小学生の頃、わたしにはちょっとした「ビジネス」があった。
それは 「貸本屋」。
ある日、本好きなわたしは、クラスメートたちに自分の本を貸し出すことにした。もちろん、無料ではない。ほんの少しの「貸し出し料」——そう、お菓子一つでも、面白い話でも、それがわたしの対価だった。
「君の本、すごく面白かった!」
「次はどの本が借りられる?」
友達の間で評判になり、わたしの貸本屋はちょっとした人気を集めた。ところが、それを見ていた別の子が言い出した。
「私も貸本ビジネスを始める!」
競争相手の登場である。
小学生の世界でも、「成功」はすぐに誰かに真似されるもの。
でも、大事なのは「最初に始めたこと」と「続けること」。
その精神は、大人になった今でも、変わらないのかもしれない——。