常子、花山伊佐次にあう1
常子が甲東出版に採用された。
滝子が再生不良性貧血で倒れた。
そして、昭和16年・・・
会社では常子は谷に仕事を教えて
もらった。
原稿のチェック、
文字数の確認
割り付けの仕方
挿絵の重要性
など・・・
できた雑誌は袋に入れて定期購読者へ
おくられる。
そしてまたすぐに編集会議が
はじまる。
谷、五反田、そして相田、富樫という
四人の男性社員に常子が女性一人だった。
編集会議ではいいアイディアはないかと
谷が聞く。
みんな考えている。
常子は立ち上がりみんなのお茶を
入れ替えようとお盆を持った。
谷は、「そんなことする必要などない
今は編集会議だ
君はどんな雑誌を作りたいのか?
意見を言いたまえ」と言われた。
「女の私がしゃしゃり出てもいいのですか」と
きくと
五反田は、「当たり前だよ。
女も男もないよ」と
いった。
常子は喜んだ。
自分の意見が通れば雑誌に反映される。
その話を夕餉の時にすると
「タイピストとはずいぶん違うのね」と
鞠子は驚いた。
「どんなアイディアを出すのかい?」
滝子は「人の役に立つことがいいね」という。
自分の仕事も人の役に立つことだから
今まで頑張ってやってこれたんだと
いう。
常子は「人の役に立つこと・・・」を
考えた。
会社では「人の役に立つ本ね・・・
何冊もあれば漬物石の代わりになるね」と
五反田が言う。
悩み相談はどうかなと
いう意見もあった。
しかしなかなか形にならない。
悩みといえば鞠子は大学を卒業後
は工場で働くことにした。
それを聞いた木戸は、鞠子が小説をあきらめた
と思った。
鞠子は働きながらでもかけるからというが。
「仕事で疲れて帰ってきてからかくのはいかがなものか。
いいものは書けないと思う」と木戸は言う。
自分は文学の道に進むと言って去っていった。
清は悩んでいた。
売り上げが三割も落ちている。
切り詰めなけばというが
これ以上できないと隈井は言う。
そして小僧ふたりを国に返すことに
した。
重い空気が漂っている。
通行人の女性が婦人会のタスキをかけた
おばさんにこのご時世に化粧が濃いと
注意されていた。
常子も注意された。
理由は
道の真ん中を堂々と歩いていたと
いう。
「どこを歩こうが私の勝手です」と
言い返した。
そして森田屋があった空き家を
のぞきにいった。
そしてそこで郵便屋に声をかけ
られた。
なんと村野綾、旧姓中田から
手紙が常子に来ていた。
文面は
結婚して名古屋に住んでいるが
なかなか自由がないこと、
医者の夫は満州へ軍医として
駆り出されたこと。
後方支援と言いながらも
心配なこと。
女学校時代は自由で楽しかったと
のことなどが書かれてあった。
戦争の影が身近に迫ってきていること
を思った。
******************
鞠子といつも一緒に居る木戸という
学生は、恋愛の相手でしょうか?
鞠子はクールだから、感情におぼれず
冷静に、小説家よりも実益になる
工場勤務を選んだことは
何も知らないで小説を書くよりずっと
世界が広がっていいことではないかと
思った。
それを文学の道を進むから・・と
いう。
其れって特別なことなのかなと
不思議に思う。
この瞬間木戸は鞠子と別れた
ことになるのだろうが、
鞠子はどう思ったのだろうか。
どこまでもクールにじっと
思いを胸に秘めている様子に
そんな分からず屋、さっさと別れて
良かったのよと
私は鞠子にいいたかった。
常子が甲東出版に採用された。
滝子が再生不良性貧血で倒れた。
そして、昭和16年・・・
会社では常子は谷に仕事を教えて
もらった。
原稿のチェック、
文字数の確認
割り付けの仕方
挿絵の重要性
など・・・
できた雑誌は袋に入れて定期購読者へ
おくられる。
そしてまたすぐに編集会議が
はじまる。
谷、五反田、そして相田、富樫という
四人の男性社員に常子が女性一人だった。
編集会議ではいいアイディアはないかと
谷が聞く。
みんな考えている。
常子は立ち上がりみんなのお茶を
入れ替えようとお盆を持った。
谷は、「そんなことする必要などない
今は編集会議だ
君はどんな雑誌を作りたいのか?
意見を言いたまえ」と言われた。
「女の私がしゃしゃり出てもいいのですか」と
きくと
五反田は、「当たり前だよ。
女も男もないよ」と
いった。
常子は喜んだ。
自分の意見が通れば雑誌に反映される。
その話を夕餉の時にすると
「タイピストとはずいぶん違うのね」と
鞠子は驚いた。
「どんなアイディアを出すのかい?」
滝子は「人の役に立つことがいいね」という。
自分の仕事も人の役に立つことだから
今まで頑張ってやってこれたんだと
いう。
常子は「人の役に立つこと・・・」を
考えた。
会社では「人の役に立つ本ね・・・
何冊もあれば漬物石の代わりになるね」と
五反田が言う。
悩み相談はどうかなと
いう意見もあった。
しかしなかなか形にならない。
悩みといえば鞠子は大学を卒業後
は工場で働くことにした。
それを聞いた木戸は、鞠子が小説をあきらめた
と思った。
鞠子は働きながらでもかけるからというが。
「仕事で疲れて帰ってきてからかくのはいかがなものか。
いいものは書けないと思う」と木戸は言う。
自分は文学の道に進むと言って去っていった。
清は悩んでいた。
売り上げが三割も落ちている。
切り詰めなけばというが
これ以上できないと隈井は言う。
そして小僧ふたりを国に返すことに
した。
重い空気が漂っている。
通行人の女性が婦人会のタスキをかけた
おばさんにこのご時世に化粧が濃いと
注意されていた。
常子も注意された。
理由は
道の真ん中を堂々と歩いていたと
いう。
「どこを歩こうが私の勝手です」と
言い返した。
そして森田屋があった空き家を
のぞきにいった。
そしてそこで郵便屋に声をかけ
られた。
なんと村野綾、旧姓中田から
手紙が常子に来ていた。
文面は
結婚して名古屋に住んでいるが
なかなか自由がないこと、
医者の夫は満州へ軍医として
駆り出されたこと。
後方支援と言いながらも
心配なこと。
女学校時代は自由で楽しかったと
のことなどが書かれてあった。
戦争の影が身近に迫ってきていること
を思った。
******************
鞠子といつも一緒に居る木戸という
学生は、恋愛の相手でしょうか?
鞠子はクールだから、感情におぼれず
冷静に、小説家よりも実益になる
工場勤務を選んだことは
何も知らないで小説を書くよりずっと
世界が広がっていいことではないかと
思った。
それを文学の道を進むから・・と
いう。
其れって特別なことなのかなと
不思議に思う。
この瞬間木戸は鞠子と別れた
ことになるのだろうが、
鞠子はどう思ったのだろうか。
どこまでもクールにじっと
思いを胸に秘めている様子に
そんな分からず屋、さっさと別れて
良かったのよと
私は鞠子にいいたかった。
