大正時代から昭和の初期に作られていた磁器製の大衆人形の内、底面に穴が無く型の前後を合わせたような線の残る重い磁器人形をご紹介しています。今回は一般庶民の生活を映したような姿を纏めました。5寸クラスの人形たちです。このブログでは《生活篇》としています。

 

このタイプはどうも京都で作られたものが多いようです。背面を見ると【京人】の刻印や、底面には【京都陶磁器工業組合】のシールが貼付されているものが多く見られます。
 
特徴は素材が厚いのでしょう、重みがありざらりとした磁器の冷たさが感じられて魅力的です。また小顔で美人、イケメンが揃っている所でしょうか。
 
一般的には射的人形と呼ばれているようです。ここには射的人形も、市販品も入り混じっているのでしょう。残念ながら、両者を区別する資料も知識も私は持ち合わせてはいません。
 
圧倒的に女性の姿が多く、男性は軍人がわずかに見られる程度です。同じタイプの重い磁器人形の軍人のみこちらでご紹介します。大衆人形の軍人は別にまとめています。           45 
 
 
 
                      軍人
         堀悌吉海軍中将?              青年兵士
      

        高さ13.8センチ            高さ14センチ

 顔が海軍中将の【堀悌吉】によく似ています。   鉄砲には日章旗がついていて、たなびく
                         様子が描かれています。
 
 
 
                    ヴィーナス
これはヴィーナスでしょうか、ボッチチェリの描くヴィーナスの誕生を彷彿とさせる上品な姿です。
 

                  高さ 13.8センチ

 

 

 

                     レビュー

 

      

       高さ 14.4センチ            高さ 13.8センチ

【支那の夜】を歌う(渡辺はま子)が浮かびます。   レビューダンサーそのものです。

 昭和15年の映画の(李香蘭)かもしれません。

 

 

 

                 タンバリンを持つダンサー

     両手にお盆のようなものを持っていますが、これはタンバリンだと思います。

                                        高さ 14.2センチ

 

 

        チャイナ服のモガ               乗馬服のモガ

       

       高さ 13.9センチ             高さ 14センチ

チャイナ服姿と言えば(李香蘭)が浮かびますが、   この犬を連れた女性は全く同じ姿が

髪型がちょっと違うような気もします。        4寸クラスの小サイズに見られます。

 

 

                    水着姿のモガ

 

ヨットの模型を持つモガです。底面に【京都陶磁器工業組合】のシールが貼付されています。

                  高さ 14.4センチ

 

        浮き輪を持つモガ             バッグを抱えたモガ

      

       高さ 14.2センチ            高さ 14.2センチ

 しゃれたモガの水着姿ですが、水着の柄が      水着ではなく、フラッパードレスの

 和風の感じです。                 ように感じられます。

 

 

 

                    お出かけの女性

 

          若い女性のお出かけの様子です。二人ともお洒落な服装です。

 

      

       高さ 14.5センチ           高さ 13.9センチ

   薄紫のしゃれたマフラーを持っています。    紺のスカートが少女を思わせますが、

                          本来は大人だと思います。

 

      

 

                  背広の男性と和服の女性

 

    夫婦の姿でしょうか。あるいは何らかの映画や小説の一場面なのかもしれません。

 

                  高さ 14.4センチ

 

 

 

                    黒猫と和服女性

            黒猫と女性は、よく似た女性を三種類確認しています。

                      猫抱き

                          高さ 13.9センチ

 

                 足元に猫がじゃれている姿

          帯直し                     髪

      

       高さ 14.5センチ           高さ 13.9センチ

 

 

 

                 ミッキーマウスを抱く女性

 

       日本でミッキーマウスがモデルとなった、初期の使用例だと思います。

                  高さ 14.1センチ

アメリカで1928年に生まれていますが、日本には翌1929年に入ってきます。昭和10年頃には遊園地のモデルや年賀状に使われ、都市部で知名度は高かったようです。

 

 

 

                     愛国婦人

 

       出征する兵士を見送る婦人です。和装コートの色違いを並べました。

 

                   背面【善】の刻印

      

                  高さ 13.8センチ

 

 

                     花嫁姿

                  高さ 13.8センチ

 

 

                  ウェディングドレス

 

