常子、大きな家を建てる3
小橋家に花山が君子の見舞いに来た。
君子はいちど、花山にお礼が
いいたかったという。
「娘たちをりっぱに育てて下さって
ありがとうございました。」
花山は、「とんでもない」といって
「常子さんに関してはこれでよかった
のかと思います。
常子さんは人生を
かけて雑誌を作るといいました。
その言葉に縛られて、もっとほかに
人生があったのではと
思います。仕事だけをさせて
しまって申し訳ありません」という。
「常子は他人に頼るのがへたな
こで、いつも悩みを自分で抱えて
しまう子でした。
花山さんにあってしかられて
ようやく常子は誰かに頼って
生きることが
できたと思います。
本当にありがとうございました。
・・・よかった、お伝えできて・・・」
花山は、「長居してしまいました、お体に
触るといけませんのでこれで失礼します」と
いって帰りかけた。
君子は、「これからも、娘たちを
よろしくお願いします」と
いった。
花山が帰ると君子はほっと
息をぬき、満足そうな顔に
なった。
花山を玄関先で見送る三人の
娘たちだった。
「花山さんが来てくれて
母も喜んでいると
思います」と常子が言うと
「こちらこそだよ、素晴らしいお母さん
だね」といって帰って行った。
君子は仏壇の前に座って
竹蔵の写真を見ていた。
常子は、声をかけた。
「トトにご挨拶ですか?
何か話をしませんか?」
そういって、美子が会社で
取引先と電話で話をしている
とき、少々お待ち下さいを
少々お待ち下されといったことを
話した。
みんなおかしくて笑った。
君子は「あなたたちがいてくれてしあわせ
だった」という。
「美子、あなたはいつでも、みんなを
和ませてくれたわ。
あなたが笑うと私たちは幸せな気持ち
になったわ。だからいつも笑っていてね。」
「鞠子、あなたはいつもさりげなく
心配りをしてくれるので
みんな安心していたわ。」
「常子・・・」
「はい・・・」
「あなたはいつも一生懸命でみんなの幸せ
のために走り続けてどんな時も
私を支えてくれたわ。
本当にありがとう。」
君子は立ち上がり
押し入れの中から古い行李を
だしてきた。
「これは、私の宝物よ。」
ふたをあけると
トトが桜が見たいといったとき
につくった桜の花があった。
常子が初めて商売をした
練り歯磨きがあった。
「一つ一つがいとおしくて
ついとっておいてたのよ。
小さな幸せの積み重ねが今の
しあわせになっているのね。」
常子は「トトもそういってましたね」と
いった。
「みんな本当にありがとう。
あなたたちは私の一番の娘よ。
明日のお昼は久しぶりに
常子の親子どんぶりが食べたいわね。」
「はい・・・準備します。」
常子が答えると
君子は笑いながら
ふたたび仏壇の竹蔵のほうを
むいた。
君子が亡くなったのは
それから10日後のこと
でした・・・・・。
*******************
ガンになるともっと苦しんで
意識もなくなるのだろうと
思いますが、君子がこうして
思いを伝えることができたのは
家にいたからこそと思います。
もちろん大家族で
だれかがいるので
君子の面倒は
それぞれがみることができます。
これが一家族だけだったら
できないことだったでしょう。
悔いなく一日一日を
すごすことは病院では
難しいと思います。
常に管理されているからです。
なかなか本音を言う
雰囲気でもないでしょうしね。
君子さんは幸せな人
だったのだなと思います。
おもえば、常子たちが
小さい時から、日々の生活を
大事にする中に幸せがあると
竹蔵がいっていたとおり
子供たちも君子も
毎日の暮らしを大事にして
生きてきましたね。
常子は家族を守るために
会社を立ち上げたことも
素晴らしいと思います。
食べることも着ることも
また、住むこともできない
不幸に家族を落としてはいけない
と、常子は必死で
考えて・・・・
あの鉄郎おじさんのように
稼がなくては家族を守れないと
いわれたように、考えて
出版社を立ち上げました。
自分で作った「すたあの装い」
が花山の助言で売れて
できた資金を元手に
です。
花山という素晴らしい編集者
をえて、妹たちと
会社を守って行くところなんか
この時代、すごいことです。
自分が女性であることに
甘えていたらできないことでした。
この人の生き方は
私にとっても心に残る
ような深いものでしたが
女性特有のしなやかさで
決して、力むことなく
商品試験の世間の疑惑も
かわしていったあたりは
素晴らしいと思いました。
花山が君子に常子には
もっとほかの人生が
会ったのではないかと思うと
いったことは
いちど、星野が
会社に現れたとき
ぴんときたことではなかった
かと思います。
仕事ばかりさせてしまって
別の人生を考えるゆとりがな
かったことで、第二の人生を
生きることができなかったこと
を君子に詫びています。
これは、花山が心して
君子に詫びたかったことでは
ないかと思います。
でも、君子はそんなことは
問題とも思わず
常子を守ってくれてありがたい
というばかりでした。
そして、今後も娘たちを
よろしくといったのは
花山は、遺言と
受け止めたのではと思います。
なかなか本心を語らない
人ですので、わかりにくいキャラです
が・・・
そして、このお話にあった
数々の・・
多くの、エピソードが
あっという間に画面に流れ
懐かしさでいっぱいになりました。
小橋家に花山が君子の見舞いに来た。
君子はいちど、花山にお礼が
いいたかったという。
「娘たちをりっぱに育てて下さって
ありがとうございました。」
花山は、「とんでもない」といって
「常子さんに関してはこれでよかった
のかと思います。
常子さんは人生を
かけて雑誌を作るといいました。
その言葉に縛られて、もっとほかに
人生があったのではと
思います。仕事だけをさせて
しまって申し訳ありません」という。
「常子は他人に頼るのがへたな
こで、いつも悩みを自分で抱えて
しまう子でした。
花山さんにあってしかられて
ようやく常子は誰かに頼って
生きることが
できたと思います。
本当にありがとうございました。
・・・よかった、お伝えできて・・・」
花山は、「長居してしまいました、お体に
触るといけませんのでこれで失礼します」と
いって帰りかけた。
君子は、「これからも、娘たちを
よろしくお願いします」と
いった。
花山が帰ると君子はほっと
息をぬき、満足そうな顔に
なった。
花山を玄関先で見送る三人の
娘たちだった。
「花山さんが来てくれて
母も喜んでいると
思います」と常子が言うと
「こちらこそだよ、素晴らしいお母さん
だね」といって帰って行った。
君子は仏壇の前に座って
竹蔵の写真を見ていた。
常子は、声をかけた。
「トトにご挨拶ですか?
