常子、編入試験に挑む4
なぜ、安い竹を注文して間違えて
高い松を配った客にまで
謝りに行ったのか。
宗吉は恥の上塗りだと
おこった。
まつは、なぜそうしたのかと
常子に聞いた。

常子は、「心意気というか・・・
店の、目先の損得ではなく
まちがったすじをとおしては
いけないと
思う」という。

まつは、「気に入った」と
喜んでいった。

このことを境に森田一家と
小橋家は信頼をお互いに得ること
になった。
そして、常子たちは
編入試験に挑戦する。
常子は少し自信はないが
郵便の通知は二人とも合格だった。
はれて、ふたりは、二学期から
東京の女学校へ通うことに
なった。
入学の日、常子は家計をおもって
浜松で来ていたセーラー服を
きた。鞠子は新しい学校の
制服である。

学校へ行くとき滝子とあった。
滝子は何も声をかけないで
とおりすぎた。
そして、「制服も満足に
買えないのか」とひとりで
怒っていた。

常子は学校ではじめてクラスメート
のまえで自己紹介をした。

ところが・・・

級友たちの反応はひややかだった。

セーラー服で来たことで
白い目で見られることになった
わけだった。
誰に話しかけても
さけられたり
笑ってごまかされたり
・・・

だれも常子を相手にしない。

そこで中田綾にあった。
常子の隣の席の学生で
一人で本を読んでいる。
中田に校内の案内をしてほしいと
声をかけると
中田は「あなたはさみしい人なのね。
一人でいるのがさみしいから一人で
いる私に声をかけたのね。
おあいにく様。
わたしは一人でいることはさみしい
なんて思ってないのよ。」
そういって常子を拒否した。

鞠子には友達ができたという。
鞠子は中田綾のことを級友たちから
聞いたという。
お金持ちで外国に行っていたきれいな
ひとで優秀だから下級生に人気がある
といった。

常子は中田の態度を思い出して
不信におもった。

クラスでは常子に聞こえるように
話をしている。

「いつまであの制服で来るのかしら。」
「恥ってものがないのでは?」

セーラー服のことで友人ができなかった。
帰り道、清と会った。
いつものように、「まいったな~~~
女中や小僧の服を作るために
ミシンを手配したら褒められて
しまった・・・困ったな~~」

というが、相手にしている暇が
ないので帰ろうとした。

途中で星野武蔵に会う。
星野は、ひまわりをみて、「りっぱに
大きくなったな」とほめている。
変な人とおもったが
声をかけると、「これは・・・」と
星野は常子を見て驚いた。
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ひとりだけ制服が違う・・・これは
大きな問題なのでしょう。
受け入れる側としては
いつまで前の学校を
背負っているのよ
ここに来たら来たで
ここの格好をしたらどうなの
というのが
本音なのではないだろうか。

そして、東京が持つ
地方への差別感があった
のではないだろうかとも
思う。

本来なら、セーラー服で来たのは
じつはこうこうで・・・とか
なにか、常子が言わなくては
いけなかったのかもしれない。
でもそれは大人の世界ではあり
と思うけど
子供の世界では、なくてもいいのか
もしれない。
わたしが中学の時
やはり転校生がちがう制服だった時
は、先生がお家の事情でとか
またすぐに転校をするのでとか
なぜ、同じ制服ではないのかという
理由を代わりに話していた記憶も
ある。
だが・・・
同じ制服を着てほしいと思う気持ち
はあった。
常子はこの危機をどう乗り越えるだろうか。