明治時代から昭和の初期にかけて数多く作られていた、磁器製の玩具人形をご紹介しています。前回は縁起物の他、童子が座った姿のずんぐりとした形を纏めてみました。書道用の磁器水滴に見られる形ですが、実際同じ姿の水滴と玩具が作られていました。

 

今回はだいたい立姿をご紹介します。縦長の形で倒れる事を考慮したのか、私は水滴では見かけたことがありません。モデルも私の手元には童子より大人が多いようです。

 

固く焼かれた磁器で、全体に角が無く丸く作られていますので毀れる事も少なかった事でしょう。地震などで棚の上から畳に転がり落ちた程度では毀れなかったのではないかと思います。

 

明治時代から作られていたようですがはっきり分かりません。作られていた場所はどうも瀬戸が多いと思われます。瀬戸の丸カ商店が、明治中頃には玩具人形を作って出荷していたようです。

 

詳細不明ですが、明治38年頃には、丸カ商店の玩具人形が全国に広まっていたと言う事です。全国と言えばかなり膨大な量で、現存する状況を見ると多分こちらの磁器玩具人形の事だと思います。

 

 

 

京都五条坂に軒を連ねていた錦人形店で販売されていた事は確かなようです。ネットで拝見した、大学の研究室の聞き取り調査では、先々代まで五条坂で人形店を営んでいた方の話として、瀬戸や美濃から仕入れていたらしいとありました。400体ほど在庫として残っていると言う人形の写真が掲載されていましたが、写っている人形はこのページの磁器玩具と一緒でした。
 
これは想像ですが、もしかすると大衆人形が多く出回る以前に、子供たちの遊び相手になっていたのかもしれません。大正時代がその交代時期だったのでしょうか。大正時代、鉛筆の普及による、水滴の衰退と共に姿を消したのかもしれません。                       57
 
 
                                        鎮台
鎮台は明治時代に設置された陸軍の編成名称です。この玩具人形の軍人は鎮台と総称されるようです。
                  高さ 8.3センチ
 
                     馬上鎮台
サイズの違いが沢山あります。右側の3センチ前後は最も小さな部類かも知れません。大きなものは高さが16センチ近いものもあり、馬の鼻先から尻尾まで15センチありますのでかなり存在感があります。
         

     高さ 10.6センチ                 高さ 3センチ前後

 
 
 
 
                     従軍看護婦
        よく似た同じような姿でも、細部の違いは色々と存在するようです。
         

                   高さ 9.6センチ

 
 
 
 
 
                   背負いの母子
全国各地で作られていた、郷土玩具のような土人形にもよく似た姿が見られます。当時は子供の玩具としてよく知られた姿だったのでしょう。
        

      高さ 8.2センチ                高さ 8.2センチ

 
        

       高さ 7センチ                 高さ 9.3センチ

      座ったお母さんです。            子供は春駒の玩具を持っています。
 
 
 
 
                    授乳の母子
                  長さ 9.8センチ
 
 
 
 
 
 
                     女学生
女学生風です。さしずめ(坊ちゃん)に登場するマドンナあたりがモデルのような気がします。
        

      高さ 9.2センチ               高さ 11.2センチ

     よく似た姿ですが、サイズは違うし重量感は傘を持つ方がかなり重く感じます。
 
 
 
 
 
                     書生さん
同じ格好をした書生さんは色々な姿が見られます。犬を連れたり、マントを着ていたりと、かなり種類が多いようです。
        

     高さ 10.3センチ               高さ 9.4センチ

 
              セカンドバックの書生は色違いがいます。
 
 
 
                青年武道 (土佐派剣舞術?)
柔道か空手のポーズのようです。土佐派剣舞術でしょうか?。三四郎あたりがモチーフのような気もします。
                   高さ 8センチ
 
 
 
 
 
 
                 モガと呼べそうな女性たち
 
                  薔薇の横に立つ女性
                

                  高さ 8.8センチ  

 
 
                   花籠を持つ女性
        

      高さ 9.7センチ                高さ 9.5センチ

 
 