何か話をしませんか?」
そういって、美子が会社で
取引先と電話で話をしている
とき、少々お待ち下さいを
少々お待ち下されといったことを
話した。
みんなおかしくて笑った。
君子は「あなたたちがいてくれてしあわせ
だった」という。
「美子、あなたはいつでも、みんなを
和ませてくれたわ。
あなたが笑うと私たちは幸せな気持ち
になったわ。だからいつも笑っていてね。」
「鞠子、あなたはいつもさりげなく
心配りをしてくれるので
みんな安心していたわ。」
「常子・・・」
「はい・・・」
「あなたはいつも一生懸命でみんなの幸せ
のために走り続けてどんな時も
私を支えてくれたわ。
本当にありがとう。」
君子は立ち上がり
押し入れの中から古い行李を
だしてきた。
「これは、私の宝物よ。」
ふたをあけると
トトが桜が見たいといったとき
につくった桜の花があった。
常子が初めて商売をした
練り歯磨きがあった。
「一つ一つがいとおしくて
ついとっておいてたのよ。
小さな幸せの積み重ねが今の
しあわせになっているのね。」
常子は「トトもそういってましたね」と
いった。
「みんな本当にありがとう。
あなたたちは私の一番の娘よ。
明日のお昼は久しぶりに
常子の親子どんぶりが食べたいわね。」
「はい・・・準備します。」
常子が答えると
君子は笑いながら
ふたたび仏壇の竹蔵のほうを
むいた。
君子が亡くなったのは
それから10日後のこと
でした・・・・・。
*******************
ガンになるともっと苦しんで
意識もなくなるのだろうと
思いますが、君子がこうして
思いを伝えることができたのは
家にいたからこそと思います。
もちろん大家族で
だれかがいるので
君子の面倒は
それぞれがみることができます。
これが一家族だけだったら
できないことだったでしょう。
悔いなく一日一日を
すごすことは病院では
難しいと思います。
常に管理されているからです。
なかなか本音を言う
雰囲気でもないでしょうしね。
君子さんは幸せな人
だったのだなと思います。
おもえば、常子たちが
小さい時から、日々の生活を
大事にする中に幸せがあると
竹蔵がいっていたとおり
子供たちも君子も
毎日の暮らしを大事にして
生きてきましたね。
常子は家族を守るために
会社を立ち上げたことも
素晴らしいと思います。
食べることも着ることも
また、住むこともできない
不幸に家族を落としてはいけない
と、常子は必死で
考えて・・・・
あの鉄郎おじさんのように
稼がなくては家族を守れないと
いわれたように、考えて
出版社を立ち上げました。
自分で作った「すたあの装い」
が花山の助言で売れて
できた資金を元手に
です。
花山という素晴らしい編集者
をえて、妹たちと
会社を守って行くところなんか
この時代、すごいことです。
自分が女性であることに
甘えていたらできないことでした。
この人の生き方は
私にとっても心に残る
ような深いものでしたが
女性特有のしなやかさで
決して、力むことなく
商品試験の世間の疑惑も
かわしていったあたりは
素晴らしいと思いました。
花山が君子に常子には
もっとほかの人生が
会ったのではないかと思うと
いったことは
いちど、星野が
会社に現れたとき
ぴんときたことではなかった
かと思います。
仕事ばかりさせてしまって
別の人生を考えるゆとりがな
かったことで、第二の人生を
生きることができなかったこと
を君子に詫びています。
これは、花山が心して
君子に詫びたかったことでは
ないかと思います。
でも、君子はそんなことは
問題とも思わず
常子を守ってくれてありがたい
というばかりでした。
そして、今後も娘たちを
よろしくといったのは
花山は、遺言と
受け止めたのではと思います。
なかなか本心を語らない
人ですので、わかりにくいキャラです
が・・・
そして、このお話にあった
数々の・・
多くの、エピソードが
あっという間に画面に流れ
懐かしさでいっぱいになりました。
