大正時代から昭和初期にかけて作られていた磁器製の大衆人形に私は惹かれこれまでご紹介してきましたが、陶器製や土人形にも興味深い姿が見られます。陶器人形や土人形は歴史も古く、とても奥深い世界だと思います。

 

私は大衆人形ファンで土人形コレクターではありませんが、磁器製の大衆人形を集める中で幾つか手元に集まったものがありますので、前回よりご紹介しています。

 

前回は歌舞伎の戯作や歴史上の人物などを【歴史篇】としてご紹介しましたが、今回は一般の女性や少女などを【生活篇】として纏めてみます。陶器人形と言えば博多人形や京人形辺りが生産地として有名ですが、全国各地に色々な姿が見られます。

 

コレクターの間では、夢二人形と呼ばれる仲間がいてとても人気が高いようです。愁いを帯びた顔のスレンダーな着物姿の女性や、同じく憂い顔の洋服を着た少女たちです。

 

夢二人形と呼ばれる多くは、大正から昭和初期の博多人形や京人形のようです。現在もとても高価ですが、当時からデパートで売られていて販売価格は高かったのでしょう。

 

私は土人形を見てもごく一部しか生産地が分かりませんが、可能性のある場所を書いておきます。

 

 

 

                 博多人形と思われる女性

     どれも素材が厚いようで重く、下地も彩色も厚塗りでしっかりとした造りです。

 

                  夢二人形のような女性

大正時代から昭和の初めを彷彿とさせる姿です。小顔でなで肩、S字を描いたからだは、いかにもアールデコ風です。牡丹柄のピンクの着物や帯、帯揚げ、帯締めもとても細かく作られています。まるで《竹久夢二》の美人画がそのまま立体化したようです。

                 高さ 14.6センチ 

 

 

 

                    夢二人形

 

そしてこちらが多分”夢二人形”と言って良いのではないかと思われます。スレンダーな憂い顔の女性です。素材は陶器製だし彩色も細かく丁寧で、大正時代から昭和初期の博多人形ではないでしょうか。

                    傘を持つ女性

                  高さ 17センチ

         上のピンクの女性より軽く、彩色も薄塗りのような感じです。

 

 

 

                   夢二美人風の少女

愁いを帯びた顔で、いかにも夢二の描く少女のような姿をしています。こちらも夢二人形と呼べるのでしょう。

                  高さ 15.9センチ

         重量感のある陶器製で、こちらも博多人形ではないかと思います。

 

 

 

 

                 レトロな風情の少女たち

 

                      少女

        

      高さ 7.8センチ               高さ 13.6センチ

    鈴蘭の花は盛り上がっていて         クリスマスのイメージのような衣装です。

    立体的です。

 

 

 

                   小鳥を抱く女性

小鳥を抱いた女性姿です。底面に大きな穴は無く小さな穴があります。裾模様の花柄は立体的に盛り上がっていて、まるでこて絵のように描かれています。彩色は細かく、つくりはとても丁寧で豪華です。
                  高さ 14.1センチ

 

 

 

        モガ                        少女

        

       高さ 14センチ                高さ 16.5センチ

夢二人形のような感じがします。笑顔の目が印象的で、顔はアールデコの時代のポスターのようにデフォルメされたような顔つきです。木島櫻谷記念館所蔵のアールデコのモガと同じ顔、同じ目をしています。
 
 
 
 
 
                  京人形でしょうか?
 
 
                磁器製の大衆人形のような姿
顔などに白の下地が塗られていますが、雰囲気は磁器製の大衆人形によく似ています。どこで作られたのでしょうか。素材は厚いようで重くしっかりと作られています。
 
        看護婦                       少女
        

     高さ 13.2センチ               高さ 16.1センチ

 
 
 
 
                   黒猫を抱く女性
こちらも磁器製の大衆人形とそっくりです。5寸クラスの大衆人形よりサイズは6寸クラスと大きく、底面に小指程度の穴があり、素材は薄く軽く作られています。
                   18.1センチ
 
 
 
 
 
 
                  くるくるクルミちゃん
昭和13年から昭和15年にかけて《少女の友》に連載された、松本かつぢ原作の少女漫画です。漫画は戦後も続きます。2寸程度の小さなサイズは《射的人形》に纏めましたが、こちらは大きく立派な感じです。

                  高さ 9.2センチ

 

 

 

                 くるみちゃんのような少女

 

        

                           目に星があり、昭和30年代かも

                           知れません。

 

 

 

 

                縄跳びの少女(あやとり)?

