自慢の娘5
新次郎とはつを前に
忠興は後悔していることを
話し始めた。
幕末乱世で独り勝ちをしたと
いわれても、なお悔いることは
山王寺屋を救えなかったこと。
そしてあさのことだという。
「はつ・・
おまえには苦労させてしもた。」
「いいえ、お父さん
うちはあのお家に嫁げて
よかった・・・・。
そのおかげで
あの旦那様に嫁ぐことができて
藍の助と養の助が生まれて
こんなに幸せなことはない」といった。
「だからこれは後悔と
いわないでください。」
「せやな、あんなに楽しそうにしている
孫に失礼やな」
と忠興はいった
「新次郎さん
あなた様には
あさがえらい迷惑をかけて・・
時々思っていました。
父が昔冗談で言った
ように、あさに今井の家督を
つがせていたら
いまごろどうなっていただろうか
と・・・
冗談だとしても
あのときおなごやということに
こだわらないでいたら
もっと学問をさせていたら
もっと
えらいおなごになっていた
かもしれん。
親父のように人を見る目が
なかった
あの子の可能性をつんでしまった。
でも、あのこを育ててくれたのは
新次郎さんだった。」
「いいえ、」と新次郎はいった。
「あさが
子供のころ何も学ばさせて
くれなかったけど
よく考えたら
たくさんのことを学ばさせて
もらっていたのやなと
いうてました。」
これ以上、あさが賢かったら
頭が上がらないと
新次郎が言って
みんなで笑った。
大隈家にあさと千代は訪問した。
千代は初対面の綾子に挨拶を
した。
綾子は
あさの作った女子大学校ができたら
あなたも入学するのでしょう?と
千代に聞いた。
千代とあさは
同時に
「いいえ、そんなことはありません」
「はい、そのようにしてほしいです」
と別の答えをいった。
綾子は笑った。
あさは「そうなったらいいな
と思っていましたが
決めるのは、娘です。
好きなようにと思っています。
うちの母もなんでこの子はどうして
こうなんだろうかと
思っていたと思います。
親の思うようにはいかない」と
いった。
「もったいないけど仕方ないわね」と
綾子は答えた。
綾子は発起人の名簿をあさに渡した。
帰宅してから
あさは、忠興の部屋に行った。
「元気そうなのでよかった」と
いうがあさは明日大阪に帰る
予定となっている。
仕事が待っているのだ。
「またすぐに来ます」と
あさはいった。
炭鉱へよく言ったおかげで
汽車にはなれている。
チケットも集めていますと
いうと
忠興は「おなごのくせに」と笑った。
あさは父の思うような
娘にならな
かったことや
母に心配かけたことなど
話すと忠興は
女子大学校の様子を聞いた。
まだ、寄付金がなかなかあつまら
ないとあさはいった。
大阪に女子の大学校を立てる
予定だけど
寄付金など理解者は東京が
多いといった。
忠興は
建設予定地として今井の目白の別荘
をあげた。
「あそこはしずかで環境がいい。
庭の樹木を残して立てたら
りっぱな学校になる」といった。
「おまえにやりたい」という。
「いいや、わしも寄付をさせてほしいと
いうことや」という。
これは梨江と決めたことで
あさが一生懸命やっている
のでどうだろうと話をしたという。
「おまえがここまでになるとはな」と
いうので
あさは、「それほめてますの?
気持ち悪いわ。
こら、あさと
言われたほうがいい」と
いう。
あさは嫁に行く前にええ娘や
なかったといったら
忠興はこれからのあさの生き方で
それが決まるといった。
忠興は
「ええ娘やったで・・・・」
と、声を少し大きくしていった。
あさは驚いて
忠興の顔を見た。
「いまは
自慢の娘になってしまいよった・・・」
あさは
うつむいた。
「こら
あさ・・
これはな
学問好きのおまえの芽を
つんでしまおうとした
罪滅ぼしや。
学問をしたいという女子に
しっかり学問できる学校を
つくるんやで!!」
あさは、父の顔をしっかりと
みた。
「へぇ!」
東京ではつとあさは
お別れをして
あさたちは大阪へ戻った。
千代がよのの部屋に行くと
さみしそうにしている。
同じ年頃の人が
どんどんいなくなると
言った。
千代は
「長生きしてや」という。
あさの戦いが始まった。
忠興と約束をした
女子大学校の実現に向けて
・・・・
*******************
なんで忠興はあさに学問を
自由にさせてやれなかったのかと
後悔していますが、あさには
どんよくな向上心があればこそ
加野屋を守ってこれたと思います。
学問があったら・・・
もっと違った人生だったかも
しれません。
そう思うと
これでよかったんだと思います。
おなごのくせに
とか
おなごは学問はいらない
とか
そういわれて
なんでだす???
