常子、編入試験に挑む6
中田に勉強を見てもらうことに
なった常子。
桶狭間の戦いが
何年とか
長篠の戦が何年とか・・
暗記を歩きながらでも
机に向かいながらでも
中田と確かめ
ながら勉強を進めて
いた。

中田が「応仁の乱は先生が丁寧に
説明していたからでるわよ」と
いった。
中田の家は大きな御屋敷だったが
常子の家は森田屋の
間借りの部屋だった。
中田は「家族が身近に感じられて
いいですね」という。
君子がお茶を持ってきた。
中田は「少し時間がかかって長く
なりますが、常子さんは物覚えが
わるいから、不正の疑いを
はらすために頑張っています。
不正の疑いが晴れたらいいですね」と
いったので、君子は驚いた。

美子はそれを盗み聞きしていて
宗吉たちに、なぜ常子が中田と
勉強をしているのかという理由を
話しに言った。
宗吉隊はびっくりして
常子に、仕事をしなくていいから
勉強をしろという。
その話は滝子の所へも届いた。
滝子は驚いた。
常子は夜、勉強をしながらうたたねから
起きた。
台所で君子が照代から芋の皮の
剥き方が上手になったと褒められて
いるのでほっとした。
そうした君子の努力に常子は
がんばろうと力が湧いてきた。

やがて試験があった。

そして、順位発表があった。
三位までは発表された。
次は一位
中田綾だった。

二位は
なんと
小橋常子だった。

大塚は常子が中田の答案用紙を
カンニングしたに違いないと
いった。
ざわざわと教室が騒がしくなった。
ところが、先生は
それは違うという。
「答案用紙に小橋常子は応仁の乱
をきちんと書いていたが
中田綾は書いていなかった。
真っ白だった」と
いう。
「だから、小橋は中田の答案用紙を
見ていないと言い切れる」と
いった。

常子は不審に思った。
中田は応仁の乱を細かく説明して
くれたのに、なぜ書かなかったのか
と・・。
帰る道々常子は中田に聞いた。
中田は「忘れたから」という。
常子は中田に「約束を破ってもいいか」と
聞いた。
もう二度と声をかけないという約束で
ある。
中田は「もう破っているじゃない」と
いった。そして二人は
笑った。

常子は部屋から青柳家の滝子をみて
いた。
背筋を伸ばして腰をたたくところなど
君子とそっくりだった。
今は君子と滝子はわかりあえなくても
きっと分かり合える時が来ると
思った。
常子と中田綾のように。

そこへ鞠子があわてて
やってきた。
制服がなくなっているという。
驚く常子だった。
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頭のいい中田のことである。
応仁の乱を書かなかったのは
忘れたからではなく
わざとではないかと思った。
常子に一位を取らすため?
もしかしたら中田が一位になって
小橋が二位になったら
小橋が中田をカンニングしたと
疑われることもあると
予想したのではないかと
も思った。
そのために、わざと
応仁の乱を空白にしたら・・・
常子はきっと応仁の乱をキチンと
書くだろうからカンニング
したことにならない。と誰もが思える
推理だと
読んだのではないだろうか???
それでも、応仁の乱以外
他を満点にして
中田は一位だった。
お見事である。

そんな中田の思いやりを
常子も気が付いていた
のでは???