常子、編入試験に挑む5
ふと、道端で星野武蔵とであった。
おかしなことに星野は
一度であったこと
のある人は忘れないはずなのに
常子のことは忘れているという。

そういいながらも
ひまわりの話をした。
「いつも太陽に向かって堂々として
いるでしょ。
自分に不正がなければ
堂々としているものだ」と
いう。
この言葉は常子に感動を
与えたようだった。
星野と常子が話をしている様子を
遠くで級友たちが見ていた。

さっそく翌日
「おはよう」と
元気に教室に入ると
「男の人と密会して
いたみたいよ」
「べたべたしていたのよ」
「恥ずかしいわ」
「不謹慎だわ」

と、あらぬことで非難された。

そしてある事件が試験中に
おきた。

常子は消しゴムを落として
それを
背をかがめて
拾おうとしたとき
後ろの大塚が
紙を丸めて常子の机の上に
なげた。

体制を戻した常子は
答案用紙の上に
丸められた紙のたまを
不信に思ってあけると

それは歴史の
まさしく今試験中の
歴史の年号を書いた
カンニングペーパーだった。

常子は驚いた。
先生は「何をしているの」と聞く。
「見せなさい」と言って
その紙をみて「どういうつもりなの?」
と常子を叱責した。

「わたしは…違います
カンニングはしていません。」

というが、先生は信用して
くれない。
実は中田は先ほどから
様子を見ていたので、
「このような言い争いをしてテストが
不意になるより、再試験をしたらどうで
しょうか」、と提案した。

「小橋さんもご自分にかけられた
疑いを晴らすことができるでしょう?」

というので、
再試験が決まった。

常子は、放課後中田に、「ありがとう」を
いった。
「勘違いしないで。あなたも
こんなことする時間があるなら
勉強をしたら?」
と、とりつくしまもない。

常子は綾が苦手だった。
家に帰ると君子がリヤカーを磨いて
いた。
仕事はどうしたのかと聞くと
君子は仕事が遅いので
みんなのペースをくずすらしく
リヤカーを磨いて来いと
言われたという。

母も頑張っていると常子は
うれしくなった。

そして鞠子にみてもらいながら
試験勉強をした。

そこへ鉄郎がやってきた。
どうやら、青柳の家にいって
塩をまかれたらしい。
頭から塩がぱらぱらと落ちてくる。
いまから銀座へ行って
新しい仕事の話を聞いてくると
いう。
その道で一番になりたかったら
一番になった人に話を聞くのが
一番だという。

常子はその言葉を聞いてぴんと
ひらめくものがあった。

試験で汚名を晴らすためには
一番にならなければいけない。
それで成績が一番の中田に
勉強を見てもらいたいと
お願いしに中田の家に行った
わけだった。
中田は「あなたにとってそれは利益が
あるでしょうけど私にはなにかいいこと
あるの?」
と中田がきく。
そういえば何もないと思った常子は
言葉を濁す・・・
中田は「さよなら」といってさっさと帰れと
常子に圧力をかけた。
ここで負けるわけにはいかない。
常子は
「友人とかそう思ってはいない。
どちらかというと中田さん
はとっつきにくい」と
常子は綾に言った。
綾はびっくりして常子を見た。
「ただ、勉強を見てほしいの。
一番になりたいの。
そうではないと疑いが晴れない。」
中田は「それは私にかつという事なの?」
と聞いた。

そういえばそうだ。
「それは、その・・・そうか・・・」と
常子は笑った。
中田も笑ったが引き受けないという。
常子は勉強を見てもらったら
もう二度と声をかけないからと
約束をした。
中田は「だったらいいわ。
あなたはしつこそうだから、
そうしてほしい」といって
勉強を見ることになった。
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中田もかなりの変人です!!!!
しかし、このカンニングの汚名を
きせた大塚は
なかなかのやり手です。
いけずに磨きがかかっているというか
単なる意地悪な人ではなく
常子を退学へ追い込もうと
しているようにも思えます。
それが一人の人生にどんな影響があるのか
・・・・・・
常子の人生を潰すつもりでやっているとしか
思えません。
しかしこの年代はこんなことぐらい
平気です。
気に入らないからと学校へ来るなと
堂々といって翌日から
学校を欠席してそれが
ずっと欠席して
そのうちに、知らぬ間に転校を
していったケースもありました。
しかし、何の罪の意識もありません。
それが十代の強さであり
恐ろしさでなのでしょう。

自分がされて嫌なことを他人にして
これでもかと打撃を与えることで
気に入らない級友を教室から削除
することぐらい・・・
大塚やそのほかの女生徒は
平気にやろうとしているのでしょうね。
ここで勝つか負けるか
それは、常子の生き方です。