笑顔をもう一度1
看護婦を首になった明美はあさやの
二階で暮らし始めた。
もちろん、そのことは内緒である。
良子は勝二がお店をやめろといったと
嘘をついてお店をやめた。
君枝は、昭一にお店のことを言えず、これから
も言う気もなくお店をやめた。

しかし、週末までにテーブルクロスをつくる
注文をこなさないといけない。
「受けた以上はやらないとだめだ」とすみれは
手を動かす。

明美は、「その言葉をあの二人に聞かせたい」と
いった。
ランディ夫人はテーブルクロスを楽しみに
していた。
そして、君枝に昭一が帰ってきたお祝いだと
いってワインをくれた。
ランディ家はもともと昭一の実家だった。
それを戦争に負けたために接収された。
自分たちは使用人の家に住んでいる。
それだけでも恨みつらみである。
君枝はランディ家からもらった
ワインを隠すことにした。
しかし、昭一が帰ってきて
琴子が出迎えたその時
健太郎がベッドの下に置いたワインを
だしてきてころころところがした。
琴子はワインをみて
「どういうことだ」と
君枝に聞いた。
君枝はランディ家が週末ホームパーティをする
という。
其れだけで琴子は深く傷ついた。
そしてランディ家と仲良くする君枝を
にらんだ。

すみれは一晩徹夜だった。
翌日お店に行くと
明美がいた。パッチワークを手伝うために
早くお店に来たというが。
仕事が首になったので他に
やることがないのだ。
明美は週末までにできるかどうか
不安を抱えていたが
すみれはたんたんとパッチワークをする。
そこへ、君枝と良子が来た。
悪いと思っているらしく
「すこしなら家に持って帰ってできる
かもしれない」という。
明美にとってそれは自分たちの罪悪感を
和らげるためのものだという。
やる限りは責任を持つべきだというと
良子は明美だって看護婦の仕事の片手間
にやっているくせにという。
明美は、ついに「看護婦はやめた、いややめ
させられた」といった。そして「今はこの仕事を
やろうと思っている」といった。
責任をもってできないという二人は
帰って行った。
すみれは毎日毎日徹夜で
パッチワークをした。
そのパワーに明美は驚いた。

ふとみるとディスプレーの
ワンピースを見ている子供が
いた。
すみれは店の外に出て
女の子に声をかけた。
「こんにちは、なにかよう?」
すると女の子はだまって
去って行った。
そしてまたすみれはパッチワークを
はじめた。
当日の朝、ようやくテーブルクロスができ
あがった。
歓声を上げる明美と麻田だった。
ふたりは、それをランディ家にとどけた。
夫人はたいそう喜んだ。

そして、様子を見に来た君枝に
「あなたたちに頼んでよかった」と
君枝を抱きしめてお礼を言った。

すると
その場面を昭一がみていて
「これはどういうことだ」と
君枝に説明を迫った。
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すみれは子供のころから
たしかに、徹夜で作業をするこども
だった。
明美の厳しい姿勢に
ふたりは、たじたじするが
これも責任感が大事である。
それを持てないなら
君枝も良子もすみれと
仕事をする
資格がない。
ぽんぽんと厳しいことを言う
明美だが、いっていることは
正しい。
もう、お譲さまたちと
いうこともやめたほうがいい。
明美には明美の
正義感があることが
颯爽としていると思った。