と疑問に思えてこそ
その強さで
あさは、時代をのりこえたのです。
それに
おなごでも不可能はないと
いう逆にその信念で
炭鉱もきりもりしてきたし
銀行も作ってきた
わけですね。
お父さんの後悔はちょっと
違うかもしれないと
思います。
でも、あさへの愛情が
感じられました。
新次郎とはつを前に
忠興は後悔していることを
話し始めた。
幕末乱世で独り勝ちをしたと
いわれても、なお悔いることは
山王寺屋を救えなかったこと。
そしてあさのことだという。
「はつ・・
おまえには苦労させてしもた。」
「いいえ、お父さん
うちはあのお家に嫁げて
よかった・・・・。
そのおかげで
あの旦那様に嫁ぐことができて
藍の助と養の助が生まれて
こんなに幸せなことはない」といった。
「だからこれは後悔と
いわないでください。」
「せやな、あんなに楽しそうにしている
孫に失礼やな」
と忠興はいった
「新次郎さん
あなた様には
あさがえらい迷惑をかけて・・
時々思っていました。
父が昔冗談で言った
ように、あさに今井の家督を
つがせていたら
いまごろどうなっていただろうか
と・・・
冗談だとしても
あのときおなごやということに
こだわらないでいたら
もっと学問をさせていたら
もっと
えらいおなごになっていた
かもしれん。
親父のように人を見る目が
なかった
あの子の可能性をつんでしまった。
でも、あのこを育ててくれたのは
新次郎さんだった。」
「いいえ、」と新次郎はいった。
「あさが
子供のころ何も学ばさせて
くれなかったけど
よく考えたら
たくさんのことを学ばさせて
もらっていたのやなと
いうてました。」
これ以上、あさが賢かったら
頭が上がらないと
新次郎が言って
みんなで笑った。
大隈家にあさと千代は訪問した。
千代は初対面の綾子に挨拶を
した。
綾子は
あさの作った女子大学校ができたら
あなたも入学するのでしょう?と
千代に聞いた。
千代とあさは
同時に
「いいえ、そんなことはありません」
「はい、そのようにしてほしいです」
と別の答えをいった。
綾子は笑った。
あさは「そうなったらいいな
と思っていましたが
決めるのは、娘です。
好きなようにと思っています。
うちの母もなんでこの子はどうして
こうなんだろうかと
思っていたと思います。
親の思うようにはいかない」と
いった。
「もったいないけど仕方ないわね」と
綾子は答えた。
綾子は発起人の名簿をあさに渡した。
帰宅してから
あさは、忠興の部屋に行った。
「元気そうなのでよかった」と
いうがあさは明日大阪に帰る
予定となっている。
仕事が待っているのだ。
「またすぐに来ます」と
あさはいった。
炭鉱へよく言ったおかげで
汽車にはなれている。
チケットも集めていますと
いうと
忠興は「おなごのくせに」と笑った。
あさは父の思うような
娘にならな
かったことや
母に心配かけたことなど
話すと忠興は
女子大学校の様子を聞いた。
まだ、寄付金がなかなかあつまら
ないとあさはいった。
大阪に女子の大学校を立てる
予定だけど
寄付金など理解者は東京が
多いといった。
忠興は
建設予定地として今井の目白の別荘
をあげた。
「あそこはしずかで環境がいい。
庭の樹木を残して立てたら
りっぱな学校になる」といった。
「おまえにやりたい」という。
「いいや、わしも寄付をさせてほしいと
いうことや」という。
これは梨江と決めたことで
あさが一生懸命やっている
のでどうだろうと話をしたという。
「おまえがここまでになるとはな」と
いうので
あさは、「それほめてますの?
気持ち悪いわ。
こら、あさと
言われたほうがいい」と
いう。
あさは嫁に行く前にええ娘や
なかったといったら
忠興はこれからのあさの生き方で
それが決まるといった。
忠興は
「ええ娘やったで・・・・」
と、声を少し大きくしていった。
あさは驚いて
忠興の顔を見た。
「いまは
自慢の娘になってしまいよった・・・」
あさは
うつむいた。
「こら
あさ・・
これはな
学問好きのおまえの芽を
つんでしまおうとした
罪滅ぼしや。
学問をしたいという女子に
しっかり学問できる学校を
つくるんやで!!」
あさは、父の顔をしっかりと
みた。
「へぇ!」
東京ではつとあさは
お別れをして
あさたちは大阪へ戻った。
千代がよのの部屋に行くと
さみしそうにしている。
同じ年頃の人が
どんどんいなくなると
言った。
千代は
「長生きしてや」という。
あさの戦いが始まった。
忠興と約束をした
女子大学校の実現に向けて
・・・・
*******************
なんで忠興はあさに学問を
自由にさせてやれなかったのかと
後悔していますが、あさには
どんよくな向上心があればこそ
加野屋を守ってこれたと思います。
学問があったら・・・
もっと違った人生だったかも
しれません。
そう思うと
これでよかったんだと思います。
おなごのくせに
とか
おなごは学問はいらない
とか
そういわれて
なんでだす???
と疑問に思えてこそ
その強さで
あさは、時代をのりこえたのです。
それに
おなごでも不可能はないと
いう逆にその信念で
炭鉱もきりもりしてきたし
銀行も作ってきた
わけですね。
お父さんの後悔はちょっと
違うかもしれないと
思います。
でも、あさへの愛情が
感じられました。
