鞠子、平塚らいてうにあう2

平塚らいてうに原稿を依頼しましょうと
鞠子が提案した。
まだ、あなたの暮らしには原稿を
書いてもらっていないし
世間的によく知られている人だ。

みんな平塚らいてうに賛成した。
花山はその担当を常子にきめた。

しかし、常子は鞠子を推薦した。
なによりも、鞠子はらいてうの作品をよく
読んでいて、その感想もかきため
また、研究もしていた。

作品をよく知っている人がいいですからと
常子はいった。
花山は鞠子に担当を命じた。

が・・・・・・

人気者故、その正体を知る人は少なく
原稿の依頼は乙葉出版の若松という
編集者を通じないと話ができないという。
その若松もさることながら、らいてうも
なかなか難しい人らしい。
鞠子は意を決してこの仕事に
取り組むことにした。

そして、乙葉出版に若松を訪ねた。
編集にはベテランの域に達していると
みられる若松はわかい鞠子の依頼を
あっさりときっぱりと
断った。
直接お願いしたいのでご住所を
教えてくださいというと
若松は激怒した。
「一切は私に任されているから
それを越えようなんて
失礼だよ!!」
鞠子は、毎日若松に懇願するが
事態は同じだった。
そして作戦を考えた。
だったら・・・・・
と、らいてうに手紙を書いた。
そして、それを若松にとどけてほしいと
頼みに行くが
受け取ってもらえない。

鞠子は毎日若松の会社の前に
若松を待った。

ある日、夜になり暗くなり
雨になっていた。

退社しようとして会社を出た
若松は、鞠子が待っているのを見た。
何が何でもお願いしますという
鞠子に若松は折れてしまい
この雨の中、入りなさいと
いって鞠子を会社の中に
いれた。
そして、手紙と雑誌を受け取り
話をもっていくだけだ。
原稿を書くか書かないか
それは保証しないよといった。
鞠子は嬉しく思った。

ある日、あなたの暮らし出版に
電話が入った。
常子がうけて
メモをした。
そのメモを鞠子に渡した。
平塚先生があってくださるそうよ。
これが住所ですって。
良かったね。
常子はうれしそうにいう。
鞠子も喜んだ。

そして、らいてうの
家を訪ねた。

鞠子は家の前で草木のせわをして
いる女性に話しかけた。
すみません。このへんに・・・
振り向いた女性を見て鞠子は
らいてうとすぐに分かった。
らいてうも、あなたの暮らしの編集と
わかって、上がってと家の中に
案内した。

鞠子は、学生時代かららいてうの
本に影響された話をした。
しかし、それと今回の依頼は
違うものですという。
戦後の混乱期に生活と戦って
いる女性たちはらいてうの言葉を
待っている。またあの感動的な
ことばをいただきたいと
いった。
らいてうは、あなたの暮らしという雑誌を
以前から気にしていて
縁があれば、お仕事をしたいと願って
いたという。若松にそういっていたのに
あの人は人の話を聞かないから
ね。。。と笑った。

しかし、らいてうはあの青鞜のような
女性の権利を主張するような
ことばはあなたの暮らしには
不向きだといった。
自分が考えていたのは
夏のおいしいお汁粉の作り方よといった。

鞠子は、あぜんとした。

あのらいてうがなぜお汁粉????

不満そうな顔をみてとったらいてうは
戦争中だったら鞠子の依頼を受けたという。
しかし、戦争があって、自分も子供を
必死になって育てて
守ってきた。
その体験が自分の考えを
変えたといった。

何よりも大事なのは平和なのよ。
変わらない生活なのよ。
平和でなくては女性の権利を
主張する事さえできないのよ。
あまいお汁粉を食べれる平和な毎日が
あってこそ女性の権利を
主張できるのよ。
そしてね
考えが変わることは大事なことなのよ。

鞠子は、感動してらいてうをじっと
みた。
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何年も先を生きる新しい時代を
考えてきた思想家であるらいてう。
その人格の大きさに鞠子は
圧倒されました。
甘いお汁粉が食べれる平和があって
こその女性の権利主張ができる
なんて、どこをどう考えたら
そうなるのでしょうか。
また、かねがねらいてうは
あなたの暮らしという雑誌を
好ましく思っていて
いつか、書きたいとも思っていた
というのは、雑誌の理念と
らいてうの平和への思いと女性への
思いが一致したというのだろう。
素晴らしいことだとおもった。
そして
そんならいてうからでた
言葉
甘いお汁粉・・・・・
男の人にはわからないよね。
スイーツを食べるときの
あの平和な幸せ感・・・

これが大事だというのです。
私もそう思います。
(あはは・・・・)