とにかく前へ4
麻田はすみれがもっていた
写真いれをみて、「これを作って
ここで売ったらどうですやろ」と
いった。
「売る?」

すみれは、早速古い服をだして
鋏を入れて小物を作り始めた。

潔に「働くしかない」と言われた
ことを思い出した。

「自分の手で仕事をして
自分の足で生きていくんや」と。
働くなど考えたことのない
すみれが、がむしゃらに
働き始めた。

そして作り上げた小物をもって
でかけた。

アサやの店先でかわいいお物を売っていると
麻田が若い女性に声をかけた。
そして、子供を負ぶった女性たちが
すみれの店?にやってきた。

そして、小物を見て
「すてきやわ~~~」
と声を上げた。

でも、「子供がおもらしをしたの
では?」と誰かが言ったので
「そういえば・・・」とみんな
鼻をくんくんさせて、「してる?」と
いって、一斉にさっていった。

お嬢様のすみれはどうしようもない。
そこへ、外国人の男性が来た。
ジョンという。
「すみません、靴の修理を
お願いします」という。
新聞社の通訳をしているので
日本語がわかるという。
すみれは麻田がもうすぐ、
戻って来るので
お待ちくださいといった。

ジョンは
小物を見てかわいいという。
「楽しい趣味ですね」といった。
すみれは、「趣味ではなく
これを売って生活しようと
思う」といった。

男は、「ノーチャンス」と
つぶやいた。
で、それはどういうことかというと
ありえない・・・ということだろうと
思いますが。

「これ、ワイフにプレゼント。
いくらですか?」

そう聞かれてすみれは
値段を決めてなかったことに
気が付いた。

一週間後
麻田の店に雑貨をおかせて
もらってあれ以来、ひとつも
売れていない。
そんなとき、麻田の知り合いの
あの、小野明美が来た。

すみれは、クリスティーナの家で
であった看護師の明美だと
わかった。

麻田は「なんや知り合いか」という。
すみれは明美とはクリスティーナの
家で一度会ったといった。
明美は、「一度ではない」と
つぶやくが。

すみれに「何をしているのか」
と聞く明美。
「ここで、手作りの雑貨を売っている」
といった。
写真いれに、小物入れに
ハンカチに・・・

「だれがこんな贅沢品を買うの」と
明美が聞く。

「みんな食べていくのに必死やのに。
食べるものを買うこともでき
ないのに・・・」

と明美がいう。

翌日、すみれは、麻田の店にいくこと
なく、家にいた。
そこへ潔が食べ物をもってきた。
潔に「自分が甘いということが分かった」
と、いった。
潔は、深刻な顔をした。
英輔がすみれの年を聞いた。
21歳というと
自分の死んだ妹と一緒だと
いった。
「死んだらなにもならない。
妹の分まで頑張ってほしい」と
いった。

すみれは、また麻田の店で
雑貨を売った。

そこへジョンがやってきた。
修理を頼んだ靴の受け取りである。
あの日かった雑貨は
ワイフが喜んでいたという。
すみれは「うれしい」という。
「もうすぐ、子供が生まれる。
でも、長旅で体を壊してしまって
家でずっとベッドにいる。
寂しい思いをしている」と
いう。
「わたしにも一歳の娘がいる」と
すみれがいう。
そして、写真を見せた。

ジョンは英語で「かわいい」と
いった。

「なにか・・・
なにか・・・・

作ってお持ちしましょうか?
たとえば、えっと・・・
おしめとか・・・・」

「それは助かります。
ぜひ、ワイフにあってください。
そのおしめ買わせてください。」

すみれは、がんばっておしめを
作った。

元気な赤ちゃんが生まれますように
とすみれは思いをこめて
おしめを縫った。

そして、できあがって
もっていった。

エイミーは金髪の美しい
女性だった。

すみれをみて、うれしそうな
顔をした。

「来てくれてありがとう」と
いった。
「こちらこそ、お会いできて
うれしいです。」とすみれがいう


エイミーも英語で言った。
Nice to meet youって感じ?
さっそくすみれは
作ったおしめを
出して見せた。

すると

エイミーは・・・・
ジョンに、なにかを
いっている。

つまりこんなものではないという
ことだった。
すみれが作ったおしめは
日本でよくある
長方形のもめんの短い部分を
つなぎあわせたもの
だった。
エイミーは気分が悪くなった
のか、ジョンに当たり散らした。