     花を持つ帽子の女性                花籠を持つ帽子の女性
        
      高さ 9.5センチ                高さ 9.8センチ                   
 
 
      花籠を持つ女学生                 ブーケを持つ女性
        

      高さ 8.7センチ                高さ 9.2センチ

 
 
 
                   自転車に乗るモガ
                  高さ 8.2センチ
 
 
                    横たわるモガ
                  長さ 9.5センチ
 
 
                  ロングヘアーの姉妹
                  高さ 9.7センチ
 
 
 
      緑のコートの女性                   少女と犬
        

      高さ 9.1センチ                高さ 8.7センチ

 
 
 
 
 
                   幼い少年少女たち
 
                   人形を抱く少女
        

      高さ 8.6センチ               高さ 10.2センチ

    小さくで大雑把な造りです。         サイズも大きく手の込んだ造りです。
 
 
 
 
                    毬を持つ少女
        

      高さ 9.8センチ                高さ 8.5センチ

 
                  高さ 9.5センチ
 
 
 
                    猫を抱く少女
                  高さ 8.5センチ
 
 
 
 
                     春駒遊び
       よく似ていますが、どうも原型は違うようです。色違いを並べました。
        

      高さ 9.3センチ                高さ 9.4センチ

 
 
 
 
      ラッパを持つ童子                 日章旗を持つ童子
        

      高さ 9.1センチ                高さ 5.1センチ

   同じくラッパを持った、よく似た姿に        左に比べてかなり小ぶりです。
   座った童子がいますが前回ご紹介
   しています。
 
 
 
 
 
 
                   名前の分かる姿
            昔話や戯作の人物で、個人名称の分かる姿です。
 
        桃太郎                       赤鬼
              
      高さ 9.2センチ                高さ 5センチ
 手に持った扇子に桃の絵が描かれていますので一目瞭然です。小ぶりな鬼がいますので並べます。
 
 
 
 
 
                     忠臣蔵
        大石内蔵助                    赤穂浪士
        

      高さ 9.5センチ                 高さ 8センチ

 

                 赤垣源蔵  ≪徳利の別れ≫

【赤垣源蔵】は、赤穂浪士の一人です。講談で有名な≪赤穂義士伝≫の話のひとつで、≪徳利の別れ≫に出てきます。四十七士、それぞれの逸話が書かれた≪銘銘伝≫では人気の作品で、兄弟の愛情が描かれています。

                  高さ 9.5センチ
 
 
 
 
                   軍配を持つ男性
                  高さ 8.3センチ
     相撲の行事のようですが、軍配を持つと言えば上杉謙信なのかも知れません。
 
 
 
 
 
                     芸妓さん
                   高さ 5センチ
白磁に顔と髪、帯が描かれています。帯は水金が厚く塗られ、背面のお太鼓の結び目はキラキラしています。鏡のように顔が写ります。
 
 
 
                   5寸クラスの大型
      3寸程度の小さなサイズが多い中、こちらは5寸クラスの芸妓さんです。
                  高さ14.2センチ
     他にも書生、力士などを見かけましたが、手元にはこの一体しかありません。
 
 
 
 
 
同じ仲間ではないようですが、磁器玩具人形の動物の仲間がいます。素材が一緒なのでこちらに纏めます。サイズは4~5センチ程度です。射的人形だったのだと思います。
    

 

           山羊                      象
 
 
 
こちらも、また少し雰囲気の違う姿です。この仲間は土台部分の無い姿が基本的です。こちらのように土台があると、全く別の仲間の感じがします。
 
       少女と犬                    馬に乗る女性
         
      高さ 6.9センチ
 
       
 
 
 
 
 
 
                   漫画キャラクター
                     のらくろ
        のらくろ                    モール大尉
        

     高さ 10.2センチ               高さ 11.6センチ

のらくろは版権の無い玩具が多いようです。作者も「子供が喜べばよい」と鷹揚だったようです。これも多分版権は無いのでしょう。
 
 
 
 
                     浮き玩具
明治36年に金魚の浮き玩具が瀬戸で発明され、明治37年には製品化されています。大正時代まで作られていたようですが、大ヒットとなり膨大な量が出荷されました。金魚や鯉の他、水鳥、カエル、亀などいろいろな種類が見られます。
 
  

        長さ 8センチ               長さ 11センチ