昭和40年(1965年)6月1日、〚日本専売公社〛からフィルター付きでは初めてのメンソールたばこ《エムエフ》が発売されました。《mf》はメンソールフィルターの略語です。今回は《エムエフ》のパッケージに見られる変遷をご紹介します。
それまでのメンソールたばこは、昭和32年(1957年)8月に登場した両切りの《みどり》が販売されています。《みどり》は昭和40年(1965年)9月に製造中止となり、〚日本専売公社〛のメンソールたばこは新たに登場したフィルター付きの《エムエフ》に置き換えられました。
昭和48年7月には既存の《ミスタースリム》に新しい仲間として《ミスタースリム メンソール》が発売されて、メンソールたばこは2銘柄の体制が続きます。
その《エムエフ》も昭和53年(1978年)7月で製造中止になり、13年間の販売に終止符を打ちました。前年の昭和52年(1977年)11月に登場した《サムタイム》と置き換えられます。
《ミスタースリム メンソール》以降、最近のメンソールたばこではフィルターに薄荷成分を含ませていますが《エムエフ》は両切りの《みどり》と同じで、葉タバコに薄荷成分を含ませていました。高島屋の《日本橋たばこサービスセンター》でそのように伺っています。
ところで、現在は当たり前になっている安全上の観点から必要不可欠なセロファン包装ですが、銘柄ごとに個別に始まったようです。最初は昭和28年、両切りの高級たばこ《富士》なのだそうです。
昭和35年発売の《ハイライト》には最初からフィルム包装されていました。一般的に広く他の銘柄まで普及したのはどうも46年頃だったようです。昭和40年6月に登場した《エムエフ》に、いつからセロファンが装填されていたのかは分かりません。
《エムエフ》は〚日本専売公社〛の2級品たばこです。1級品より安い価格が設定されています。
他には、フィルター付きでは《ハイライト》《ひびき》《おおぞら》などの銘柄が見られます。
《エムエフ》の廃止により、2級品たばこは《ハイライト》だけとなってしまいました。
〚日本専売公社〛では1級品から3級品まで用意していましたが、それぞれ葉たばこの使用部位に
よって区別されています。1級品は柔らかい上質な部分、2級品はそのほかの部分、3級品は葉の
中央にある葉脈部分とか低級の葉、また1~2級品のクズなどが使用されたと聞いています。
《エムエフ》には両サイドに糊付けの白抜きがあるパッケージで、印刷に特徴が見られます。金色で印刷された上部のラインに〈金付け〉でも〈金インク〉でもそれぞれ2種類が存在します。
両サイド白抜き部分に金色が細く印刷されたパッケージと、両サイド白抜き部分の手前で金色のラインがすっぱりと断ち切られたパッケージです。《エムエフ》のパッケージの印刷には、少なくとも
2か所の印刷所がかかわっているか、2種類の原版があったのではないかと思われます。
こちらのロングサイズ《エムエフ》は、フィルターたばことしては《ピース》に続いて発売された、
〚日本専売公社〛による8番目の新製品となります。
昭和50年(1975年)頃、当時集めていたたばこは全て開いています。1972年に刊行された〚日本のたばこデザイン〛にペーパーの展開写真が掲載されていて、面白いので真似をしてみました。
サイドに四桁の数字が印刷されています。上二桁は製造工場の番号で、下二桁はその工場の製造機械の番号だと聞いています。3番工場の38号機と言う事です。製造履歴が分かる数字の記載が始まったのは、昭和44年(1969年)5月からです。
手元で確認している《エムエフ》の変化
① 昭和40年(1965年) 6月 1日 新発売 両サイド白抜き なし
② 昭和43年(1968年) 5月 1日 定価改定 暫定封緘紙
③ 時期不詳 (1970年9月頃?) 両サイドに白抜き 70㎜. 白抜きの金ライン印刷
④ 時期不詳 (1970年9月頃?) 両サイドの白抜き 70㎜. 白抜きの金ライン断ち切り
⑤ 昭和47年(1972年) 7月 健康表示 印刷 白抜きの金ライン断ち切り