「こんなものいらない」といって
「日本に来るんじゃなかった」と
いった。

ジョンはすみれに「申し訳
ないけど
今日は帰ってください」と言った。
すみれは、何が何だかわからない。
*********************
すみれは、まだまだお嬢様がぬけない。
潔だって男だけどけっこう
苦労をして働いている。
すみれが自分は甘い人間だと
いったとき、潔はどう思ったのだろう
か?セリフはない。
こんなお嬢様が世間にもまれて
わたしは甘いということがわかり
ましたといったところで
どうなるものでもない。
野上の父に坂東家あっての
私たちだ、坂東家とお嬢様がた
をお守りするのが自分たちの役目だと
いわれたものの
潔にも、このご時世を生き抜くには
強い覚悟がいる。
ましてや、すみれは女ひとりである。

明美のことはすみれは全く
覚えていない。
むかし、坂東家で働いていた
小野という女中がいて彼女に
娘がいてそれが明美だとは
まだまだ、気が付かない。
これは明美にとっては
侮辱であるが、仕方がない。
すみれには、何も悪気が
ないのである。
そんな世間をしらないすみれが
人のためにと
べっぴんの何を作るという
のだろうと、思うが・・・
この辺が、このドラマの特徴
かもしれない。
いままでは、トト姉ちゃんのように
戦後、暮らしに苦労する女性たち
のためになる雑誌を作りたいと
願ったが、すみれは
ちがう。誰かのために
べっぴん、つまり
特別なものを作るというので
ある。
でも、それは次第に大きく
多くの人のためにという
くくりになるのだろうが・・・
この時代、たしかにぜいたく品を
作っているにすぎない。
そんな時代であった。

エイミーさん、ひさしぶり!
マッサンの奥様、亀山エリーを演じた
あの、シャーロット・ケイト・
フォックスさんです。
「おお、シャロやん~~~
おかえり~~~ひさしぶりやね~~」と
思いました。

で、なんや、今回は
日本に来たくなかった女性の
役かいな。エリーは駆け落ち同然で
日本に来て、もう祖国には帰らない
といっていたのにと
思いましたが・・・役柄がずいぶん違うね。

でも、エイミーはきっとすみれの
べっぴんを引き出す役割をすると
思うよ。

だって、これでもおしめは今までに
出てきた伏線ですやん。

クリスティーナの家で明美が
おしめの付け方を実演していた
のをすみれは見ていたわけで、
日本の育児は遅れていると
明美が言ったこともきっと
覚えていると思うし
あの時のおしめは正方形だった
ことも覚えているはずですけどね。

それがどんなものか・・・
よくわからないので、日本古来の
おしめを作ったと思います。

これって・・・・・
洗濯は、利くけど・・・
あかちゃんにとっては
とんでもなく、気持ち悪いもの
です。
だって、おしっこをすると
うんちもそうだけど
すぐに、べとべとになって
気持ち悪いと思いますよ。
だから、早くおむつ離れができたと
いいますが、その間の2~3年は
親子ともに
大変なものです。

わたしも、実際、この手のおしめで
育児をやってみたこと
ありますが、
洗濯が大変。
干したり、たたんだりも・・・

すぐにべとべとになる。
おむつカバーがしっかり汚れて
大変。

いまでさえ洗濯機がありますが
この時代は、たらいで
他の洗濯物とは別に
して洗っていたことを
おもえば・・・・・
今の時代でよかったですね。
私も自分の育児は
紙おむつでいきましたから。

そうそう、ちなみに
すみれという名前は
亀山エリーさんにとっては
夫の亀山政春の妹の名前でした
ね・・・
シャーロットさんは
すみれに縁があるのか
しらね・・・。