イングランドの歴史において、バラ戦争(Wars of the Roses)はもっとも象徴的な内戦の一つです。赤い薔薇のランカスター家と、白い薔薇のヨーク家。この長きにわたる血と権力の争いを終わらせたのが、都(チューダー)王朝の始祖・ヘンリー七世でした。

本作は、チャールズ・エドワード・モーバリー著『The Tudors: 1485–1547』を資料的基盤とし、歴史的事件を再解釈しながら描かれたビジュアルシリーズです。騎士たちの出陣、王族の婚礼、王朝の象徴である「都玫瑰(チューダー・ローズ)」の誕生、そして血塗られた女王・メアリー一世の視点まで、都王朝初期の緊張と変革を五感で伝える構成となっています。













各作品は斜め構図やフレームの突破、線を引き裂く演出を用いており、視線の流れと心理的な躍動感を意識。また、全編にわたって手描きによる半彩・モノクロの技法を併用し、あえて現代のAI技術とは異なる「人の手による痕跡」を強調しました。

歴史をただ再現するのではなく、「線」と「構図」で語る——
この作品群は、そうした試みの集大成です