常子、ホットケーキを作る2
宗吉の家に綾たちがきて
宗吉に頼んでいた
小麦粉を使った料理の
試食をすることになって
いた。
一方花山の就職はなかなか
きまらない。
宗吉は自信満々に
こんな料理はどうだと
だした。
が・・・
味はおいしい。
もちろんである。
だが、自分たちが作るとなると
どうだろうと
綾たちは話し始めた。

カフェ浪漫をやめて昼間の
仕事をすることになった
メンバーが多い。
だからといって、時間が
できて楽になったわけではない。
時間もお金もなかなか思い通りに
ならない。
働く主婦はなるべく安いお金で
どこでも買える材料で
誰にでも手早くできる料理で
なくては使えないという
意見を出した。
今も昔も働く女性の悩みは
同じである。

常子はふと
混ぜて焼くだけだったらいいのにと
いった。
混ぜて焼くだけ・・・
ホットケーキだわ!!!
子供のころ食べたホットケーキが
おいしかったので思い出したようだった。
常子の発想で宗吉は早速
ホットケーキのレシピを
鞠子に書かせた。


美子は花山抜きで雑誌が作れるのか
と、常子にいった。
美子のイラストにしろ、的確な
指示を常子はだせない。

そこへ袴田久がやってきた。
取引先の大手企業の松平さんを
つれてきた。
聞くとそこの奥様が料理が好きで
小麦粉を使った料理だったら
と、ポアソン アラ アメリカン
という名前の料理を雑誌に載せてほしいと
いうのだ。

記事の内容に口を挟まないと
いう約束だったが、袴田にとっては
松平にごまをするいい機会だし
これからの一層のお付き合いを
おたがいできるのだから、いい話だと
常子にいった。
常子は一応、その話を会社で検討すると
いった。

花山が言った。
「広告を取ると記事に制約がかかる。」
「記事の内容に口を挟まないと約束を
とりました。」

「甘いよ、常子さん・・・」

この事だったのかと常子は
苦い思いをした。
これが広告の恐ろしさだったのか。

このアラアメリカンのレシピを
借りて宗吉に造ってもらった。
手の込んだ料理だった。
魚介類や、フルーツをパイ生地に
焼きこんでる。
オーブンなどどの家にもあるものでは
ない。
これは一般家庭では作れない。

次号で入って来る広告料で
運用すると、会社を維持するのは
精一杯になると
水田は言う。

鞠子は、このアラアメリカンを記事にして
広告をとり、会社を続けることを
主張した。

常子はそもそも・・・とあなたの暮らしを
創刊したルーツを思い出していた。
戦後の女の人の暮らしの手助けに
なるような雑誌を作りたいのです。
そういって花山と始めたあなたの暮らし
である。

小橋家では美子がかんかんに怒って
いた。
常子への非難である。

君子は、妹として言っているの?
それだったら、兄弟げんかね。
それとも、社員として
いっているの?
だったら、社長と力を合わせることが
大事よ。

常子は
思いをたどっていた。
もし、豊かな暮らしを取り戻すきっかけ
をつかめる雑誌を作れるならと
花山が言った。

私とならできます。

よろしくな、常子さん

・・・
そう思いながらも、常子は
自分たちだけで、頑張ろうと
思った。
*****************
いまさらながらに花山に帰ってきて
欲しいとは言えない。
なんとかして、あなたの暮らしを
続けるだけ続けないと
常子は腹をくくった。
君子さんの美子へのアドバイスは
的確ですね。
社員だったら、社長を守っていくべきだ
という。
そうだ、力を合わせないといけないと
思った。
このお話・・・この辺が大きな山ですね。
何のために創刊したのか。
あなたの暮らしというのは
世間でいう所の評判のいい
雑誌で終わったらあかんのです。
役に立つ雑誌なのです。
それも・・・誰の家にも
当てはまることが多いという
役に立つ
つかえる
記事が
満載の

雑誌でなくてはいけないのです。

心が疲れたときに
ふと手にしたあなたの暮らしに
励まされたという雑誌を
目指しているわけです。
広告の魔力で常子は方向を
失いかけていますが
ただ、社長として
この雑誌を簡単に終わらせるわけには
行かないと判断して・・
広告を取りました。
それが大きな転換期になって
これからの常子の雑誌つくりの
精神の
土台になると思います。