常子、初任給をもらう1
常子は、はじめて原稿をもらった。
四時までといわれたので必死になって
打ったが、早乙女にもっていくと
もうその分は出来上がっているという。
自分が打ったのだ。
たかだかこれだけの原稿にどのくらい
時間をかけるのといわれた。
タイピストは時間との勝負だと
いう。
それを説明したくて常子に原稿を
渡したわけだ。
だまされたのか、それとも常子が
未熟なのか・・・
とにかく、常子のレベルでは
原稿は渡せないという。
またまた常子は下働きとなった。

そのころ、星野は常子から手当てを
してもらったハンカチを
大事にしていた。

休みの日、常子はタイプのことを
忘れないといけないと
いいながらも、
仕事のことばかりが
あたまによぎる。
そんな常子のところへ
星野が来た。
急に照れくさくなったらしく
もじもじしながら
ハンカチを返しに来たという。
鞠子と美子がじっとみていた。
ふたりは甘党やにはいっておしるこ
を食べることにした。
星野は研究に集中できないらしく
なんだか熱っぽいという。
常子がどれどれと
額を触ると星野はあわてて
飛び上がったので
お茶がこぼれた。
またハンカチが汚れてしまった。
そんなバタバタのおかげで
常子はリラックスできた。

また仕事の日々となった。
相変わらずの下働きで
あった。
営業の男性社員が
だれか手伝ってくれと
やってくる。
常子は手を挙げた。
営業部では書類の整理整頓を
たのまれた。
そのため残業となった。
定刻にかえる早乙女たちは
常子を意味がないことをしている
といって笑った。

給仕の坂田が
がんばっているひとにといって
キャラメルをくれた。

常子は笑顔になった。
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厳しいですね。
女性にとってはエリーとな
仕事ではありますが
女性と男性の差別待遇は
こまったものです。

でもそれがこの時代
当たり前でした。
女性はあくまで男性の
陰でしかないのです。
だから
平塚らいちょうが
元初女性は太陽であった・・
今は、他によって照らされる
月の様なものだといった
ことが
うかがえます。

日本の女性解放史は、遅々として
なかなか進みませんでした。