砦に座るヴァイキングの王様

(ウラジミール・クーリッチ)




  ​13ウォーリアーズ/ジョン・マクティアナン(1999年、アメリカ映画)


13ウォーリアーズ

The 13th Warrior

監督: ジョン・マクティアナン

原作・製作: マイケル・クライトン

音楽: ジェリー・ゴールドスミス

出演: アントニオ・バンデラス、オマー・シャリフ、ダイアン・ヴェノーラ、ウラジミール・クーリッチ

1999年 タッチストーン・ピクチャーズ


2022年5月22日NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ました。


そうきましたか。


第20話のタイトルは「帰ってきた義経」。そういう意味でしたか。いやあ、ぐっとくるものがありました。

それにしても展開が早い今回の大河ドラマ。あっという間に平家は滅亡、あれよあれよという間に義経が歴史の舞台から退場しました。


わたしが粗筋を知ってる鎌倉幕府成立までのエピソードはこれで終わってますが?これから先に何が起きたのか、知らないんですけど?


義経も死んで戦乱の世が終わりました。

いい国つくろう鎌倉幕府。

めでたしめでたし。


じゃなかったんですか?


まだ5月ですよね。ここから先、どうなるのでしょう?


戦争が終わって政治の話になるということなのですかね?ここまでは前日譚だったのだと。これからタイトルの「鎌倉殿の13人」が意味を成してくるのでしょうねえ。


このまま予備知識を入れずに、ストーリーの流れに身を任せたいと思います。


脚本は三谷幸喜さん。これはすごいドラマですね。


それにしても「鎌倉殿の13人」「13人の刺客」。13人という数字を使ったタイトルの作品には外れがないのか?


いや、ありました。オオコケした作品が。


ほとんど誰にも気づかれずにいつの間にか公開が終わった超大作の「13ウォリアーズ」。

訳すと13人の戦士たち。



ミステリ19「13人をタイトルに使った作品に外れなしか?あ、13ウォーリアーズは?」



舞台は、西暦1000年ころの北欧スカンジナビア半島。そうです。バイキングです。


当時の村をまるまる再現した壮大なセットと大エキストラによる戦闘シーンによって1000年前のバイキングの戦いを完全に再現しました。


なにせ総製作費は130億円。宣伝費を合わせると160億円(160百万ドル)の超大作。


大コケしました。


興行収入は60億円(60百万ドル)。


アラブ人の旅行記(実話)をベースに英雄譚「ベーオウルフ」に着想をえて書き上げられたマイケル・クライトンの「北人伝説」が原作です。


彼の作品は多く映像化されており、コロナ禍を予言したかのような「アンドロメダ」とか。「ジュラシックパーク」「ER」などなど。大ベストセラー作家ですね。というわけで、原作は最高です。バイキングの生き様にしびれまくる、まさに血沸き肉踊る一大冒険活劇。


病で死ぬのは男の恥だ!

戦場で死んでヴァルハラへ行こう!


ストーリーを一言でいうと、

「バイキング版の七人の侍。ただし敵は魔物。」


あれ、ま、魔物?


小説では、まあ、魔物ではないんですよ。

きちんと納得のいく相手なんですよね。


映画では、まあ、魔物なんですよね。

SFになっちゃってます。


厳密にいうと若干ぼかしてあるようにはなってるんですけど。まあ、観た人の大半はSFだと思ったでしょう。そういう描き方でした。


映画だと、謎の魔物の正体を、キチンと解き明かしてない。ここが醍醐味なのになあ。


映画は当時の人々の視点を忠実に再現しているんです。当時の人の視点からしたら理解不能な完全に魔物。


でも、物語の外側から客観的にみている我々現代人たる観客からしたら、魔物の正体が理解できた方が面白かったと思うんですよねえ。。。


映画が荒唐無稽でお子ちゃま向けなお話しだったと判断されてしまったデメリットがあったのではないかと。


こんな敵がいたような気もするぞー、という絶妙のバランス感が面白いお話なのに。

その長所が伝わってないので、とても残念です。


いろいろ残念だと書きましたが、この映画、本当に面白いんですよ。


ガラガラの映画館でひとり興奮しながら観たことが思い出されます。

で、なんだろうこの敵は?という興味ですぐに原作を買ったわけですね。



推察19、

バイキングが命をかけて戦う相手の魔物について、物語の登場人物には理解できてなくても、観客にだけはわかるように工夫をしていたらヒットしたのではないでしょうか?


例えば解説のナレーションを入れるとか。


残念に思います。


原作のエッセンスをうまく表現できたら、歴史に残る大傑作と言われたかも知れないのになあ。


しかし!


原題は「13番目の戦士」。あくまでも主人公は異邦人のアントニオ・バンデラス。


またまた邦題の「似ているようで違う。観客をミスリードへと導く翻訳」問題が。

このタイトルだと主題を間違って解釈するのに。


というわけで、実は「13人の」というタイトルにハズレなし、というジンクスの対象外でした。この作品は。


なんちゃって。


2022/5/23