私がたばこのパッケージを集めていた〚日本専売公社〛の時代、たばこ販売店向けにリーフレットの形式で(ハンドブック)が配布されていました。表面は販促用の一般客向けリーフレットと同じデザインなのですが、内容の説明は販売店向けなのでかなり異なります。
前回昭和59年3月に印刷された、全国のたばこ販売店向けに用意された ≪たばこカタログ≫ をご紹介しました。 ≪たばこカタログ≫ は、従来用意されていた販売店向けの冊子資料 ≪たばこの知識≫ に替わる、新しい資料として販売店に配布された冊子です。
≪たばこの知識≫ は昭和54年12月に発行されていて、当時の全銘柄の品名と基本的な情報が記載されているようです。5年経って新しいカタログが用意されたのですが、その間にも新製品が続々と登場しています。
そうした新製品は、リーフレット形式の販売店向けの印刷物が(ハンドブック)として配布されています。そしてその(ハンドブック)は ≪たばこの知識≫ へ挟んで保存するよう促されています。
昭和59年に≪たばこカタログ≫ が配布されると、昭和54年の ≪たばこの知識≫ 以降に発売された新製品、5年分の(ハンドブック)は用済みになります。
そして、昭和59年に ≪たばこカタログ≫ 配布後に発売された新銘柄の(ハンドブック)は、今度は新たに ≪たばこカタログ≫ へ収納するよう指示されます。
今回は、リーフレットの形をした販売店向けの(ハンドブック)を何種類か貰っていますのでご紹介します。≪たばこの知識≫ へ収納する銘柄と、≪たばこカタログ≫ へ収納する銘柄があります。
販売店 ハンドブック
(販売店用のリーフレット)
〚日本専売公社〛では、新製品が登場した時には商品周知のために大小さまざまなリーフレットや
チラシを用意して、一般顧客に周知宣伝します。
その一方で、小売店にも客の対応のための商品知識は大切です。新製品が発売になると、常に説明用のハンドブックが配布されていたようです。表面の右肩に販売店用である旨、表記されています。
1979年以降のハンドブックは ≪たばこの知識≫ へ追加として保管するための資料です。1984年に ≪たばこカタログ≫ が配布されると新しい資料はそちらへ収納するようになります。
≪たばこカタログ≫ の裏表紙には紙製の簡単なポケットが貼付されています。小売店が新製品の説明書などの情報を差し込んで、資料として保管しておくためのポケットです。
≪たばこの知識≫ および ≪たばこカタログ≫ へ収納するハンドブックは、サイズが僅かに小さな
B4判サイズを二つ折りにして(小サイズのB5判)の形態としています。B5判の冊子に付随されたポケットに収納するために、サイズが僅かに小さくカットされています。
表面は一般の顧客向けのCMと同じデザインですが、小売店向けハンドブックなので内容はかなり違います。一般顧客向けのリーフレットとは異なる説明がなされています。普段はなかなか目にすることのない説明と表現だと思います。
≪たばこの知識≫ 保存用のハンドブック
昭和54年に用意された ≪たばこの知識≫ 配布以降に発売された新銘柄です。
シャンパーニュ
昭和56年(1981年)3月16日 新発売
【シャンパーニュ】は ≪たばこカタログ≫ を用意する前に発売されていますので、≪たばこの知識≫へ収納するよう指示しています。≪たばこカタログ≫ には、既に【シャンパーニュ】の商品写真と説明が記載されています。このハンドブックは昭和59年の時点で用済みとなっていた訳です。
ポスターのデザインには、全く同じポーズで2パターンあります。こちらは目が正面を見つめている
パターンです。正確には分かりませんが販売店用のハンドブックはこちらの写真だけだと思います。
一般顧客向けのチラシには2パターンが存在します。新発売された初期のリーフレットでは、モデルは左斜め下を見ています。(後に変更されて、正面を見ているタイプが用意されます)
表面
販売店用の表示
↓
裏面
↑
≪たばこの知識≫ に保存するよう指示しています
中
商品解説のほか、右ページには広告宣伝の様子が書かれています。全国で展開されていたテレビ スポット、週刊誌、駅貼ポスターによる広告などで、宣伝されていた期間が掲載されています。
一般客用 チラシ
(B6判 二つ折り)
新発売の時に用意された一般客用のチラシ(リーフレット)です。表紙のデザインは同じですが、
女性の目線は正面ではなくて左斜め下を見ています。この後にも内容が全く同じチラシが用意されますが、そちらは正面を見ています。
裏面 表面
↓ ↓
≪たばこカタログ≫ 保存用のハンドブック
ここから先は ≪たばこカタログ≫ に掲載されていない新製品の銘柄です。≪たばこカタログ≫ へ収納するように指示しています。
キャビン
昭和59年(1984年)7月1日 《キャビン’100マイルド》新発売
《キャビン》は4種類が記載されています。しかし《キャビン》の100ミリサイズは1978年に、《キャビン85》が1980年に、そして《キャビン85マイルド》が1983年に発売されていました。
その3種類は既に ≪たばこカタログ≫ には掲載されています。《キャビン’100マイルド》だけが1984年7月1日に発売された新製品で ≪たばこカタログ≫ に掲載されていません。
表面
販売店用の表示
↓
裏面
裏面に広告宣伝が実施された説明があります。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞のほか、駅貼りポスターなど、全国で展開されていた宣伝期間が掲載されています。