⑥ 昭和49年(1974年) 9月 〈金インク〉に変更 白抜きの金ライン断ち切り
⑦?昭和49年(1974年) 〈金インク〉 白抜きの金ライン印刷
⑧ 昭和50年(1975年) 7月 ≪np≫ マーク印刷 白抜きの金ライン印刷
⑨ 昭和51年(1976年) 6月以降 レジスターマーク印刷 白抜きの金ライン印刷
③と④は〈金付け〉のパッケージですが、白抜きの上部に金ラインが印刷されたパッケージと金ラインが断ち切られた2種類が見られます。
⑤は〈金付け〉で〈健康表示〉が印刷されたパッケージですが、白抜きの上部に金ラインが断ち切られたパッケージしか確認していません。金ラインが印刷されたパッケージも存在すると思われます。
⑥の〈金インク〉に変更された、白抜きの金ラインが断ち切られたパッケージでも同じことが言えます。同時期の ≪np≫ マークが印刷されたパッケージには金ラインが印刷されています。
〚日本専売公社〛の時代の定価は最後にまとめて掲載しています
エムエフ
①昭和40年(1965年) 6月 1日 定価 70円
不明 (昭和45年9月?) サイド白抜きのため中止
昭和40年6月に新発売されたフィルター付きメンソールたばこです。昭和32年に登場した両切りのメンソールたばこ《みどり》が昭和40年9月に中止されてフィルター付きに置き換えられました。
両サイドのフラップ糊付け部分は正面と同じ印刷がされていますが、のちに白抜きに変更されます。
昭和43年5月の一斉値上げの時、《エムエフ》には色違いの暫定封緘紙が用意されています。暫定封緘紙はこちらの青緑の地色が、すっきりとした青色に変更されました。
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白抜きなし 白抜きなし
参考 ② 昭和43年5月1日 定価改定 暫定封緘紙
1972年発行 〚日本のたばこデザイン1904~1972〛より
〚日本のたばこデザイン〛の画像をお借りしています。
③④ 不明 (昭和45年9月?) サイド糊付け部分白抜き
昭和47年 7月 健康表示のため中止
これまで両サイドフラップの糊付け部分は正面と同じ印刷でしたが、白抜きに変更されました。変更された時期は不明ですが、昭和43年の一斉値上げの時にはまだ変更されていません。
昭和45年9月頃に【U字Ⅱ型包装】の銘柄は、サイドの糊付けフラップに見られる白抜き部分の長さが変更されました。ロングサイズでは70㎜に統一されています。私の手元には《エムエフ》は70㎜しかありません。70㎜ へ統一の時に白抜きとなったのでしょうか?。そのあたりも不明です。
また、他の銘柄で余白が 70㎜ の長さでは上部のラインが印刷されないのですが、細い金色の線が印刷されているパッケージと、全く印刷されていないパッケージが存在します。金付けラインが細く伸びているか、白抜きの手前で断ち切られているかの違いが見られます。
③金付けライン 白抜き部分に印刷 (サイド余白の上部に細い金ラインを印刷)
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白抜き 70㎜ 金付け印刷 白抜き 70㎜ 金付け印刷
④金付けライン 断ち切り (サイド余白の上部は緑色で金色なし)
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白抜き 70㎜ 金付け断ち切り 白抜き 70㎜ 金付け断ち切り
金付けラインを比較してみました
上は金色印刷のないパッケージで、両サイド白抜きの手前で金付けが断ち切られています。
下は金色が印刷されたパッケージで、両サイド白抜きの上に細く印刷されています。
私の手元には7枚の同じパッケージがありますが、金付けラインが細く伸びたパッケージは2枚しかありません。他の5枚は断ち切られています。確率としては〈断ち切り〉が多いのでしょうか?。
上は金付けのラインが両サイド白抜きの手前ですっぱりと断ち切られたパッケージです。
