思いを込めた特別な品5

母はなの命は長くはないと
医者に言われた。
五十八は一日退院をさせてほしいと
申し出て子供たちとの
過ごす時間を作ってやりたいと
いった。
その日、はなが帰ってきた。
ゆりとすみれは、玄関ではなを
迎えた。

そして、家の部屋中を花で飾って
はなをよろこばせた。

はなと五十八が
子供たちの遊ぶ様子をみながら
話をしていた。
五十八は仕事が成功したのは
はなのおかげだといった。
働くのが好きな五十八だった
が、その彼をはなが支えた。
はなは五十八に
娘たちをお願いしますと
いった。
五十八は言葉に詰まった。
まかせとけと言ってほしいと
はながいう。
ゆりは、強いけど最後まで貫
けないから心配だ。
すみれは、つかみどころが
ないけどしっかり
話すことができる。
すみれは、ぼーっとしている
ように見えるけど
よくものを考えていると
二人は話し合った。
はなは五十八に言う。
「いくつになっても何十年
たっても忘れないでほしい。
こんなに子供たちを
愛していたことを。
私らにとってあの子らは
特別のべっぴんさんや。
五十八さん
ゆりとすみれを
よろしくお願いします。」

五十八は
「まかしとけ」
といった、

はなのまえで
夢を語った。
大きくなったら
ゆりは英語を勉強して
父の会社を継ぎたいと
いった。
「すみれは・・・?」
「なんかな・・
なんかな・・・」
と、ことばにつまる。
五十八はイライラした。

翌朝、すみれが起きると
刺繍の壁飾りの
作品があった。
これは、はながゆりとすみれが
はなのおなかにいるときに
思いを込めて作った作品
だという。

健康でありますように
幸福でありますように。。
いろんな思いがこもって
いるという。

いよいよ、はなが病院へ
戻るときとなった。
はなは二人の子供の手を
にぎって
泣いた。
そして、「またね」といった。

「早よう帰ってきてな」
とゆり。
すみれは
「わたしな、もろたひとが
うれしいと
思うようなべっぴんさんを
作る人になりたい・・・」

すみれがいう。

昨日の話の続きだった。

「ええな、なれるよ
ぜったい。」

そういってはなは
去って行った。

はなは思った。
旅立つ者はしっている。
これから大切は人たちを
見守っていけれることを。
はなはすれみたちの
もとから
去って行った。

そして、昭和17年、1942年
となった。
すみれは女学校の
5年生となった。
刺繍は続けていた。
ゆりは女子大で英語を
学んでいた。

すみれは、写真のはなに
語った。
「お母様
女学校の友達が
もんぺでもおしゃれしたい
っていうから刺繍をしたのよ。
よろこんでくれるかな。」

そういってはなの写真に
「いってきます」といって
でかけた。

友だちの
良子、きみ
にモンペをわたした。
小さく、クローバーの
刺繍がしてある。
「わたしのも、してあるのよ」と
すみれがいう。
ともだちはおそろいに
よろこんだ。

はなはいう
「すみれ、よかったね。」
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ゆったりと時間が
ながれるような
ドラマですが
これからが大変です。
そう、戦争の時代に入ります。
不安で怖くて悲しい時代です。
このところの朝ドラでも
必ずこの時代はつらいという
表現がありました。
マッサンの時はエリーが
外国人だったので
みしらぬひとから
石を投げられたり
スパイ容疑をかけられて
見張られたりしました。
ごちそうさんのときは
食べるものがなくて
めいこはこんな戦争は間違って
いるとさけんだり・・・
いけずな姉の家で
居候の悲しさを味わったり。
それでも、大阪に戻っても
なにもないなか、食べることに
苦労しましたね。
あさが来たは、ちょっと
時代が古かったですが
日清日露の戦争はありました。
そんな感じで朝ドラを見てると
戦争がどれほど庶民の暮らしを
壊してきたことかと
思います。
そう、これは、小橋常子さんの
トト姉ちゃんのおはなしです。
優雅な娘時代はおわり
闘いの時代に入るのでしょうか。
戦争は神戸を焼け野原にしましたと
最初のシーンがそうでした。