柔らかい心5
新次郎が倒れた。
医者が来て救命の処置をした。
目ををさまさない新次郎に
あさは「旦那様後生だすさかい
目を覚ましてください」
とさけぶ。
あさは縁側に座って呆然として
いた。
千代が声をかける。
むかし。あさが押入れに
入っていて
そこへ許嫁だった新次郎が
ぱちぱちさんをもって
きて、それをそっとくれた。
「選んだ道をまっすぐに進み」と
いってくれた。
うれしくて
うれしくて
ずっと進み過ぎてしまった。
もっとゆっくり手をつないで
歩いたら良かった。
あさは
こられきれずに泣いた。
家族がリビングにいた。
そこへ医者が来た。
「もう朝まで持たないかもしれない。
どうか
声をかけてあげてください・・」
新次郎のまわりに
家族が集まった。
「なんやみんな
おそろいで・・」
「そうや、これだけ
集まっているのだから
お兄ちゃんが
盛り上げてくれなあきまへん」と
栄三郎が言う。
「そうやな・・・」
そういって
あさに、起こすように
新次郎はいった。
「栄三郎
ずっと
頼りないお兄ちゃんやった
な、堪忍やで」
「もう、何も心配シンといて
加野屋も千代一家も
今度はわてが守ります」
「千代
ええお母ちゃんになったな・・
千代のおかげで
わての人生どんだけ華やいだか
啓介さん
よろしゅう頼みます。」
「千代もたつこも
おなかのこも
かならずまもってみせます」
「亀助
もうな・・
あさとふたりにしてんか・・」
「なんや、やっぱり
わて
お邪魔みたいですがな」
「おおきにな
いままで
ながいこと
おおきに・・・
みんな・・・
おおきに・・・・」
うめ、栄三郎、千代たちは
リビングにもどった。
あさとふたりになった
新次郎は
いった。
「ほっと・・しました。
思って・・いたことを
全部言えま・・したから」
「誰にも気をつかわなくても
いいのですよ
うちしかしませんから」
あさは、新次郎の頭を
膝の上に抱きかかえた。
あさにもたれかかる
新次郎。
「あさの手は柔らかいな
忘れんといてな。
いつもそばに
いてるさかいな。
あ・・・さ~~~
あ・・さ・・」
「旦那様??
旦那様・・・」
新次郎は
ねむるように
亡くなりました。
あさは
「旦那様
旦那様・・・」と
呼んだが
あとは
泣くばかりだった。
その声に別れがあった
事がわかり
リビングにいた
うめも
千代も
亀助も
泣いた。
医者は新次郎の部屋に
入ろうとした。
うめは
「おねがいだす
もうちょっと
もうちょっと
だけ・・・」
部屋の中からは
あさの
関を切ったような
泣き声が聞こえた。
翌朝
庭の梅はまた
花をつけていた。
新次郎の葬式が
行われた。
多くの人が来てくれた。
正吉の時のようだと
亀助が言う。
はつもきて
手伝ってくれた。
千代が
「きてくれた中には
新次郎を
道楽者とか
お気楽な人生だったなとか
いうてる人がいたが
本当に知り合いなのだろうか」と
言う。
「そういうてほしかった
のでは。それを知っていた
お仲間のひと
だったのでは」
と栄三郎が笑った。
みんなで笑った。
新次郎らしいと
言って笑った。
しかしあさは
笑えなかった。
涙が出てくる。
廊下に出て
自分を叱った。
「あかん
あかん
まだしっかり
せなあかんのに・・
涙が出てくる。」
梅の木のそばに行った。
「何を見ても
旦那様とのことを
おもいだしてしまいますのや
あかん
寂しい
寂しおます。
ああああ・・・」
顔を覆って泣くあさのその手に
冷たいものが
落ちてきた・・・
「ああ?」
あさは
雨が降っていることに
気が付いた。
両手を上げて
あさは
「びっくりぽんや」と
いった。
雨は
あさに
語りかけるように
ふりそそいだ。
*****************
ついに
新次郎がなくなりました。
最後は
そうなりますけど
これが宿命ですけど
あさがいうように
寂しいです。
寂しいです。
何を見ても
旦那様を思い出す
それはそうです。
新次郎と暮らした
家ですから
あちらこちらに
新次郎との思い出が
たくさんあります。
そして
雨が降ってきました。
新次郎が
あさを
励ますかのように
暖かく降ってきました。
朝ドラウォッチャーは
号泣するしか
