野戦病院が舞台の昔のアメドラ「M☆A☆S☆H」のことを書いたけど、あれには

原作本がある。朝鮮戦争(って誰か覚えてるんだろうか)に従軍した外科医が

体験を元に書いた小説で、ユーモアはあふれてるけどかなり辛口。ほとんど

告発本に近い。


野戦病院は名前の通り、前線近くのキャンプに設けられた仮設のテント病院。

大きな戦闘があると一気にけが人が殺到するので、医師やスタッフは不眠不休

で処置に追われる。できる限り短時間で、とにかく命をとりとめるだけの処置を

することだけに専念しなければならない。(元通りの状態に戻すことは優先され

ない。一人に長時間かけてこまかい手術をする余裕はないので、手や足を切り

落としても、多少後遺症が残ろうとも、とにかく命だけ助けなければならない。

かなり壮絶)


当然、医師にとっては悔しいことも多い。そのストレスを発散させるために、戦闘

がおさまっている時(一転して超ヒマ)は徹底してバカをやりまくる…というお話。


それを思い出してふと考えるのが、今住んでいる関東の地方都市の防災訓練。

災害も、非常事態という意味では戦争時みたいなもんだから。


阪神淡路大震災以降、防災訓練でもトリアージ(三分別)の練習をよくしている。

運ばれてきた患者を、優先順位の三段階プラス処置不要(よほど軽症か、重症

すぎて助かる見込みが薄い)の四種類に分けてカラータグをつけるんだけど、

訓練の様子をローカルニュースで見ていると、必ず患者役と医療スタッフだけで

やっているのがすごく気になる。


あれじゃダメだろ、と見るたび思う。予行演習のつもりなら、役者が足りない。


泣きわめく家族がつかみかかってくるとか、見ている他のけが人に詰め寄られる

といった、現実なら必ず起こりそうな事態をぜんぜん想定していない。あれで

本当にトリアージできる? 訓練にこそ、そういう役割の人たちも加わるべきだ。


地方では人間関係も狭い。その場にいる全員が顔見知りなんてありがち。そんな

状況で、家族や同級生や親しい人が患者に混じっていても、冷静に判断を下すの

はおそろしいほどプレッシャーがかかるはずだ。大事な人の優先順位を低くしたり、

最悪、見捨てる判断だってしなければならない。それも、せいぜい十数秒で。


本当にできるのか? 


正直言って、何か無理そう。それに見ていると何というか、やってる人たちにどうも

緊迫感が少ない。もちろん真剣さが足りないわけではないけど、やっぱり災害時

にはよそから助けが(おそらく首都圏からの救援が)来てくれるという感覚がどこ

かにあるような感じだ。


でも、東京中心に直下型地震なんか起きた日には、しばらく国の中枢も混乱状態

だろうから、そうそう地方まで救援なんか来ない。高速道路と鉄道が寸断されて陸

の孤島になる可能性も高いし、山が多いから電波中継所や衛星受信用アンテナ

が壊れたら、外からの情報も入らなくなるかもしれない。少なくともしばらくは、

孤立無援を覚悟でがんばり抜くしかないはずだ。


そのこと、本当に意識して訓練してるんだろうか? 


そりゃ、地方は地方で、都会より災害に強い部分もある。何たってどこに誰が住ん

でいるかはるかに明確なので、安否確認が早い。(新潟地震の時に実証された)

住民組織の消防団がいくつもあって、小回りのきくポンプ車も持っている。農家や

たいてい自前の米を一年分保管しているし、畑も多いので、作物も多少はある。

電気がとまっても、ガスはボンベで持っているから、使い切るまではある。


活用できる資源は案外たくさんあるんだけど…地方自治政府が、東京に頼らず

しっかりリーダーシップをとって動けるのだろうか?そのへんがどうもあやうい。


それにしても、日本みたいに山が多くて台風や大雨のたびに交通網が寸断される

国は、地方ほどもっとヘリコプターを活用するべきだよなぁ…最近やっと山岳救助

では普通になったけど、悪天候でも飛べる技術のある人材がまだ明らかに不足

してるし、一般の救命救急なんかにはまだまだ、ほとんど活用されていない。


私が中学生ぐらいの頃、すでにアメリカの連ドラに、山奥の小さな町が舞台で

警察は保安官一人きり、毎日のパトロールは自分が操縦するヘリでやってて、

急病人やげが人が出れば、町に一人しかいない医師を乗せて救急車がわりに

飛ぶ!っていうのがあった。(しかも、特に珍しい設定ではなさそうで、メインは

都会っ子の若くて優秀な医師が地方にきて奮闘するっていう話だった)


日本では今だに、まだ医師が救急車に乗ることさえ珍しいんだから、もう何十年

分も、すごくすごーく遅れてるってことだ。


あれ? またアメドラの話に戻っちゃったよ。いい加減にやめなきゃ。

(受験勉強と称して、深夜放送を見まくっていたのがバレバレだ)