以前、私が集めていた少女漫画のコミックスの中から【内田善美】氏の作品をご紹介しました。同じ時代に夢中になっていた女性漫画家が、もうおひとりいます。私が二十代半ばの事です。

 

その方はSF作品に定評の【佐藤史生】氏です。小学館の少女雑誌《プチフラワー》で知りました。

 

1977年に《別冊少女コミック》で、学園ものを描いてデビューされています。私はSF作品でこの方を知りました。小学館の少女雑誌《プチフラワー》に掲載されたSF作品、≪夢みる惑星≫ からです。

 

≪少女コミック≫ に掲載の、デビューされた頃の作品は全く知りませんでした。≪夢みる惑星≫ が壮大で面白かったので『ほかの作品も全て読んでみたい…』と思い、コミックスを探し始めました。私は何でも集めたいタイプなので、小説(単行本)や漫画本も【初版 帯付き】に拘っていました。

 

隣りが親戚で書店でしたので、高校生までの自宅にいる間は少年漫画・少女漫画かかわらずに借りていて《別冊少女コミック》も毎月読み放題でしたが、【佐藤史生】氏がデビューされた1977年頃は私は学生時代です。東京に住んでいましたので雑誌類から遠ざかっていた時代だったのです。

 

 

 

【佐藤史生】氏の第二短編集の中で、「新人の時に出版社から『学園ものを書け』と言われていた」と述べられています。学園ものも書かれていましたが、この方の描かれた学園ものも単なる恋愛ものではなく、なんとなくSFのテイストがするようで、私はとても面白いと思いました。

 

《別冊少女コミック》でデビューされたあと1979年頃までは同誌に掲載が続き、翌年の1980年から《プチフラワー》で代表作となるSF長編 ≪夢みる惑星≫ の連載が開始されます。そして、1981年からは【新書館】の《グレープフルーツ》誌に作品を発表されます。

 

 

 

私が最初に夢中になった作品は《プチフラワー》に連載されたSF長編の ≪夢みる惑星≫ でしたが、今回は、その作品以前に発表されていた初期の作品と、ご本人が監修された作品集をご紹介します。

 

そんなに多筆な方ではなく、私のなかでは寡筆なイメージがありますが、作品はどれも人物がしっかりしていて読み応えのある作品ばかりです。残念なことに57歳と言う若さで他界されています。

 

 

 

 

 

 

 

                   SF短編集

 

                   金星樹

 

            奇想天外社 奇想天外コミックス                 

 

       昭和54年 7月5日   初版発行  定価 480円

 

《別冊少女コミック》に掲載された作品集です。少女漫画ながらコンピュータを扱った作品から宇宙ものまで、5本のSF作品が掲載されています。【佐藤史生】氏の処女作品集で、体裁はB6判です。

 

何度か増刷はされていますが【奇想天外社】の倒産により、早い時期に絶版になった作品集です。

増刷本は古書店でよく見かけます。またご本人が他界後には、復刊ドットコムより復刊されました。

 

 

他界されてから復刊されるまでは古書店ではとても高額でしたが、私が購入した1987年頃にはまだ安く、この本は高田馬場駅の横にあるビッグボックスの古書感謝市で、200円で購入しています。

何しろ私は、漫画本も小説のように【初版】、帯があれば【帯付き】にこだわっていました。

 

古書店でもマンガ本とは言え、【帯付き】には拘泥するようです。この作品集は復刊ドットコムより復刊されて読みやすくなったようですが、【初版 帯付き】となると高額になるようです。

 

 

 

      花咲く星ぼしの群れ    別冊少女コミック(増刊)  1978年   8月号

      金星樹          別冊少女コミック(増刊)  1978年   4月号

      一角獣の森で       別冊少女コミック(増刊)  1978年   6月号

      レギオン         別冊少女コミック(増刊)  1978年 10月号

      星の丘より        別冊少女コミック(増刊)  1978年   5月号

 

全作品が《別冊少女コミック》の掲載です。本来なら出版レーベルは【フラワーコミックス】となりそうですが…、SFだからでしょうか《奇想天外社》から出版されました。本を読む楽しみとともに集めたい私としては、これは嬉しく面白い出版でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            豪華な 四六判 ハードカバー単行本