下は両サイド白抜き部分に金付けの印刷が細く伸びたパッケージです。
⑤昭和47年 7月 健康表示
昭和49年 9月 印刷色変更のため中止
(金付けが金インクに変更される)
サイドに健康表示が印刷されました。金色の印刷部分はまだ〈金付け〉のままです。この後2年ほどで〈金インク〉に変更されます。
両サイド白抜きの〈金付け〉は断ち切られていて印刷されていません。手元にある3枚は全て断ち切られていました。〈金付け〉ラインが細く伸びたパッケージは確認していません。
2年の販売期間があるので、〈金付け〉ラインが伸びたパッケージが存在する可能性は大いにあります。ただ、確認できていないのでこちらでは番号を付けていません。
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白抜き 70㎜ 金付け断ち切り 白抜き 70㎜ 金付け断ち切り
金付けラインの白抜き部分を拡大しました。金付けが断ち切られていることが分かります。
⑥昭和49年(1974年) 9月 印刷色変更(金付けが金インクになる)
昭和52年(1977年)頃? レジスターマーク印刷により中止
昭和49年から〈金インク〉に変更されました。私が最初にパッケージを購入したのはこの時代からです。昭和50年(1975年)秋頃に購入しています。
同じ年の7月に印刷された ≪np≫ マーク は既に販売していませんでした。過去のパッケージは全て琉球煙草の研究でお世話になった方にいただいたものです。
金インクでも両サイドの白抜き部分に、細く金インクが印刷されたパッケージが見られるようです。(≪np≫ マークに見られます)こちらは白抜きの手前で金ラインは断ち切られています。
手元に2枚しかなく、これは購入した昭和50年(1975年)10月頃にはラインが断ち切られていたと言う事です。同じ年の7月に ≪np≫ マークが印刷された時には金ラインが長く伸びています。
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金インク断ち切り 金インク断ち切り
⑦昭和50年(1975年頃) 〈金インク〉(金インクライン印刷)
〈金付け〉ラインが伸びたパッケージは ≪np≫ マークが印刷されたパッケージに見られますので、存在する可能性は大きいと思います。ただ、私は確認していません。
(所持していません)
〈金インク〉でも金色ラインに違いが見られます
上は金インクが白抜き部分の手前ですっぱりと断ち切られたパッケージです。
下は ≪np≫ マークに見られる、金インクが白抜き部分に印刷されたパッケージです。
≪np≫ マークのないものは、金ラインが断ち切られたパッケージしか確認していません。
⑧昭和50年(1975年) 7月 ≪np≫マーク印刷 (期間は2ヶ月程度)
昭和50年 12月 18日 (外装セロファンにシール貼付) 定価改定 定価 120円
昭和51年 2月まで (外装セロファン白開封テープ)
昭和50年5月1日にはたばこの値上げが予定されていました。その時沖縄たばこと《おおぞら》を
除く銘柄に ≪np≫ マークが印刷されますが、国会を通過せずに値上げが見送られてしまいます。
口付きたばこ《朝日》は当初から値上げが予定されていないので印刷されていません。
≪np≫ マークの印刷されたパッケージはごく短期間、何事もなく旧定価で普通に販売されていました。この印刷にはコレクター以外、一般の喫煙者はあまり気が付かなかったと思います。
昭和50年8月、自動車教習所で友人が《エムエフ》を私の目の前で購入しています。《セブンスター》を吸っていた友人ですが、まだ喫煙していない私が吸いやすい銘柄として選んだのです。
私への配慮から吸いやすいメンソールたばこを選んだのですが、私から頼んだ訳でもなく友人にしても『欲しかったらやるゾ』程度の事で無理に喫煙を強要していた訳ではありません。ただその優しさは私も理解していました。