↑
≪たばこカタログ≫ で保存するよう指示しています
中
匠
昭和59年(1984年)7月1日 新発売
【静岡県でのテストマーケット用】
(静岡)で試験販売された銘柄です。テレビなどの広告も静岡県内で実施されていた事が書かれています。全国の ≪たばこサービスセンター≫ でも販売されていたと思います。
よく静岡と広島で一緒に試験販売されますが広島の事は分かりません。テストマーケットだけで終了したようで販売期間は1年で廃止されました。このハンドブックも全国には配布されなかったのではないかと思います。
表面
販売店用の表示
↓
裏面
↑
≪たばこカタログ≫ で保存するよう指示しています
中
商品解説のほか、右ページには(静岡)で実施された広告宣伝の様子が書かれています。静岡県内のテレビ スポット、新聞、駅貼ポスターによる広告などで宣伝されていた期間が掲載されています。
静岡県でのメディア広告 掲載蘭
コスモス
昭和59年(1984年)10月1日 新発売
【広島でのテストマーケット用】
〚日本専売公社〛、最後の銘柄です。広告宣伝が(広島)で実施されたと掲載されています。当時、このハンドブックをたばこ店から貰っている言う事は(静岡)でも試験販売されていたと思います。全国の ≪たばこサービスセンター≫でも販売していました。〚日本たばこ産業株式会社〛が発足した頃に全国拡大されています。
表面
販売店用の表示
↓
裏面
↑
≪たばこカタログ≫ で保存するよう指示しています
中
商品解説のほか、右ページには(広島)で実施された広告宣伝の様子が書かれています。テレビ スポット、ラジオ、新聞、駅貼ポスターなどによる広告で、(広島)で宣伝されていた期間が掲載されています。
広島県でのメディア広告 掲載蘭
試験販売の期間は良く分かりませんが半年から1年程度だと思います。全国に拡大販売された時は〚日本たばこ産業株式会社〛設立以降だったでしょう。一般顧客向けのチラシ(リーフレット)が〚日本たばこ産業株式会社〛の銘で印刷されています。(B6判 二つ折り)
〚日本たばこ産業株式会社〛銘
裏 ↓ 表
もちろん販売店向けにはまだまだたくさんの専用資料が用意されています。その中には普通サイズのB5判ハンドブックも用意されています。
ただこちらのハンドブックは、今回ご紹介した ≪たばこカタログ≫ 収納専用のリーフレットなので、ポケットに収納できるように僅かにサイズが小さくなっていると言う事です。
〚日本専売公社〛の時代、新製品のテストマーケットは良く(静岡)と(広島)がセットで実施されていました。県民の収入とか生活の質などが最も平均的な数値だと言う事が理由です。
しかし《匠》は静岡、《コスモス》は広島と、広告宣伝がそれぞれの県内で実施された事が書かれています。メインとした試験販売地を(静岡)と(広島)に分離して設定したのでしょうか。
《匠》は静岡県で《コスモス》は広島県と、2種類の銘柄を両県に分けて掲載して、両県に配布したようです。ただ、広島県での販売状況は不明です。
日本たばこ産業株式会社
さて、【日本専売公社】が【日本たばこ産業】になっても、この上質な《たばこカタログ》は利用され続けました。販売店向けの新製品ハンドブックもつぎつぎと追加資料として保管されます。
専売公社の時代にはハンドブックのサイズがB5判より僅かに小さくて《たばこカタログ》裏表紙に用意されたポケットに収納できましたが、たばこ産業のハンドブックはB5判のままなのでポケットには収まりません。カタログに挟んでおく形になりました。
マイルドセブン ライト
昭和60年(1985年)7月1日 新発売
表
販売店用の表示
↓
裏
↑
≪たばこカタログ≫ で保存するよう指示しています
中
横に四つ折りで大きなサイズです。この形から観音開きで、内側には販売店向けの説明があります。
マイルドセブン メンソール
B5判1枚の形態で、二つ折りにも四つ折りにもなっていません。これまでの折りたたまれたリーフレットより厚手の紙で作られています。チラシのような形式で表と裏だけの説明です。
昭和60年(1985年)7月1日 新発売
表
販売店用の表示
↓
裏
↑
≪たばこカタログ≫ で保存するよう指示しています
【日本たばこ産業】になってからもこちらの ≪たばこカタログ≫ は利用されていました。新製品が登場するごとにハンドブックを新たに追加していたと思われます。
≪たばこの知識≫ ≪たばこカタログ≫ への収納が指示されている販売店向けのハンドブックは、私はこの6種類の追加資料しか貰っていません。
地方のたばこ店では、大きな店舗でもある程度は店に置く銘柄を限定するでしょうし、全国展開前、【たばこサービスセンター】での限定銘柄のハンドブックはなかなか揃わないのかもしれません。
≪たばこカタログ≫ 裏表紙のポケット
前回ご紹介した ≪たばこカタログ≫ の裏表紙には、たばこ新製品の(ハンドブック)を収納して
保管するポケットが用意されました。
およそ商売人は新しい情報には敏感ですが、その一方で古くなった資料などはどんどん廃棄していきます。倉庫でもあれば別ですが、そうしないと店の中は古い資料で一杯になってしまうからです。
そうした状況が考えられる中、販売店向け専用に用意された資料は一般人の目に触れないので、なかなか珍しいと言えるのかもしれません。まあ集めるコレクターは、もっと珍しいでしょうが…。