二体は同じ姿ですが造りの細かさはかなり違います。左はとても精緻で、右はかなり大雑把です。

 

       

       高さ 14.5センチ            高さ 14.4センチ

全体に造りは精緻で丁寧です。ブーケは      全体に大雑把で、ブーケは塗り潰されています

一輪づつ細かく彩色されています。

 

 

 

 

                    家事の女性

          拭き掃除                 掃き掃除

 

        背面【い】の刻印

      

       高さ 14センチ             高さ 14.1センチ

 姉さんかぶりで右手にはバケツを持っています。   姉さんかぶりで長箒を持っています。

                       

                    農家の女性

                  高さ 14.1センチ

足元の鶏がリアルです。手にはざるを持っているようですが中は分かりません。鶏の餌でしょうか。銀粉が入っているようできらきらと豪華です。

 

歴史篇に登場する女性なのか、あるいは家事の女性なのか分かりません。歴史篇にも掲載しましたがこちらでもご紹介します。安来節の女性踊りで、泥鰌掬いを踊る姿かもしれません。

 

                 高さ14.6センチ

 

 

 

                 女義太夫 竹本土佐廣 (たけもととさひろ)

どうも女性の義太夫のようです。と言えば、明治生まれで大正時代に大人気となり昭和16年に改名した【竹本伊達子(だてこ)】こと、のちの【竹本土佐廣】ではないでしょうか。

 

女義太夫は、明治時代に大流行しますが明治末にはすたれます。【竹本伊達子】は大正時代に活躍した大スターです。のちに女義太夫として、初めて人間国宝になります。

                 高さ 13.9センチ

 

 

 

 

                     舞妓さん

 

舞妓さんは磁器から土人形まで、素材の違いから造りの違うタイプなどに膨大な種類が見られます。その中から同じ特徴の、底面に線の残る重い磁器人形のみを纏めました。

 

                    毬を持つ舞妓

                              背面【H】の刻印

       

       高さ 14.6センチ            高さ 14.1センチ

 

 

 

 

                   鼓を持つ舞妓

       

      高さ 13.9センチ             高さ 14.3センチ

 

 

 

 

                   犬を抱いた舞妓

 

        犬を抱いた姿は色々な造りに見られます。どれも狆を抱いています。

                  高さ 13.9センチ

 

 

 

 

                   傘をさす舞妓

      

        高さ 14.8センチ           高さ 14.1センチ

    本来、藤娘で藤の枝を持っていたの      破れ傘ですが、本来の付属品です。

    かもしれません。

 

 

 

                   扇を持つ舞妓

      

        高さ 14.2センチ           高さ 14.6センチ

 

 

 

 

                   羽根つきの舞妓

      

        高さ 14.3センチ          高さ 13.9センチ

 

 

 

 

                  桜の木に凭れる舞妓

                  高さ 14.2センチ

 

 

 

 

 

 

                    着物姿の童女

 

右手は肩に上げてブーケを持っています。その袂を左手でつまんでいます。背中にブーケがありますので前からは見えません。

                 高さ 13.7センチ

 

 

 

                    花を持つ少女

 

                両手で薔薇を一輪抱えています

                  高さ 14.5センチ

 

 

 

 

 

                    なよなよ人形

 

なよなよ人形と呼ばれる、夢二人形のようなタイプにも見られます。私の手元には小サイズの3寸クラスが幾つかあります。そちらは《戦前の陶磁器人形4=小サイズの重い人形【生活篇】》に展示しました。こちらは5寸クラスなのでこのページでご紹介します。磁器なので夢二人形とは違うと思います。

                 高さ 14.1センチ

 

 

 

 

                     縁起物

 

         達磨大師                    三番叟

      

       高さ 13.9センチ            高さ 13.8センチ

 達磨大師の立ち姿です。払子、目、裾に      三番叟を踊る姿です。右足を挙げて片足立ち

 金色が使われていて豪華です。          をしています。

 

 

 

【生活篇】として纏めた仲間はどれもかなり人気が高いようで、私の手元にはわずかな数しかありません。私自身の備忘録なので羅列しましたが、個々の説明はいずれ個別にご紹介します。

 

                    底面の特徴

 

 

           底面には型の前後を合わせたような線が残っています。