常子、職業婦人になる3
鞠子を大学へ進学させるために
常子は就職をしなくてはいけない。
タイピストを紹介されて
タイピングの練習に励む常子だった。
和文タイプはひらがな、かたかな、漢字
が2273文字あってそれを覚えなくては
いけない。
毎日が特訓だった。
美子は祖母のもとにおやつをもらいにいく。
筆入れが古いのでこれはどうしたと
滝子が聞くと
姉たちのお古だという。
滝子は少しかわいくしてい上げると
いってかわいいアクセサリーをつけて
くれた。
そして常子の様子を聞いた。
中田綾は顔もしらない男性と
結婚することになった。
不安だという。
そんな知らない男の人に人生を
預けるのである。
常子は確かにそうだと思った。
タイプの勉強は続いた。星野も
特訓を手伝ってくれた。
まつは、お弁当が余ったから
といって常子に星野へ届けて
ほしいという。
星野の下宿に行くと
部屋の中で
めをふさいで
耳もふさいで
においをかいで観察中だった。
常子は背中をとんとたたくと
星野は驚いた。
星野は誤解の無いようにふすまを開けて
常子と話をした。
実は星野の弟が軍隊に入るという。
家を守るものがいなくなり
このまま大学院へ行こうと思って
いたが、それも難しくなった
といった。
そして常子のことを
あすなろだといた。
ひのきとよく似ているので
おおきくなればヒノキになると
間違える人もいるらしいが
あしたはヒノキになると
思ってがんばるのが
あすなろだと
いった。

やがて就職試験となった。
常子は三人に見送られて試験会場へ
いった。
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常子をあすなろといったのは
素敵な言葉です。
あしたはきっと素晴らしい檜に
なるだろうと
あすなろはそう思って
生きていると言います。
でも、あすなろはあすなろです。
こうして、多くの人に
応援されて常子は
就職試験を迎えました。
いよいよ、社会の荒波へと
向かって行きます。