キムタクこと、
言わずと知れた木村拓哉が主演する
『BG~身辺警護人~』は、
江口洋介・上川隆也と、
普段なら主役をつとめるだろう
2人を脇役に据えている。



その上、近年、
人気上昇中の斉藤工に菜々緒、
若手注目株の間宮祥太朗、
安定の好感度の石田ゆり子を配し、
「是が非でも視聴率を取りたい」
という思惑が見え見えで、
ちょっと辟易する。



脚本も木村とは13年ぶりだが、
かつて『ギフト』
『Good Luck❗❗』『エンジン』
でタッグを組み、
実績を残している
超ベテランライターの
井上由美子さん。

テレビ朝日の思惑は当たり、
初回の視聴率は15%を軽々と越え、
東海や関西では20%を越えたとか。
しかし、その後、
ある程度の高い水準は、
保っているものの、
若干ジリ貧気味である。
また、満足度や視聴熱は、
『99.9-刑事専門弁護士-』や
『アンナチュラル』に劣っている。

さすが、木村とのタッグ以外でも、
数々のヒットドラマを書いてきた
井上由美子さんの脚本だけに、
物語の内容は、
手堅くしっかりしている。
ただ、面白味に欠ける。
あっ❗と驚くような展開は無い。
しかも、人を描いているようで、
どの人物像も中途半端で、
人間臭さが伝わって来ない。


つまり、
ただただ木村をカッコ良く
見せるためだけに作られた
ドラマに思えてしまう。

下世話な話だが、
出演者のギャラを纏めれば、
相当な額になるだろう。
だが、見る者に収穫は少ない。

ボディーガードの活躍という、
爽快感はほとんど無い。
同じボディーガードを
描いた作品ならば、
昨年、NHKでオンエアしていた
窪田正孝と北村一輝の
『四号警備』の方が、
ドキドキ、ハラハラさせられ、
断然面白かった。
因みに、この作品の脚本家は、
『99.9-刑事専門弁護士-』の
宇田学さん。

その『BG』に対して、
『隣の家族は青く見える』は、
主役の深田恭子と松山ケンイチは、
当然、ギャラも1流だろうが、
木村ほどではない。
しかも、メインの
コーポラティブハウスの
住人となる他の中心出演者は、
平山浩行、高橋メアリージュン、
野間口徹、真飛聖、真島秀和、
北村匠海…とギャラから見れば、
かなり格安で済んでいる。


まあ、その分、
主題歌はMr.Childrenと、
ちとお金をかけている、
と言えるけれど…。

格安ドラマだが、私としては、
『隣の家族は青く見える』の方が
断然面白い❗👍

コーポラティブハウスとは、
1つの敷地内に数件が
それぞれ好みの家を建てるが、
共有スペースも設けているため、
一般的な一戸建てや
マンションの近所づきあいより、
結び付きは少し親密になる。

気の合う者同士なら良いが、
そう上手くはいかないもの。
舞台となる
コーポラティブハウスには、
それぞれ考え方や
嗜好の違う人たちが
集まってしまった。

主役の夫婦は、妊活中。
子供なんて欲しい時に、
すぐ出来ると考えていたが、
いざ子供を持とうとして、
1年数ヵ月避妊せずに
妊活に取り組んでも懐妊しない。
しかも、夫の妹がデキ婚で、
只今、妊娠中。
当の夫婦にプレッシャーがかかる。
どこか悪いのかと、
産婦人科に行くと、
お互いに体に問題は無かったが、
医者からは、いとも簡単に、
「不妊です」と言われてしまう。
そこから、
涙ぐましい本格的な妊活が始まり、
当初はタイミング療法を試したが、
妊娠には至らず、
ついに人工受精を薦められ、
只今、戸惑い、悩み中。
とは言え、夫婦お互いに
思いやり合うこの家が
一番まともな家庭。


ある家庭は、妻が強い。
「女は子供を産んでこそ一人前」
という考えを持っており、
実際に自分自身には2人娘がいる。
この女性が何事につけても
自分の物差しで計り、
その尺度を他人に押し付けてくる。
私がここの住人に
なろうとしていたなら、
デザイン案の打ち合わせの時、
この人を見て、
「キャンセル料を払っても
構わないから、ここには住まない」
と、絶対に主張する。
この女性とは、
いくら自分が譲歩しても、
良好な近所づき合いが出来るとは
全く思えないからだ。
しかも、夫は、
家を購入したばかりなのに、
「海外赴任の多い
    会社の方針にそぐわない」
と退職してしまう。
妻はもちろん、怒っているが、
主人は勝手に辞めてしまっており、
時既に遅し。
その代わり、失職中なのが、
他の家にバレないように、
夫を朝は通勤時間に出掛けさせ、
夜も早く帰ってきてはいけない、
と言う妻。

また、ある家は、
まだ正式には結婚していないが、
間もなく結婚する予定だった。
妻になる女性は、
先の家庭の妻とは対照的に
子供は持たない主義。
だから、
この2人は何かにつけてぶつかる。
そして、
夫となるはずだった男性の
前妻が突然、他界してしまい、
残された息子を
引き取ることになり、
結婚を目前にしながら、
別れ話となってしまう。

あと1軒は、
このコーポラティブハウスを
設計した建築士の男性が
1人で住んでいたのに、
そこへゲイの若い恋人が
転がり込んで来てしまう。
当初は、
「甥っ子を預かることに…」
と誤魔化していたけれど、
誰かの手によりバラされてしまう。
バラしたのは当の恋人なのだが…。


そこでひと波乱。
子持ち妻が
「子供にどう説明すれば
いいのか❓😤」と怒り心頭。
相手がここの設計士のために、
さすがに、
「出て行けっ❗」とは言えないが、
憤懣やる方無い。

私だったら、
この世の中には、
色々な考え方の人がいるの。
男女同士で好きになる人、
男性が男性を好きになる人、
女性が女性を好きになる人、
男性も女性も好きになる人、
と様々なの。
でも、
どの人もそれが生き方だから、
区別や差別はしてはいけないの。
みんな、同じ人間なのよ、と。
確かに子供はまだ小さいから、
きちんと理解できるか、
どうかは分からないけれど、
こんな風に説明する。

この4つの家庭は、
現代の典型的な問題を、
それぞれ抱えており、
このドラマは、
見事に世間を投影している。
この様々な問題を抱えた、
各家庭がいかにそれらを
乗り越えていくか。
また、彼らは今後、
上手く付き合っていけるようになり、
このコーポラティブハウスに、
平穏は訪れるのか❓
なかなかの見物である。


主役の夫婦は、
なかなかの好人物だけれど、
世間的に言えば、極々普通の人間。
あとの住人たちも、
短所は有るものの、
たぶん長所も持ち合わせる
普通の人たち。
世の中によくいるであろう、
この人たちが、
本当の幸せを見つけられ、
掴み取れるのか❓  興味深い。

つまり、
この『隣の家族は青く見える』は、
きちんと現代を生きる人間が
描けている佳作と言える。
脚本は『ぽっかぽか』シリーズ、
『Water Boys』シリーズ、
『地味にスゴイ❗校閲ガール・河野悦子』と、なかなか面白い作品を
執筆してきた中谷まゆみだけに、
今後が期待できる。

残念ながら、
視聴率はあまり良くないが、
私は違うが、
30代、40代のご夫婦が見れば、
結構面白く観られるドラマかと
思う。