ありません。
新次郎が倒れた。
医者が来て救命の処置をした。
目ををさまさない新次郎に
あさは「旦那様後生だすさかい
目を覚ましてください」
とさけぶ。
あさは縁側に座って呆然として
いた。
千代が声をかける。
むかし。あさが押入れに
入っていて
そこへ許嫁だった新次郎が
ぱちぱちさんをもって
きて、それをそっとくれた。
「選んだ道をまっすぐに進み」と
いってくれた。
うれしくて
うれしくて
ずっと進み過ぎてしまった。
もっとゆっくり手をつないで
歩いたら良かった。
あさは
こられきれずに泣いた。
家族がリビングにいた。
そこへ医者が来た。
「もう朝まで持たないかもしれない。
どうか
声をかけてあげてください・・」
新次郎のまわりに
家族が集まった。
「なんやみんな
おそろいで・・」
「そうや、これだけ
集まっているのだから
お兄ちゃんが
盛り上げてくれなあきまへん」と
栄三郎が言う。
「そうやな・・・」
そういって
あさに、起こすように
新次郎はいった。
「栄三郎
ずっと
頼りないお兄ちゃんやった
な、堪忍やで」
「もう、何も心配シンといて
加野屋も千代一家も
今度はわてが守ります」
「千代
ええお母ちゃんになったな・・
千代のおかげで
わての人生どんだけ華やいだか
啓介さん
よろしゅう頼みます。」
「千代もたつこも
おなかのこも
かならずまもってみせます」
「亀助
もうな・・
あさとふたりにしてんか・・」
「なんや、やっぱり
わて
お邪魔みたいですがな」
「おおきにな
いままで
ながいこと
おおきに・・・
みんな・・・
おおきに・・・・」
うめ、栄三郎、千代たちは
リビングにもどった。
あさとふたりになった
新次郎は
いった。
「ほっと・・しました。
思って・・いたことを
全部言えま・・したから」
「誰にも気をつかわなくても
いいのですよ
うちしかしませんから」
あさは、新次郎の頭を
膝の上に抱きかかえた。
あさにもたれかかる
新次郎。
「あさの手は柔らかいな
忘れんといてな。
いつもそばに
いてるさかいな。
あ・・・さ~~~
あ・・さ・・」
「旦那様??
旦那様・・・」
新次郎は
ねむるように
亡くなりました。
あさは
「旦那様
旦那様・・・」と
呼んだが
あとは
泣くばかりだった。
その声に別れがあった
事がわかり
リビングにいた
うめも
千代も
亀助も
泣いた。
医者は新次郎の部屋に
入ろうとした。
うめは
「おねがいだす
もうちょっと
もうちょっと
だけ・・・」
部屋の中からは
あさの
関を切ったような
泣き声が聞こえた。
翌朝
庭の梅はまた
花をつけていた。
新次郎の葬式が
行われた。
多くの人が来てくれた。
正吉の時のようだと
亀助が言う。
はつもきて
手伝ってくれた。
千代が
「きてくれた中には
新次郎を
道楽者とか
お気楽な人生だったなとか
いうてる人がいたが
本当に知り合いなのだろうか」と
言う。
「そういうてほしかった
のでは。それを知っていた
お仲間のひと
だったのでは」
と栄三郎が笑った。
みんなで笑った。
新次郎らしいと
言って笑った。
しかしあさは
笑えなかった。
涙が出てくる。
廊下に出て
自分を叱った。
「あかん
あかん
まだしっかり
せなあかんのに・・
涙が出てくる。」
梅の木のそばに行った。
「何を見ても
旦那様とのことを
おもいだしてしまいますのや
あかん
寂しい
寂しおます。
ああああ・・・」
顔を覆って泣くあさのその手に
冷たいものが
落ちてきた・・・
「ああ?」
あさは
雨が降っていることに
気が付いた。
両手を上げて
あさは
「びっくりぽんや」と
いった。
雨は
あさに
語りかけるように
ふりそそいだ。
*****************
ついに
新次郎がなくなりました。
最後は
そうなりますけど
これが宿命ですけど
あさがいうように
寂しいです。
寂しいです。
何を見ても
旦那様を思い出す
それはそうです。
新次郎と暮らした
家ですから
あちらこちらに
新次郎との思い出が
たくさんあります。
そして
雨が降ってきました。
新次郎が
あさを
励ますかのように
暖かく降ってきました。
朝ドラウォッチャーは
号泣するしか
ありません。
