一枚の図書カードがある。
これは先日送られてきたものだ。
話は昨年の夏にさかのぼる。
私は病院の中庭をカメラを持って散歩をしていた。
そこで一組の家族と出逢った。
幼稚園生くらい子どもが二人に年相応の両親。
そして入院中のおばあちゃんがいた。
おばあちゃんは背もたれの長い車椅子に乗り、
鼻はチューブでつながれていた。
外出許可をもらったらそのおばあちゃんは
話すことができなそうだった。
携帯電話で家族写真を撮るその家族を見て、
私は携帯ではもったいないなと思った。
「撮りますよ」というつもりが
「私のカメラで撮りますよ」と声をかけていた。
持っていた新聞の端に住所を書いてもらった。
帰りにコンビにで現像してその日、早速郵送した。
おばあちゃんもうまい具合にカメラ目線で
いい写真だった。
その日、やけにつかれた気分だった。
というのは自分の行為が偽善に感じたから。
私は勝手にそのおばあちゃんの残りの命の時間を
実は想像していた。だから写真におさめた。
”携帯ではもったいない”ではなくて
その5人で外で撮れる写真はもう
最後ではないかと思ってしまっていた。
家族に伝わる。
そう思って
「写真の勉強してて課題なんですよ」とウソをついた。
先日、一通の手紙が届いた。
おばあちゃんの今年に入ってからの
他界について綴られていた。
それから
私達家族の一生の思い出となりました。
と書いてあった。
同封されていた図書カード、
一生ものになる本に変えようと思っている。