既にたばこのパッケージを集めていた私ですが、そのパッケージは貰いませんでした。今考えると、多分 ≪np≫ マーク入りだったのではないかと想像が働きます。48年も前の古く懐かしい思い出です。因みにこちらのパッケージは琉球煙草の研究でお世話になった方にいただいています。
≪np≫ マークが印刷された時には、サイド白抜き部分に僅かに金インクの印刷が見られます。手元に3枚ありますが、どれも金インクは両サイド白抜き部分に細く伸びて印刷されています。
両サイドが断ち切られた ≪np≫ マークは確認していません。≪np≫ マークが印刷されていた期間はごく短期間なので、私は存在しないのではないかと考えていますが……?。不明です。
底面に ≪np≫ マーク
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細く金色印刷 細く金色印刷
金インク印刷がズレたため、白抜き部分に細い金インクラインが印刷されたパッケージが見られます
底面に≪np≫ マーク
↓
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金色ラインのズレ印刷 金色ラインのズレ印刷
≪np≫ マークのパッケージ金ラインを拡大して比較してみました
上は両サイド白抜き部分の上部に印刷された緑色の上に金インクが印刷されています。
下は金インク印刷が下にズレていて、緑色から金インクの細いラインが離れています。
金ラインのズレた部分を拡大しました
たばこの値上げは結局この年に実施されます。昭和50年12月18日《朝日》を除く銘柄に定価改定が実施されて、5割もの値上がりとなりました。新価格の製品には、新たに赤いシールが用意されています。外装セロファンに昭和51年2月まで貼付されていました。
昭和51年3月から ≪np≫ シールを貼付しないことを周知するポスターです。たばこ店の店頭に貼り出されました。サイズがB4判で長さが38センチ近いのでスキャナーに収まりません。
上下2枚の画像を組み合わせたので色の違いがありますが、1枚のポスターです。このポスターは、自宅と同じ商店街にあるたばこ店で貰いました。
昭和52年12月には法改正が実施されます。そこから値上げは国会の承認が必要なくなり、管轄大臣の認可で公社が独自で行えるようになりました。〚日本専売公社〛に限らず、〚日本国有鉄道公社〛国鉄の運賃も同じです。
白い開封テープ 〖暫定〗
昭和51年2月まで、新価格のパッケージでは、外装セロファンの開封テープが暫定的に白色に変更されました。。当時8銘柄だけ白いテープのパッケージを残しています。その中には《エムエフ》も含まれていました。
本来は金色の開封テープが白に変更されたパッケージです。外装セロファンをそのまま残しています。セロファンが縮んでパッケージには皺が寄ってしまいました。セロファンの上部糊付けだけを剥がして、たばこを抜いて代わりに綿を詰めています。
因みに本来の開封テープの色は金色でした
こちらは中のたばこを抜かずのそのまま残しているので、たばこが染み出して汚れています。
3個あるので1個を剥がしてみましたが、張り付いていて銀紙もパッケージも破れてしまいました。
昭和55年4月1日にも〚日本専売公社〛の定価改定が実施されます。この時の定価改定以降は旧価格製品と新価格製品の区別がなくなりました。
⑨昭和52年(1977年)頃? レジスターマーク
昭和53年(1978年)7月 製造中止
糊付け部分に緑色で長方形の印刷があります。これは印刷を検知するためのレジスターマークと呼ばれます。初期には見られず〈健康表示〉が印刷されたパッケージの途中から印刷されています。
印刷された時期は不明ですが、銘柄によってばらつきが見られます。早い銘柄では1976年に印刷されていますが、多分多くの銘柄では1977年~1978年以降ではないでしょうか。遅いと1980年以降もあります。
