夢見る人5
事務所にいる成沢のもとに
きた連中は何者だったのか。
はつと惣兵衛が和歌山に帰る時間と
なった。
名残惜しいあさであるが
生きているあさに会えてよかったと
はつはいう。
「ミカンの木には立派な木と
細い木が在って」
・・・と
はつが話をする。
「立派な木は立派なおみかんが
成るけど
嵐になって海風がきつくふくと
最初に倒れるのは
立派な木のほうや。」
はつは、あさには立派になって
欲しくないという。
「頑張るものええけど大事な人や
心配してくれるようけのひと
たちのためにも決して
無茶したらあきまへんで。」
「はい、わかりました。」
新次郎は「さすがですな」と惣兵衛にいう。
「自分が何度もいったのだが
あさは聞いてくれなかった。
はつだとすんなりと聞く。」
惣兵衛も「うちの家族も
はつには、手のひらの上でころころ
ところがされている」という。
帰るとき惣兵衛は藍の助に聞く。
「このさき、はつとの約束の三年が
くるけどどうするのだ?」
藍の助はここで頑張りたいと
いった。
そして菊に伝えてほしいことが
あるといった。
病室では千代も女学校へ
帰ることになったので
よのは早速今後の話を
した。
よのは、「千代は女学校を卒業したら
お嫁さんになるのでしょ?」
と聞く。
あさは驚くが
千代は、お嫁さんになりたいので
否定はしない。
「こんなにいい子だと
いいお嫁さんになれるやろな」と
よのは本腰を入れて結婚相手を
探すという。
千代はふと啓介を思った。
あのとき、倒れたとき
「どうしたの?」と
心配そうに聞いてくれた。
その場所へ行くと誰もいない。
千代はため息をついた。
その時、背後から人が来て言った。
「やぁりんごちゃん。」
啓介だった。
千代のかっこうをみて、「君は女学生
だったのか」という。
千代は母の容態がよくなったので
京都に戻りますという。
自分は白川女学校で寄宿舎暮らしを
している、週末には
こちらに来ますというが。
啓介は、週末には東京へ帰る
といった。
「運が良ければ、また会えるかもしれない
ね。」
その言葉に千代は
「はい、」と返事をした。
店では
栄三郎は亀助に大阪に戻ってきて
ほしいという。
九州の加野商店には
柴田を支店長に回そうと思って
いるという。
亀助は承知した。
役職は「・・・天神橋の支店長かな」と
いうと
「役員秘書になって欲しい」といった。
役員というと
新次郎と
栄三郎と
あさである。
大抜擢だ。
三人の役員の仕事を手伝ってほしいと
いうことである。
「あさのそばにいて守ってやってくれ」と
新次郎もいう。
亀助はこうして役員秘書となった。
あさの病室ではさっそく旦那衆がきて
商売の話である。
山屋たちが生命保険の話をもってきた。
その仕事の話を病室で
話をしていた。
そこに、亀助は
「ぼちぼち、次のお客さんが
きているので」といって
交通整理をした。
そこに来たのは
大隈綾子だった。
成沢のもとに現れたのは
大隈の部下と綾子だった。
綾子は、成沢の様子と
あさの様子を見て
「よかったこと」といって
書類を見せた。
賛同者の署名簿だった。
ご主人様と
その横に奥様方が署名をして
いる。
あさのアイディアに賛同する
夫人が何人もいた。
綾子は、「男は風の向きで意見が
かわるけど私たちはとても感動して
どこまでもあささんを支えます」と
いった。
よろこぶあさだった。
そんなあさは、退院後
はつといっしょに東京へ
父、忠興のお見舞いに行くと
いう。
惣兵衛は養の助にも一緒に行くように
といった。
東京の市場や問屋の様子を見聞き
していたほうがいいと
いうのだ。
養の助は東京へ行くことになった。
惣兵衛は菊にこの間
藍の助から聞いた話を
した。
菊は、藍の助を大阪にやったのは
加野銀行で働いて
のれん分けをしてもらって
もう一度山王寺屋の看板を
上げたいと
思っているのだった。
それを藍の助から聞いた惣兵衛は
菊にその夢は諦めてくれと
いった。
「無理だ・・
銀行にはのれん分けというしきたり
がない。
今の大阪の町で藍の助が
山王寺屋ののれんを出すなんて
それは無理や。」
菊は「なんのために藍の助に勉強
させたのだろうか」と怒る。
はつは、「藍の助は山王寺屋ののれんの
ために勉強したのではなく
自分のためだったのです。」
と言って
藍の助は菊には感謝している
といっていたというと
菊は悲しそうな顔をした。
*********************
そうでしょうね。
菊は山王寺屋の一人娘で
大番頭の栄達を婿にとって
人一倍山王寺屋に思い入れがある。
だから、藍の助を大阪に出した
のは、山王寺屋ののれんを出すため
だった。
しかし、時代は変わった。
銀行にはのれん分けという制度がない。
よって、藍の助がいくら仕事ができても
のれんを分けてもらえるものでは
ない。
時代は山王寺屋を
見殺しにした。
厳しいことだがその大きな変化に
載って行ったのはあさが
守ってきた加野屋だった。
あたらしい時代は菊に夢を
あきらめさせたということだった。
菊はおさない藍の助が商売が好きらしいと
菊はよろこび
子供のころから藍の助の
教育に熱心だった菊の
野望は、そういうことだった
