (ameblo.jp)