常子、出版社を起こす3
常子が訪ねてきたことを
しった綾だった。
常子は綾が貧しく悲惨な生活をしている
様子に驚いた。
綾の母親は俯きかげんで暗い表情
をしていた。
綾は来てほしくなかったという。
女学校で東堂に教えてもらった
青鞜があったからこそ
今も頑張っているという。
元始、女性は太陽であった。真正の人
だった。今は女性は月である。

あの言葉に励まされて自分も太陽
なんだと言い聞かせて頑張って
いるという。

家に帰って常子は考えた。
ふと常子は鉄郎の言葉を思い出した。
おまえのかせぎで家族を養って
いけれるのか?
そして綾は
私にとってこの青鞜が唯一の心の
よりどころなの。

そして自分の三か条を再び見直した。

翌日会社で常子はみんなに言った。
退職しますと。
理由はお給料のことだった。
もっとかせぎたい。家族を養うためにである。
もうひとつは、自分で雑誌を作りたい。
女の人を応援する雑誌を作りたいといった。
いま苦労をしている女の人の手助け
になるような、女の人の役に立つ
雑誌を作りたい。

谷は雑誌ならここで作れるというが。
常子は、雇われていると
どんな雑誌を作っても
自分の利益にならないといった。
私は家族のために稼ぎたい
のです。

谷は今世間がめちゃめちゃになって
いるからチャンスかもしれないと
いった。
もし失敗したらまた帰ってくればいいと
いう。
常子は、こうして甲東出版を
退職した。
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さすがトト姉ちゃんです。
綾の暮らしの悲惨さに常子はなにを
思ったのでしょうか。
学生時代、綾はお金持ちのお嬢様で
常子は生活が安定しなくて
制服も新しく買えなかったから
いじめにあいました。
でも、綾は普通のお嬢様で
男の人とのお付き合いもないまま
決められた相手を結婚しました。
時代が大きく変わって
女性も働かなくては生きていけない
時代になりました。

戦後の混乱期を
なんとか生きるためには
お金が必要だと
常子は感じました。
どうやったら稼げるのか?
常子は必死で家族のためを思って
働こうをします。
ほんとうに
ととねえちゃんです。