とにかく前へ3
すみれは闇市で物を売って現金に
かえて食べ物を買うしかないと
潔が言ったことを
おもいだして、思い出の品物を
売ろうと荷物を作った。
戦後のやみ市は犯罪まがいのことは
当然のようにまかり通り
それがなければ人々は生きて
いけれない時代だった。
その闇市でもめ事に
まきこまれたゆりはガラの悪い
男たちに絡まれた。
「この女、潔とかいうやつの女です
わ・・」と男が言う。
ゆりが乱暴されそうになったとき
「なにをするんや」といって
ゆりを助けようとした男がいた。
そこへ潔が出てきて
男たちをにらんだとたん
連中はさっさと去って行った。
ゆりをかばった男は
岩佐英輔といった。
潔とは復員列車で知り合いに
なったという。
家の中でお餅を
ごちそうになる英輔だった。
そこへ、すみれがやってきた。
すみれをみて英輔は
呆然とした。
「わし、英輔言います。」
とすみれにいった。
英輔の家も家族もなくなってしまった
という。
潔は、英輔のために家を探しに行くと
でかけた。英輔もそれについていった。
おいしそうなお餅をみてすみれは
ごちそうを食べているのだと思った
が、ゆりはいつもそうではなくて
うちも大変なのよという。
その言葉を聞いてすみれはゆりに
頼もうと思っていたことを
言えなくなってしまった。
闇市を歩いて帰るとき
物をもっているので
ガラの悪い男が
「売りたいんやろ?
見せてみ」と声をかける。
すみれは、「いいです」といって
振り切るように逃げた。
あるキャバレーの前を通ると
女店員募集とあった。
そこへ、派手な服を着た女性が
男と一緒に歩いてきた。
「邪魔」、といってすみれをどかせて
男を店の中に入れた。
女は、「あんたいまでも
のろのろ、とろとろしているんやね。」
とすみれいった。
彼女は高西悦子だった。
英語の授業がなくなったと
いって手芸部のすみれたちに
八つ当たりしたり
遠足では日の丸弁当と決まって
いるのに、派手なおかずをもって
きたり。悦子さまである。
そして、英語で外人の客を
店に招き入れていた。
すみれはあっけにとられて
その店がキャバレーであることに
やっと気が付いた。
悦子は、戦争で家族を失い
夫も失った。
「それでも生きていかなあかんねん
たった一人生き残った
娘のために。
ここにくるんは、最後の最後やで・・」
そういって店に入っていった。
すみれは、バラックの小屋で
「寒いな」といって
さくらと一緒にねた。
翌日すみれは言いだせなかったことを
ゆりにいった。
「持ってきたものを
現金に換えてほしい」と・・・
五十八に買ってもらった
服など思い出のものだった。
潔は、自分が現金に換えてくるといった。
「でも、これからはこんな風に着るものを一枚
一枚売って行く、竹のこみたいやろ?」
たけのこという商売なのだが、最後には丸裸に
なるしかない。
働くしかない。
すみれにも、自分の手で仕事をして
自分の足でいきるのだという。
「昔のようにこ嬢ちゃんでは
いられへんのやで。」
そういわれた。
「こ嬢ちゃん・・・」と潔がよくいった。
小さいとき潔に
靴屋に連れて行ってと
頼んだことも思い出した。
麻田を思い出した。
そして、すみれは
麻田を訪ねた。
『精魂込めて作らせていただき
ます。』
『だれがどんな思いを込めて作る
のか、それが退治なんです・・』
麻田は無事だった。
すみれを見て喜んだ。
そして、商売のことを訪ねた。
アメリカ人の靴の修理を
やっているという。
下駄も作っているという。
皮が手に入らないという。
すみれが持ってきた
自分が作った靴をみて
「良かった、無事だったのか」と
いう。
「この靴を・・・売ってもらえない
でしょうか?
この靴に足が合うお客さんに・・・」
「これは、すみれお嬢様のためだけに
あつらえたものです。
他の人に売るなんて堪忍してください。」
すみれはずっと大切にしていたと
いった。
でもお金が必要なので
子供のためにという。
さくらという娘は
麻田は知らなかった。
写真をみせると
「かわいい」という。
写真いれが素敵だとも言った。
それはすみれが作ったものだった。
「さすがですな。
作ったらどないですやろ?
いろんなものを作って
ここで売ったらどうですか?」
「売る???」
思いもよらない麻田さんの
ひとこと
だった。
******************
英輔とは何ものでしょうか?
一目ですみれを好きになったのでしょうか?