のですね。
事務所にいる成沢のもとに
きた連中は何者だったのか。
はつと惣兵衛が和歌山に帰る時間と
なった。
名残惜しいあさであるが
生きているあさに会えてよかったと
はつはいう。
「ミカンの木には立派な木と
細い木が在って」
・・・と
はつが話をする。
「立派な木は立派なおみかんが
成るけど
嵐になって海風がきつくふくと
最初に倒れるのは
立派な木のほうや。」
はつは、あさには立派になって
欲しくないという。
「頑張るものええけど大事な人や
心配してくれるようけのひと
たちのためにも決して
無茶したらあきまへんで。」
「はい、わかりました。」
新次郎は「さすがですな」と惣兵衛にいう。
「自分が何度もいったのだが
あさは聞いてくれなかった。
はつだとすんなりと聞く。」
惣兵衛も「うちの家族も
はつには、手のひらの上でころころ
ところがされている」という。
帰るとき惣兵衛は藍の助に聞く。
「このさき、はつとの約束の三年が
くるけどどうするのだ?」
藍の助はここで頑張りたいと
いった。
そして菊に伝えてほしいことが
あるといった。
病室では千代も女学校へ
帰ることになったので
よのは早速今後の話を
した。
よのは、「千代は女学校を卒業したら
お嫁さんになるのでしょ?」
と聞く。
あさは驚くが
千代は、お嫁さんになりたいので
否定はしない。
「こんなにいい子だと
いいお嫁さんになれるやろな」と
よのは本腰を入れて結婚相手を
探すという。
千代はふと啓介を思った。
あのとき、倒れたとき
「どうしたの?」と
心配そうに聞いてくれた。
その場所へ行くと誰もいない。
千代はため息をついた。
その時、背後から人が来て言った。
「やぁりんごちゃん。」
啓介だった。
千代のかっこうをみて、「君は女学生
だったのか」という。
千代は母の容態がよくなったので
京都に戻りますという。
自分は白川女学校で寄宿舎暮らしを
している、週末には
こちらに来ますというが。
啓介は、週末には東京へ帰る
といった。
「運が良ければ、また会えるかもしれない
ね。」
その言葉に千代は
「はい、」と返事をした。
店では
栄三郎は亀助に大阪に戻ってきて
ほしいという。
九州の加野商店には
柴田を支店長に回そうと思って
いるという。
亀助は承知した。
役職は「・・・天神橋の支店長かな」と
いうと
「役員秘書になって欲しい」といった。
役員というと
新次郎と
栄三郎と
あさである。
大抜擢だ。
三人の役員の仕事を手伝ってほしいと
いうことである。
「あさのそばにいて守ってやってくれ」と
新次郎もいう。
亀助はこうして役員秘書となった。
あさの病室ではさっそく旦那衆がきて
商売の話である。
山屋たちが生命保険の話をもってきた。
その仕事の話を病室で
話をしていた。
そこに、亀助は
「ぼちぼち、次のお客さんが
きているので」といって
交通整理をした。
そこに来たのは
大隈綾子だった。
成沢のもとに現れたのは
大隈の部下と綾子だった。
綾子は、成沢の様子と
あさの様子を見て
「よかったこと」といって
書類を見せた。
賛同者の署名簿だった。
ご主人様と
その横に奥様方が署名をして
いる。
あさのアイディアに賛同する
夫人が何人もいた。
綾子は、「男は風の向きで意見が
かわるけど私たちはとても感動して
どこまでもあささんを支えます」と
いった。
よろこぶあさだった。
そんなあさは、退院後
はつといっしょに東京へ
父、忠興のお見舞いに行くと
いう。
惣兵衛は養の助にも一緒に行くように
といった。
東京の市場や問屋の様子を見聞き
していたほうがいいと
いうのだ。
養の助は東京へ行くことになった。
惣兵衛は菊にこの間
藍の助から聞いた話を
した。
菊は、藍の助を大阪にやったのは
加野銀行で働いて
のれん分けをしてもらって
もう一度山王寺屋の看板を
上げたいと
思っているのだった。
それを藍の助から聞いた惣兵衛は
菊にその夢は諦めてくれと
いった。
「無理だ・・
銀行にはのれん分けというしきたり
がない。
今の大阪の町で藍の助が
山王寺屋ののれんを出すなんて
それは無理や。」
菊は「なんのために藍の助に勉強
させたのだろうか」と怒る。
はつは、「藍の助は山王寺屋ののれんの
ために勉強したのではなく
自分のためだったのです。」
と言って
藍の助は菊には感謝している
といっていたというと
菊は悲しそうな顔をした。
*********************
そうでしょうね。
菊は山王寺屋の一人娘で
大番頭の栄達を婿にとって
人一倍山王寺屋に思い入れがある。
だから、藍の助を大阪に出した
のは、山王寺屋ののれんを出すため
だった。
しかし、時代は変わった。
銀行にはのれん分けという制度がない。
よって、藍の助がいくら仕事ができても
のれんを分けてもらえるものでは
ない。
時代は山王寺屋を
見殺しにした。
厳しいことだがその大きな変化に
載って行ったのはあさが
守ってきた加野屋だった。
あたらしい時代は菊に夢を
あきらめさせたということだった。
菊はおさない藍の助が商売が好きらしいと
菊はよろこび
子供のころから藍の助の
教育に熱心だった菊の
野望は、そういうことだった
のですね。