私の手元にある最も早い印刷は《カレント》です。1976年6月にデザインが変更されて発売されたパッケージに印刷されています。当時、新《カレント》は発売と同時に購入していますが、その時にはレジスターマークが印刷されていました。
レジスターマークが印刷されたパッケージでも両サイド白抜き部分まで金インクが細く伸びて印刷されています。カートンで購入しているので全て同じです。金ラインが断ち切られたパッケージは確認していません。
《エムエフ》は1978年7月に製造が打ち切られます。これは最後の頃に販売された印刷です。製造中止になると言う発表があり、(メンソールは吸いやすいので)その時にカートンで購入しました。今思うと、時間をかけてコツコツと購入していれば金ラインの変化に気付いたかも知れません。
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細く金インク印刷 細く金インク印刷
金インクのラインを拡大しました
両サイドフラップ部分に糊付けの白抜きが用意されてから、〈金付け〉の時代も〈金インク〉の時代でも細い金色ラインが2種類存在しています。
長期間にわたって2種類が印刷されていた事がパッケージを複雑にしています。しかしコレクターの目線からすると、これは面白く楽しい変化と言えます。
手元に金ラインが1タイプだけのパッケージは以下の通りです。もう1タイプは確認していません。どのパッケージも存在する可能性はあります。
〈健康表示〉入り〈金付け〉 金ライン断ち切り 確認 細く印刷 未確認
〈健康表示〉入り〈金インク〉 金ライン断ち切り 確認 細く印刷 未確認 ≪np≫マーク確認
≪np≫ マーク入り 金ライン細く印刷 確認 断ち切り 未確認
〈レジスターマーク〉入り 金ライン細く印刷 確認 断ち切り 未確認
〈金インク〉のパッケージは ≪np≫マーク入りで確認していますので存在が明らかですが、最後の〈レジスターマーク〉入りは販売期間が短いので、その存在は少ないと感じています。
≪np≫マーク入りの印刷は2ヶ月と短期間なので、2タイプが存在する可能性は難しいとは思うのですが分かりません。
〚日本専売公社〛の時代、《エムエフ》で実施された定価改定
昭和40年(1965年) 6月 1日 発売 定価 70円
昭和43年(1968年) 5月 1日 定価 80円
昭和50年(1975年) 12月 18日 定価 120円
《エムエフ》は〚日本専売公社〛の2級品たばこです。
昭和43年(1968年)5月1日に、専売公社として初めての一斉値上げが実施されました。旧価格品と新価格品を区別するために、銘柄によっていくつかのパッケージ変化が見られます。
● 封緘紙のデザインを変えずに、印刷色を暫定的に変化させる。
《ホープ》《ピース》《ルナ》《ハイライト》《ハイライトデラックス》《mf エムエフ》
《ひびき》《トリオ》《スリーエー》の、9種類の暫定封緘紙が確認できます。
《ハイライト》と《ハイライトデラックス》は、《ハイライト25》の封緘紙と同じデザインで
(25)の数字のない色違いです。その暫定封緘紙が《ハイライト25》に引き継がれます。
● 定価改定の丸型の小さなシールをパッケージに貼付する。
定価改定のシールは全6種類が用意されたようです。印刷色と併せて中央の星の数がそれぞれ違います。たばこの値上げ価格によって違うようです。ただし、赤色=星1個は共通用なのだそうです。
こちらは赤色で中央の星が1個です。他に赤紫色=星1個、青色=星2個、オリーブ色=星3個、
レモン色=星4個、また中央に星の代わりに〈輸入たばこ〉と書かれたタイプを加えて6種類です。
はっきり分かりませんが、改定額が星1個=10円、星2個=20円、星3個=30円、星4個=40円なのだと思います。星の数で10円~40円までの値上げ金額を表しているようです。
《エムエフ》には値上げ専用の暫定封緘紙が用意されています。10円の値上げなので暫定封緘紙とは別に〈赤紫色=星1個〉か共通用〈赤色=星1個〉のシールが貼付されていた可能性もあります。
