おばあちゃんの大勝負2
惣兵衛は
山を売りたいという。

はつは驚いた。

庄屋の倉掛が困ったら
買い手をさがすという。
売る気があるのは
全部の山ではないが・・・

「あと二回冬を超えたら
養の助が帰って来るから」と
はつがいう。

惣兵衛は

「くやしいけど

わしももうとしや・・・
昔は三人分も四人分も
働けたけど
あのころみたいには働けない」と
いった。

東京の大隈邸。

「さぁ・・・・」

綾子の勝負とは

囲碁だった。

新次郎は相撲で勝負のかと
思って心配したらしい。

「あささん、勝負しましょう」
と綾子は言った。

もし、あさがかったら
お願いを聞くという。

勝負はあさの勝ちだった。

「悔しいな・・・五手前までは
勝てると思ったのに」と
綾子が言う。

相談事が千代のことだったので
光栄だと綾子は言った。

東京の女子大学校の事務所で
発起人大会の
打ち合わせをした。
東京の大きなホテルで
大々的にやろうというのだ。
参加者の名簿作りも招待状
を作るのも
宣が手伝った。


数日後
大阪ではよのが咳き込んでいた。

千代は心配した。

そこに、あさがやってきた。

啓介との見合いの件だった。
見合いは年末でどうだろうと
いう。
よのは喜んだ。

翌日、あさたちは一番列車で
東京へ向かった。

女子大学校の発起人大会が
ここに始まった。

いかに女子高等教育が必要か
という話を成沢はした。

学問は女を生意気にするという意見は
学のんの方法がまちがっているからだ
という。
国民の半分を占める女子の
教育が必要だと
成沢が言う。
マスコミも注目をした。

大拍手で演説を終わった。
そこに政財界の大物がかかわって
いることで
新聞に取り上げられた。

しかし、
反発もあった。
事務所には石が投げ込まれた。

成沢は山師だとか
若い女を集めたいからだとか

悪口が横行した。

事務所には張り紙や
投げ込みの文書やらが
たくさん投げ込まれた。

戦争景気の揺り戻しで
世間は不安になっている。
発起人大会が無事に済んだからと
いって
なにもかもうまく行く
とは
限らない。
成沢は
こんなに不安にさせたことで
皆様に申し訳ないと
いう手紙が届いた。

「この間訪問したら、痩せ衰え
て寝込んでいた」と
事務員が言う。

宣は、「これからの
おなごのために
みんなが考えてくれているのに」と
泣いた。

あさはある考えが浮かんだ。
そして千代に声をかけた。

そのころ東京では
大隈邸に啓介が訪問してきた。

「大隈様
すみあせん」という。

あさは成沢の家を訪ねた。
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女性と学問はなぜ
切り離さなければならないのか
と思いますが
この時代は、おなごは
家にあっては
政略結婚の道具であり
嫁にいったら
大事な労働力であり
子孫を残すことが大仕事で
あるので
学問をして社会で働くという
概念がありませんでした。

しかし、人口の半分を占める
女性が力をつけないと
国の繁栄につながりません。

この時代の女性解放の運動は
理解を得ることは難しいこと
だったのですね。