常子、仕事と家庭の両立に悩む3
花山が常子に聞いた。
「彼(星野)と交際をしているのか?」
常子は、自信がなく、「いいえ」と答えた。
「君も不器用な人だね。」
花山は雑誌を作るために人生をかける
といったことはもう、実現されて
いるから、あの誓いにしばられる
事はないという。
常子は社員をわが子のように面倒
みている。
自分自身の人生も大事だといった。

常子たちは次の商品試験の
準備をしていた。
そこへ松永が遅刻してやってきた。
常子は、松永に「気を引き締めて
下さいね。私たちは戦っているのですよ」と
いった。
星野の家では大樹がやけどの跡を
気にしていた。
星野は気が付かず
「先に行くから」と言って
出ていった。
美子が森田屋にいくと
大きな声が聞こえてきた。
宗吉がどなっている。
「かえれ、かえれ!!」
大東京新聞の国実が取材に
きていた。目的は常子のことだった。
あまりにもねちねちと聞くので
江戸っ子の宗吉は常子を悪く書こうと
していると思って「帰れ」と
怒鳴ったのだ。
国実は美子を見て厭味ったらしく
挨拶をして帰って行った。

南と美子は会社の状況が不安なので
結婚を延期しようということに
した。
そのころ、星野に、転勤の辞令が
でた。
二年前に名古屋支店に転勤したいと
希望を出していた。
それが今頃叶ったのだ。
実家にも近いからというのが
理由だった。
子育てのためだった。
二週間で転勤の準備をするようにと
いわれた。
星野は深刻になった。
その夜、家に帰ると
常子が来ていた。
そして、子供たちは
常子の差し入れの
シュークリームを食べて
嬉しそうに笑っていた。

常子は商品試験の記事が評判が
いいので発行部数を増やさないかと
いわれていると
星野に言った。

そういえば、星野は本屋にいくと
「あなたの暮らし」の商品試験の記事
は評判がいいらしいと感じた。
女性たちがこの本は参考になる
と話をしている。
ふと、常子が夢を語ったことを
おもいだした。

「女の人の役に立つ雑誌をつくりたい
のです。
それが私の夢です・・・」

そう語っていたが、夢が実現
されていると感じた。


ある日、星野は洗濯物を
たたもうとした。
そして、家政婦に
「今日はもう帰ってくださって
いいです」という。
しかし、洗濯物の中の大樹の
ズボンが長ズボンだった。
家では短いのをはいているのに
何故だろうと思った。
家政婦に聞くと学校へは長ズボンで
いっているといった。

星野は大樹にどうして学校へ
長ズボンをはいていっているのか
と聞く。
怒っているのではないから
理由をいってほししいという。
大樹は隣の席の女の子が
大樹の足の
やけどの跡が気持ち悪いと
騒いでいるという。
それもずっと、そうだというのだ。

だから、見えないように長ズボンをはいて
いたのか・・・
「ごめんな、気づいてやれなくて」と
星野は言った。

日曜日のあさ、星野とデートに行く
常子を美子と君子は笑顔で
送り出した。
行先は森田屋だった。
子供たちも一緒に森田屋で
食事をした。
大樹も青葉も森田屋の
食事はきれいに食べる。
宗吉はホウレンソウが切れた
ので、ちょっといってくると
いって留守番を常子に頼んだ。

常子は、宗吉が帰って来たら
公園へいきませんか?と
星野に聞いた。
星野は、常子に
「じつは・・お話があるのですが」といった。
「お話?」
*******************
二度目の別れがありませんようにと
心の中で
祈る思いでしたが
星野がまた遠くへ行くという。
最初は大阪
二度目は名古屋
三度目があれば
横浜か?
なんとも、悲しいけど
それよりも、星野は
大樹の焼けどの跡が
大樹を苦しめていることに
親としての責任を感じて
いるようだ。
常子が東京を離れる
わけはない。
自分の会社を手放すわけはない。
このまま、もし東京に
住み続けたら
どこかで一緒にある可能性が
あるかもしれない。
しかし、転勤である。
常子はこの悲しみに
どう打ち勝っていくのか
星野はこの試練をどう
のりこえていくのだろうか。
いずれにせよ
常子との関係は
はっきりさせないと
いけないわけである。