潔も、上品にそだったはずなのに
睨みのきく男になりました。
あぶないですね。
こんな社会でなにが
災いするかわかりません。
高西悦子とこんな風に
再会するとは思いもよりま
せんでしたね。
お金がないと食べ物がないという
生活にすみれはほとほと
困り果てたようすです。
それでも、働くということが
分からず、キャバレーで働く
ということもあまり理解できて
いないのではと思います。
麻田を思い出して、靴を
売って欲しいと持って行った
その時、さくらの写真をもって
いったのですね。その写真いれを
麻田はすてきだと思って
手芸品をうることを
進めるわけです・・・。
セレブのお嬢様が
一転、貧乏暮し。
父、五十八も勢いがなくなり
近江に引きこもりとなった今
すみれはさくらとの生活を
考えています。
すみれは闇市で物を売って現金に
かえて食べ物を買うしかないと
潔が言ったことを
おもいだして、思い出の品物を
売ろうと荷物を作った。
戦後のやみ市は犯罪まがいのことは
当然のようにまかり通り
それがなければ人々は生きて
いけれない時代だった。
その闇市でもめ事に
まきこまれたゆりはガラの悪い
男たちに絡まれた。
「この女、潔とかいうやつの女です
わ・・」と男が言う。
ゆりが乱暴されそうになったとき
「なにをするんや」といって
ゆりを助けようとした男がいた。
そこへ潔が出てきて
男たちをにらんだとたん
連中はさっさと去って行った。
ゆりをかばった男は
岩佐英輔といった。
潔とは復員列車で知り合いに
なったという。
家の中でお餅を
ごちそうになる英輔だった。
そこへ、すみれがやってきた。
すみれをみて英輔は
呆然とした。
「わし、英輔言います。」
とすみれにいった。
英輔の家も家族もなくなってしまった
という。
潔は、英輔のために家を探しに行くと
でかけた。英輔もそれについていった。
おいしそうなお餅をみてすみれは
ごちそうを食べているのだと思った
が、ゆりはいつもそうではなくて
うちも大変なのよという。
その言葉を聞いてすみれはゆりに
頼もうと思っていたことを
言えなくなってしまった。
闇市を歩いて帰るとき
物をもっているので
ガラの悪い男が
「売りたいんやろ?
見せてみ」と声をかける。
すみれは、「いいです」といって
振り切るように逃げた。
あるキャバレーの前を通ると
女店員募集とあった。
そこへ、派手な服を着た女性が
男と一緒に歩いてきた。
「邪魔」、といってすみれをどかせて
男を店の中に入れた。
女は、「あんたいまでも
のろのろ、とろとろしているんやね。」
とすみれいった。
彼女は高西悦子だった。
英語の授業がなくなったと
いって手芸部のすみれたちに
八つ当たりしたり
遠足では日の丸弁当と決まって
いるのに、派手なおかずをもって
きたり。悦子さまである。
そして、英語で外人の客を
店に招き入れていた。
すみれはあっけにとられて
その店がキャバレーであることに
やっと気が付いた。
悦子は、戦争で家族を失い
夫も失った。
「それでも生きていかなあかんねん
たった一人生き残った
娘のために。
ここにくるんは、最後の最後やで・・」
そういって店に入っていった。
すみれは、バラックの小屋で
「寒いな」といって
さくらと一緒にねた。
翌日すみれは言いだせなかったことを
ゆりにいった。
「持ってきたものを
現金に換えてほしい」と・・・
五十八に買ってもらった
服など思い出のものだった。
潔は、自分が現金に換えてくるといった。
「でも、これからはこんな風に着るものを一枚
一枚売って行く、竹のこみたいやろ?」
たけのこという商売なのだが、最後には丸裸に
なるしかない。
働くしかない。
すみれにも、自分の手で仕事をして
自分の足でいきるのだという。
「昔のようにこ嬢ちゃんでは
いられへんのやで。」
そういわれた。
「こ嬢ちゃん・・・」と潔がよくいった。
小さいとき潔に
靴屋に連れて行ってと
頼んだことも思い出した。
麻田を思い出した。
そして、すみれは
麻田を訪ねた。
『精魂込めて作らせていただき
ます。』
『だれがどんな思いを込めて作る
のか、それが退治なんです・・』
麻田は無事だった。
すみれを見て喜んだ。
そして、商売のことを訪ねた。
アメリカ人の靴の修理を
やっているという。
下駄も作っているという。
皮が手に入らないという。
すみれが持ってきた
自分が作った靴をみて
「良かった、無事だったのか」と
いう。
「この靴を・・・売ってもらえない
でしょうか?
この靴に足が合うお客さんに・・・」
「これは、すみれお嬢様のためだけに
あつらえたものです。
他の人に売るなんて堪忍してください。」
すみれはずっと大切にしていたと
いった。
でもお金が必要なので
子供のためにという。
さくらという娘は
麻田は知らなかった。
写真をみせると
「かわいい」という。
写真いれが素敵だとも言った。
それはすみれが作ったものだった。
「さすがですな。
作ったらどないですやろ?
いろんなものを作って
ここで売ったらどうですか?」
「売る???」
思いもよらない麻田さんの
ひとこと
だった。
******************
英輔とは何ものでしょうか?
一目ですみれを好きになったのでしょうか?
潔も、上品にそだったはずなのに
睨みのきく男になりました。
あぶないですね。
こんな社会でなにが
災いするかわかりません。
高西悦子とこんな風に
再会するとは思いもよりま
せんでしたね。
お金がないと食べ物がないという
生活にすみれはほとほと
困り果てたようすです。
それでも、働くということが
分からず、キャバレーで働く
ということもあまり理解できて
いないのではと思います。
麻田を思い出して、靴を
売って欲しいと持って行った
その時、さくらの写真をもって
いったのですね。その写真いれを
麻田はすてきだと思って
手芸品をうることを
進めるわけです・・・。
セレブのお嬢様が
一転、貧乏暮し。
父、五十八も勢いがなくなり
近江に引きこもりとなった今
すみれはさくらとの生活を
考えています。
