第二次世界大戦後、アメリカの統治下にあった琉球には、民営煙草会社が四社設立されました。そのうちの一社は外資系で、半年程度で撤退していますので三社が復帰まで煙草の製造販売を行います。

 

各社の販売量シェアを見ると、【琉球煙草株式会社】がだいたい50%~55%程度を占めていて、最も規模の大きな会社でした。続いて【オリエンタル煙草株式会社】が30%~35%を占めます。

 

前回より、1956年5月に設立された【オリエンタル煙草株式会社】の新聞広告や商品チラシなどをパッケージと共にご紹介しています。今回は1960年以降を見てみたいと思います。

 

1960年頃、’50年代に販売された両切り煙草や、一部の売れ行きの悪いフィルターチップ製品が一斉に整理されます。ほぼ新製品に置き変わり、その後もいくつかの新製品を加えて本土復帰を迎える事となります。

 

1950年代の沖縄は戦後復興の時代ですので、多くの方が煙草パッケージのコレクションなどに目を向けていませんでした。そのため製造が中止されるとそのまま記憶から遠ざかってしまったと思われます。1960年当時に姿を消していたパッケージが、ほとんど現存しない所以でしょう。

 

【オリエンタル煙草株式会社】の製品では、前回ご紹介した1959年に発売された≪ロン≫と、

1964年12月に販売が開始された≪ハイトーン≫が特に売り上げを伸ばします。

 

 

≪ロン≫≪ハイトーン≫≪ポニー≫が、発売当初はキングサイズで登場しています。はっきりとした時期は分かりませんが、3種類ともに1967年頃にロングサイズに変更されています。

 

≪ロン≫と≪ハイトーン≫はロングサイズの時代にシェアを伸ばし、そのサイズが復帰以降も続きますので、私たちの良く知るサイズはロングサイズでしょう。

 

1970年頃には、この【オリエンタル煙草株式会社】の≪ロン≫と≪ハイトーン≫、及び【琉球煙草株式会社】の≪バイオレット≫と≪うるま≫の4銘柄だけで、総販売量の80%以上を占めています。

 

 

 

さて、この頃にはサイドの社名表示が英字からカナ文字に変更されています。資料がなく詳細は不明ですが、1963年頃の事だと思います。三社ともほぼ同じ時期に変更されました。

 

ただ【琉球煙草株式会社】では、1960年に発売の≪うるま≫と≪みどり≫には、所在地がなく社名だけ漢字で表記されています。

 

【オリエンタル煙草株式会社】では時代によってカナ文字の活字に変化が見られ、前期、中期、後期の三種類に分類しています。印刷色の変化はありますが、どの製品にも同じ三種類の活字が使用されています。

 

 

 

 

                    社名表記

 

前期、中期、後期の三種類に分類していますが、これは登場した順番です。銘柄によって変えられたり、重複して使われたりしています。印刷色の変化は、それぞれの銘柄によって変化していてデザインのようなものなので、時代とは関係なく区別しません。

 
所在地名と社名の変化は、販売中の全銘柄共通です。前期、中期、後期の3種類に分類しています。
 
                     前期
                     中期 
                     後期
 
例外が一種類だけ確認されています。≪ロン≫の初期に、ごく短期間所在地名だけ違う印刷が見られます。【那覇市繫多川】と印刷されていて、1963年にカナ文字に変更されたばかりの一時期の製品だと思います。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

      沖縄タイムス       1964年12月19日       掲載

 

      ≪ハイトーン≫新発売の新聞広告です。当初はキングサイズで販売されました。

 

 

 

 

 

       沖縄タイムス    1965年8月19日        掲載

 

 発売から1年後の、1965年に掲載された広告です。もちろんまだキングサイズの頃です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                琉球人名年鑑  1966年掲載

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの広告は掲載誌、掲載時期が不明です。たばこのサイズが〈ロングサイズ〉となっているので、1967年頃の掲載広告だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   ハイトーン

 

1964年12月に新発売されています。同じキングサイズ表記でも二種類に分類できます。サイドの数字のサイズで初期と後期に分かれます。こちらは数字のサイズが大きく、販売当初のパッケージです。間もなく数字のサイズが小さくなります。

 

 

ハイトーンについては以前当ブログでご紹介しています。最後にページを記載しますのでご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1965年6月に、≪ポニー≫が新発売されました。先島諸島向けの新聞広告です。写真ではキングサイズと表記されています。この製品もはじめはキングサイズで登場していますが、≪ハイトーン≫と併せて翌年の1967年頃にロングサイズに変更されています。

 

        宮古毎日新聞     1965年9月30日      掲載

 

 

 

                     ポニー

 

販売当初の、(キングサイズ)の時代です。詳しい資料はありませんが、多分1年から2年弱の販売期間で(ロングサイズ)に変更される事になります。

 

 

 

        そしてこちらが(ロングサイズ)に変更されたパッケージです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               那覇市全図    有力企業紹介

 

有力企業紹介のページに、三社の民営煙草会社が掲載されています。【オリエンタル煙草株式会社】の紹介欄です。

 

 

【オリエンタル煙草株式会社】を代表する≪ロン≫と≪ハイトーン≫の二銘柄に併せ、新製品の

≪アロー≫と≪スカイライン≫の二銘柄が紹介されています。

 

                     アロー

 

≪ポニー≫発売から1年後、1966年10月に新発売されました。発売当初から(ロングサイズ)で登場しています。この後≪ロン≫≪ハイトーン≫≪ポニー≫が(キングサイズ)から(ロングサイズ)に変更されたのではないかと考えています。

 

 

 

 

 

 

                   スカイライン

 

1967年10月に新発売された、【オリエンタル煙草株式会社】最後の銘柄です。復帰まで販売は続いていたと思います。サイドの社名表記に変化が見られ、3種類に分類しています。

 

社名表記の活字は、全て【前期】ですが、黒字と白抜きに分かれます。黒字の時代はほぼ同じなのですが、色彩の濃さが明らかに前期と中期で変わっているのです。中期以降は濃い緑色になります。薄い色合いの方が、ごく初期の発売当初の配色です。サイドの金色ラインの幅も違います。

 

 

黒文字の時代の地色の変化は販売中に混在していた事は無く、ごく初期にだけ淡い緑色が見られます

 

 

 

所在地名の前期、中期、後期は、登場した順番です。全ての製品がこの順番で並んでいるわけではありません。中には印刷時期が重複していたり、反転している事もあります。印刷時期の目安とお考え下さい。

 

 

 

 

 

≪ハイトーン≫は、復帰後も専売公社によって販売された銘柄と言う事で、以前当ブログでご紹介しています。記事の内容は重複していますが、改めてご紹介しておきます。