お父様の背中2
潔が警察に逮捕されたと
ゆりがいう。
そこへ客が来た。
時子たちは帰って行った。
客とは外人と派手な格好の
おんなだった。
良子は水商売風の女性が
キライらしく、「いらっしゃいませ」が
ちゃんと言えなかった。
女性は、商品を見て
赤ん坊の肌着を手に取り
「これ、一回洗ったら
縮むとか」ときく。
君枝は「大丈夫です。
一度洗ってから
作っていますから」といった。
手が込んでいると
よろこび「これはいくらだ」と
聞いた。
まだ、値段がなじんでいない
君枝はノートを
くったが、
すみれは「100円でいかがですか」と
聞いた。

「やすっ!!!」

と女性は驚き
肌着の柔らかさも気に入った
ようで、
「これと
これと
これと・・
これ・・・」
とたくさん買って
「サンキュー
アイ
アム
ベリーハッピー」と
いって
帰って行った。

明美は良子の接客態度に
腹をたてて
「あの態度はなんなの?」と
問い詰めた。

良子は「ああ言う人が苦手だ」と
いうが、
明美は、「これだから
お嬢様はいやだ」といって
店の奥に
入っていった。

一方警察では
栄輔が潔を心配して
いた。
ゆりが、五十八をつれて
いって栄輔に紹介した。

「すると・・・・あなたが
坂東五十八さんですか。」
五十八がそうだけどというと
栄輔はあいさつ回りに言ったさき
ざきで五十八さんに世話になった
五十八さんは元気かと
尋ねられるという。
それで、どんなひとなのかと
思っていたといった。

「ええ時代やった」と
五十八が言った。

ゆりは、「潔がいなくなったら」
と心配する。
危ない仕事に手を出している
らしいが、これからの潔が
心配だと五十八は思った。

すみれたちの子供はキヨが
みている。

潔は警察から釈放された。

闇市を歩く五十八たち。
潔は、ゆりの話を
五十八にした。
「大事な娘をこんなところに住まわして
いるなんてと
思っていますよね」というと
五十八は「思っていない」という。

すこし、留守にしている間に
家の中は壊されてしまって
いた。
外では、玉井たちの
会話が聞こえてきた。
道端で野菜や魚を売っている
男に「おまえらこの辺で
見かけない顔やな」と
話しかけていた。
栄輔はあいつらの仕業だと
いうが、潔は争いを
とめた。

玉井は潔を見て、「警察からの
お帰りですか」と笑いながら
聞いた。

しかも、潔の店も壊れていたので
「店もこんなになってしまって」と
他人事のように言った。
そして、「場銭を払わない店は
ちょっと留守にしたら
こんな風になるらしいで」という。

「なんぼや場銭は?」と潔が聞く。
「300円いらだきましょか?」
潔は場銭をはらった。

ゆりと五十八はじっと見ていた。

そして玉井たちは先ほどから
道のはじで
野菜や魚をうっている
男たちに
「場銭を払わないと
ああなる」と脅した。
300円は彼らにとって
大変な金額で
「払えない」と
困っていた。

すると玉井たちは
「それならこれみんなもらっていく」と
いうと男たちは「やめてください」という。

潔は、「忘れていた」といって
玉井に「この人たちに
売り場を貸す予定だったけど
自分が留守にしたので
その辺に店を出してしまった
ようだ。うちは場銭を払ったから
かまわないだろう」と
玉井に言う。
玉井は、渋い顔をして
去って行った。
根本は顔のはしで
笑って去って行った。
五十八は「あれがもとじめか」と
いった。
そして、潔はほんまに
うちで見せだしてもいいと
男たちにいった。

栄輔は
すみれに潔の無事を報告した。

良子は夫が帰って来たら
わかるようにと
家の玄関先に行先の
あさやにいることを紙に
書いて貼った。

そのころ、明美は
病院から首の宣告を受けた。

あさやでは
良子が隣の家にすんでいるランディ
大佐からホームパーティの
時に使うテーブルクロスの
注文をうけたという。
150×260のサイズである。

しかし、どんなデザインがいいのか
よく聞かないとわからないので
明美に通訳を頼もうと
話しがきまった。


「明美さんか・・・・

あの人、苦手やわ」と
良子が言う。

どうも、良子と明美は
あわないらしい。

明美は、首になったことで
落ち込んでいた。

みんな明美を待ったが
なかなか帰ってこなかった。

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良子さんはひとの好き好きが
あるらしい。
水商売の女性はいいお客だった。
高いものでも
どんどん気に入って買ってくれる。
この時代、お金を持っている人は
こう言う人だったのだろうと
思った。
つまり普通のひとは
お金などもっていない。
貧乏だったのだ。

だから商売をするなら
いやでもお客様だと
思って
相手になるしかない。
良子はそれができないので
明美とぶつかった。

潔の商売のゆくえはこれから
どうなるのか・・・
心配なところでもあります。