アメリカの統治下にあった琉球政府は、1950年代には膨大な種類の海外の煙草を輸入していました。正確な数は分かりませんが、現在110種類程度が確認されています。
琉球には日本専売公社の製品はありませんし、アメリカの煙草会社が進出していたわけでもありません。輸入煙草と闇煙草の天下だったのです。
1955年より1957年にかけて島内の民営煙草会社が紙巻きたばこを製造するようになると、琉球政府による島内産業の保護政策により輸入煙草には高い関税が課せられます。
そのため1958年に島産煙草のシェアーは80%を超えます。1959年以降は、1972年の復帰まで民営煙草会社の島産煙草が90%以上のシェアーを占めるようになります。
統治国アメリカの製品は高級煙草として人気でしたが、安価な製品としてアジアからの輸入が多数見られます。前回までのマカオ製煙草に引き続き、今回も私の手元にあるマカオ製の煙草をいくつかご紹介します。
私の手元にある数少ないパッケージですが、新聞広告の切り抜きの無い銘柄を纏めてみました。
銘柄は以前日本名をいくつかご紹介しましたが、英語の名前が多くを占めている事は前回述べた通りです。
マカオの煙草会社 ≪NANYANG BROS.TO.CO.,LTD.≫
グローブ
(レギュラーサイズ)
≪NANYANG BROS.TOB.CO.,LTD.≫
〔輸正―15〕
琉球政府の納税証紙
スター
(レギュラーサイズ)
≪NANYANG BROS.TO.CO.,LTD.≫
〔輸正―9〕
琉球政府の納税証紙
この証紙はマカオ煙草によく使われていて、全く同じデザインで水色地に紺色の色違いがあります。
また、【20】本入りの表示が【10】と書かれた10本入りの証紙も存在します。
マカオの煙草会社 ≪LYMAN TOBACCO CO.≫
ワシントン
(ロングサイズ?)
≪LYMAN TOBACCO CO.≫
〔輸正―14〕
琉球政府の納税証紙
マカオの煙草会社 ≪JUAN FOOK TOBACCO COMPANY≫
カーディナル
(キングサイズ)
≪JUAN FOOK TOBACCO COMPANY≫
〔輸正―8〕
琉球政府の納税証紙
淡いページュに変更されるようです。
琉球政府の納税証紙に変更は見られないようです。
マカオの煙草会社 ≪JUAN FOOK TOBACCO COMPANY≫
ピジョン
(レギュラーサイズ)
〔輸正―8〕
琉球政府の納税証紙
この頃、香港煙草は短期間ですが琉球に進出して、島内に工場が出来て巻き上げ、包装を行っていました。原料の葉タバコが香港からの輸入なので輸入煙草として位置づけられていますが琉球煙草と言われます。
マカオ煙草や台湾煙草はもちろん輸入煙草です。ところが琉球専用に琉球販売のために作られた銘柄も数多く見られ、ある意味では琉球煙草と言っても良さそうな感じがします。
今回は私の手元にある五銘柄をご紹介しました。次回は同じマカオの製品ですが、新聞広告に掲示された銘柄をご紹介しようと思います。パッケージは私の手元にはありませんが、販売当時の新聞広告の切り抜きでご紹介します。