『ミッチーちょっとまって!』
家を出てすぐの所で、先を進む彼の背中のその服を掴んで引き止めた。
「え?」
(…………。
ハッ!!何引き止めたんだ私ってば!!!!)
無意識だったらしい、完全に。
これは告白かと沈黙するミッチー。
それをよそ目に脳内パニックに陥ったモモは咄嗟に
『あ!あっ、チャリ取ってくるから待って!
ほら、帰り私1人で夜道をまた引き返さなきゃだし!』
……その展開、我ながら求めてない、今。
告白ムード、自らぶち壊すのが大好きだもんね本当に。
「あ……あーうん」
ほら、ミッ チーも少しシラケた顔して駐輪場に入ってきた。
「あ、俺と似てる。色が違うけど」
『ミッチーのチャリ何色なのー?』
「赤」
『らしいねー』
「……ってか、モモさんチャリ鍵!付けっぱなしなの?!」
『え?うん』
「ダメだよ、パクられるよ。俺何回かパクられたし。防犯登録してたけど戻って来なかったもん。※▼☆$△■○……!!」
急にペラペラ復活。
自転車を押しながら、また歩き出す。
ミッチーが話続ける。
何だろ……何だか心地よい。
「俺、実は会ってない期間この駅に何回か来たんだよ。ほら、前に一緒に行ったラーメン屋あるじゃん。あそこなんか2回も行った。友達連れてね。」
『え?!こっちに来てたの?』
「うん、何気に来てる。」
『えっ!私っ……私もね、実は会ってない期間に前に一緒に行ったミッチーのお家の近くのラーメン屋に行ったよ。2回……友達と。』
「ブッ!!ホント?!」
『実は何回か私もそっちの駅で遊んだりした。』
二人とも目を丸くし合って笑った。
何やってんだ……二人とも……
この屁っ放り腰めーーーー!!!!!
この流れでどちらも告白する気がない。
「あ、そうそう。
そういえば、この間は失恋の後に友達が慰めてくれるって言うから“相席屋”行ったんだ。」
ビクッとするモモ。
『えっ?相席屋?』
実はモモ、連絡が取れなくなってから友達に励ましがてらミッチーの地元の駅に近い“相席屋”へ連れて行ってもらった事がある。
『どっ、どこの?』
「へ?」
『ど……何処にあるの、そういうの?』
「あー、どこにでもあるけど俺は地元の」
『えっ、い……いつ?いつ行ったの?』
「え、ホント最近。」
『そういう制度のお店……なに……何のつもりで、遊びで?』
「ああいう所に来る男女は基本、大したことない。だってカッコイイ系と可愛い系は行かなくても寄ってくるから行かないしね。社会勉強にはなったけど。行かなくていいよ、あんな所。」
行った人←
『……だーね、だーね。そうだ、そうかも!』
モモはミッチーと何だか色々似ているらしい。