 

                    阿呆船

 

                     新書館

 

新書館は1961年に設立された会社で、私が知る雑誌では《ペーパームーン》《グレープフルーツ》があります。女性向けでバレー関連の記事が多かったように思います。

 

【新書館】は2014年に終了していて、コミックスは全て絶版となりました。【佐藤史生】氏の作品は高額でしたが、多くの作品がその後復刊ドットコムより復刊しています。ただ、この作品集の内容がちょっとマイナーだからでしょうか、復刊ドットコムでも復刊されていないようです。

 

 

       1984年 3月25日  初版発行  定価 890円

 

SF作品が多く、新書館で出版されていた《ペーパームーン》《グレープフルーツ》に掲載された作品から《別冊奇想天外》《別冊少女コミック》《SFマガジン》に掲載の5作品が収められています。

 

今ではなかなか見かけない本ですが、私は1987年頃に地元の古書店で250円で購入しています。

混沌の中で生活する人々ですが、独特の世界観で私としては好きな作品が揃っています。

 

 

     阿呆船      別冊奇想天外       1980年   1月号

     馬祀祭      グレープフルーツ     1982年2月号 創刊 第3号

     天界の城     SFマガジン         1982年 10・11・12月号

     天使の繭     ペーパームーン      少女漫画・真夏の世の夢

     青い犬      別冊少女コミック(増刊) 1977年   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             佐藤史生 監修 アンソロジー

 

             吉祥花人

 

                    廣済堂

 

       昭和62年8月31日  初版発行  定価 880円

 

【佐藤史生】氏が厳選した作品の中から十本をまとめた、A5判のアンソロジーです。ご本人の書き下ろし短編も一本含まれています。どの作品もユニークで楽しい作品集です。この本も地元で、また別の古書店で入手しました。1989年頃、価格は700円でした。どの本も古書価格が高い店です。

 

 

       The Brilliant Trees          鳥図明児(ととあける)

       エロスの顎              Belme

       アジョワの道             象田透児(しょうだとおる)

       エジプト熱              坂田靖子

       惑星ウニの美男美女          鳥図明児(ととあける)

       相撲大野猫暮し            伊東愛子

       夜の熱い手              徳永メイ

       水都物語               浜田芳郎

       夢疾風                橋本多佳子

       緑柱庭園               佐藤史生

       あとがき               佐藤史生

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   SF短編集

 

                   羅陵王

 

             白泉社 ジェッツ コミックス                 

 

      昭和63年 1月31日   初版発行  定価 780円

 

こちらもA5判コミックスです。《ララ》《プチフラワー》《グレープフルーツ》に掲載された作品と、上でご紹介した【吉祥花人】に書き下ろした作品も掲載されています。

 

掲載4作品の内2作品の原案は ≪徳永メイ≫ 氏で、この方はSFミステリー風の原作が多い方です。

私は ≪佐藤史生≫ 氏の表現と絵が好きですが、おふたりのコラボは面白い作品ばかりです。これも【吉祥花人】を購入した同じ古書店で入手しています。1989年頃、価格は600円です。

 

 

 本体は日焼けもせずに奇麗ですが、カバーのパラフィン紙がボロボロになってしまっています。

 

        羅陵王        LaLa(ララ)     1985年   12月号

        アレフ        グレープフルーツ  1985年   8月号 第23号

        タオピ        プチフラワー    1987年   11月号

        緑柱庭園       吉祥花人(単行本) 1987年     8月刊

 

 

 

 

 

 

 

【佐藤史生】氏の作品を集めようと考え始めた1983年頃は、集めるのに苦労しました。過去にどのような題名の作品集、またはコミックスが出版されているのか全く分からなかったからです。早稲田や神保町の古書店巡りをしながら、漫画を扱う店舗の主人に尋ね廻っていました。

 

 

 

 

今回は各出版社から単発で出版された作品をご紹介しましたが、次回は【新書館】から出版された作品集をご紹介します。【新書館】の《グレープフルーツ》誌に掲載されていた作品などです。