昭和43年(1968年)5月1日の定価改定は、たばこのフィルム包装が広く普及する前の事です。
定価改定のシールは、まだ多くの銘柄でパッケージに直接貼付されていたと思われます。
しかし《ハイライト》では昭和35年(1960年)の発売当初からセロファン包装されていましたがシールの貼付が見られます。他の全銘柄に対しても、セロファンが装填される前に直接パッケージにシールを貼付していたのでしょうか?。
この2種類の方法が採られたようです。銘柄によって違うようですが、当時小学生だった私には詳しい事は分かりません。学生時代にも《たばこサービスセンター》で伺っていませんでした。
新価格の製品には〖暫定封緘紙〗を使用するか〖定価改訂シール〗を貼付して対応していましたが、値上げに合わせてパッケージのデザインを変更した銘柄もあります。
両切り《しんせい》《ピース》《いこい》と、フィルター付き《ハイライトデラックス》《わかば》の5銘柄です。
〚日本専売公社〛の時代のパッケージ変化はいくつか見られます。これは他の銘柄でも同じことが言えます。銘柄別にご紹介する予定ですが、共通した変化を挙げておきます。
● 昭和45年9月頃から、U字Ⅱ型包装ではサイドの白地部分の長さがレギュラーサイズ 59㎜
ロングサイズは 70㎜ となる。
● 昭和47年7月から、サイドに健康表示が印刷される。
● 昭和49年9月から、金色が彩色されている銘柄では、金付けが金インクに変更される。
● 昭和50年7月には、ごく短期間、パッケージに ≪np≫ マークが印刷される。
● 昭和51年6月から、順次レジスターマークが印刷される。多くは昭和52年以降です。
● 昭和55年6月から、公社のマークが変更される。
昭和58年10月頃より《ゴールデンバット》《しんせい》《わかば》《エコー》では、パッケージに製造年月日が印字されています。《しんせい》と《エコー》はその頃にレジスターマークが印刷されるようになりました。
また昭和59年頃には《しんせい》《わかば》《エコー》の封緘紙の糊付け部分の白抜き幅がそれまでの 14mm.から 17mm.へと広くなっています。他の銘柄は確認できないので不明です。
〚日本専売公社〛の時代はパッケージの印刷もキッチリとしていて、印刷会社による変化が見られません。そのためこちらの大きな変更は共通しているし、各銘柄の変化もしっかり管理されています。
パッケージの変化ではなく、定価改定などによる外装フィルムの変化。セロファン包装の第一号は
昭和28年に発売された、高級たばこ《富士》だったそうです。
● 昭和46年頃から、 外装セロファンが広く普及する
(旧3級品にはセロファン包装がありません)
● 昭和50年12月から、3か月間、外装セロファンに ≪np≫ シールが貼付される。
(セロファンのない旧3級品は直接シールを貼付)
● 昭和51年 2月まで、ごく短期間、外装セロファンの開封テープが白色となる。
(セロファンのない旧3級品はハイライトの封緘紙)
● 昭和59年10月頃 外装セロファンに製造年月日が印字される。
(セロファンのない旧3級品は直接パッケージに印字)
外装セロファンが装填されなかった〈旧3級品〉の銘柄とは、両切りの《ゴールデンバット》と
《しんせい》、フィルター付きの《わかば》と《エコー》の4種類です。
《エムエフ》は昭和40年(1965年)に登場して昭和53年(1978年)7月で製造中止になります。販売期間13年と言う歴史に終止符を打ちました。最後の頃には売り上げも低迷していたようです。
昭和52年(1977年)11月に新しいメンソールたばこ《サムタイム》が発売されて置き換えられました。昭和49年~昭和53年の間に〚日本専売公社〛の2級品たばこは、売れ筋の《ハイライト》を除いてすべて廃止されてしまいました。《ひびき》《おおぞら》《エムエフ》などです。
次回は昭和41年8月20日に新発売された旧3級品のフィルターたばこ《わかば》をご紹介します。
フィルターたばことしては《エムエフ》の次に発売された、9番目の新製品です。