 

       

    両手に穴があり、付属品として        手に持つのは縄跳びでしょうか、

    縄を持っていたと思います。         あや取りでしょうか。

 

 

 

 

                    ねんねこ

          子守姿を幾つか纏めます。作られた場所は分かりません。

        

      高さ 15.3センチ              高さ 12.4センチ

 

                 これは博多人形でしょう。

                  高さ 10センチ

 

 

 

 

                    毬を持つ少女

             顔を見ると東北地方のような感じがします。

                  高さ 14センチ

 

 

 

 

                 東北地方で作られた少女

 

東北地方で昭和7年頃に作られたようです。左は昭和7年3月の書き込みのある姿を見た事があります。二体は造りは似ていますが、サイズが全く違います。どちらも東北地方で作られたようです。
 
大衆人形とはまた異質な存在で、石焼人形と言えそうな感じです。しかし土人形に良く見られるように、背面は白地で彩色されていません。古く素朴な土人形の時代から、磁器製や陶器製の大衆人形へ移行する過渡期の姿かもしれません。
        

     高さ 12.6センチ               高さ 19.6センチ

 
 
 
                    土人形の少女
  これは焼成あまいのだと思います。足元に表面がざらざらと削られたような場所があります。
                  高さ 7センチ
 
 
 
 
 
 
                    鏡を持つ女性

足元の土台部分は木製です。日本人形に良くみられる造りだと思いますが、博多人形あたりではないかと感じます。底の木の裏には色止めのシールが貼付されています。


         高さ 12.2センチ
 
 
 
 
                     大原女
左側は供箱に入っていて、箱に大原女と書かれていますが、箱には製造地もなく茶色の無地です。厚いようでずっしりと重量感があります。
 
    二体はそれぞれ作られた場所が違うのでしょうが、どこで作られたのかは不明です。
        

     高さ 12.3センチ               高さ 18.4センチ

   右手に煙草を持っていますが、        大きいのですが底面に小指程度の穴があり
   真鍮製で昭和13年以前だと          薄く軽く作られています。 
   分かります。
 
                    舞妓さん
上の右側の大原女とよく似た顔、同じ造り、同じようなサイズでどうもメーカーが一緒のようです。

                  高さ 18.3センチ

 

 

                 どちらも京人形でしょうか

        

              高さ 15.1センチ                高さ 14センチ

    こちらは京人形のようです。           大衆人形に同じ姿が見られます。

 

 

            大衆人形と同じ姿で、重くしっかりとした造り

同じく舞妓さんに、重くしっかりと作られた姿もあります。前回歴史篇で「大衆人形とそっくりな姿で興味深い」とご紹介した姿と同じ造りです。狆を抱えた舞妓さんですが、磁器製の大衆人形に幾つか見られます。

                  高さ 16.2センチ

 

 

                    花嫁御寮

花嫁さんにも重くしっかりと作られた姿があります。前回歴史篇で「大衆人形とそっくりな姿で興味深い」とご紹介した姿と同じ造りです。

                  高さ 15.9センチ

 

 

                 メーカーの違う花嫁御寮

        

     高さ 16.8センチ               高さ 17.2センチ

   底面に王様印のシールが貼付           磁器製の大衆人形のような雰囲気です。

   されています。この会社は、         大型ですが、上のタイプとは彩色が違います

   愛知県常滑の【永和商店】です。

 

 

 

 

 

                   妊婦と産婆さん

どうも博多人形のようです。これは絵付けも丁寧ですが、もっと大雑把な同じ姿が津屋崎人形に見られます。出産の後、お礼に産婆さんに渡す習慣があると聞きました。

                   高さ 9.2センチ

 

 

 

                    野球青年

磁器製の大衆人形にみられる野球青年とよく似ていますが、バットは付属品で手に5㎜程の大きな穴があり、そこに差し込込むような形です。

    

                  高さ 18.5センチ  

 

     磁器製の大衆人形より大型です。比較のため5寸クラスの大衆人形と並べます。           

 

 

 

 

                     野球少年

         漫画チックな顔をした野球少年です。ユニフォームは早慶戦ですね。

                                        高さ 10.3センチ

 

 

 

 

 

 

                      鵜飼い

 

 

 

 

 

 

 

                   居眠り小坊主

郷土人形の仲間でしょう。服にねずみがいます。絵ばかり描いていた雪舟の逸話から来ているのでしょう。全国各地で作られていて、色々な姿が見られます。

    

                   高さ 5.5センチ

 

 

                 座卓でうたたねする小坊主

 こちらは秋田県角館の郷土人形のようです。やはりネズミが一緒です。雪舟の逸話でしょう。

                  高さ 11センチ前後

 

 

                  掃除をする小坊主

 

 

 

 

                  桃から生まれた桃太郎

    どうも京都、伏見人形のようです。この姿はサイズも色々あり、素材も色々見られます。

    陶器製としては、伏見人形のなかでもこの小ぶりなものが可愛いので展示します。

  

      高さ 5.6センチ              高さ 6.2センチ

 

 

 

 

                    二宮金次郎

         大衆人形でご紹介しましたが、陶器製の姿も色々見られます。

 
                どうも博多人形のような姿
        

                  高さ 11センチ

 
               本を両手で持つ、とてもリアルな姿
                  高さ 15.6センチ
 
大型で、底面に小指程度の穴があり、薄く軽い姿も見られます。以前、大衆人形【昔話、逸話】でご紹介した養老の滝伝説の源丞内と同じ造りをしています。6寸クラスの素材が軽く薄い姿は色々と見られます。
                  高さ 18.3センチ
 
 
 
 
                      福助
 
 
 
 
 
 
                     インド人
 
    蛇使いの笛を吹く人と、それに耳をそばだてる男女。サイズは15センチ程度です。
 
            (プーンギ)と呼ばれる蛇使いの笛を吹く男性
 
 
 
             笛の音を聞くかのように耳に手を添える男女
 
        
 
 
 
 
 私が興味を持った姿を纏めましたので、全体的にバラバラでとりとめのないページになりました。