みかんの季節3
惣兵衛が話があるという。
あさは緊張していた。
あさと惣兵衛が二人で話をする
のはなんと
あの時以来だった。
はつが嫁に行く前に
惣兵衛を表情のない
白蛇のようだと
あさがいったことがあった。
それで、あさは惣兵衛に
いった。
『姉に笑ってやっていただけませんか』
すると惣兵衛は
『ちょっとは大人になったとおもった
けど中身はあかんたれのままやな。』
と、あさにすごんだ。
その時以来だった。
離れの小屋のようなところで
惣兵衛はあさに聞いた。
「なぁ、妹はん
あんたの目から見て
銀行の働き手としての
藍の助はどうでしたか?
あんたの正直な見立てを
ききたいんや・・・」
あさは、考えて
話を始めた。
「藍の助と働くのは楽しい。
身内だからと言ってひいきはしないが
年下の丁稚たちに交じっても
少しも嫌な顔をしなかった。
ようまじめに働いてくれてい
ました。
この有田でも藍の助はますます
頼りになる子に育つと思います。
うちに預けてくれるのなら
その時はいい商人になるよう
きっちり
教えされていただくつもりだす。」
惣兵衛は
ふっと笑って
「自信あるんやな」という。
「商いのことぐらいは自信を
持たせてください。
惣兵衛さんがうらやましい。
一家でみんなで働いているから。
食事はみんなとできるから・・。」
あさは、家族とは
時間があわずに、食事のは
ひとりだった。
ひっしで仕事を終えて食事にいったら
あさの席がなかった。
「いてないほうがいいのかな・・」
と思ったという。
その様子を
新次郎とはつがそっと
見聞きして
いた。
「わしは一家六人を食べさすのに
必死だけど
あんたはその何十倍何百倍の人
を食べさすのやさかいな。」
「へぇ・・・・」
「昔のお母ちゃんもこうだったんやろな。」
「商いはやりがいがあります。
二つの会社も安定してきました。
これからは何に向かって
頑張って行ったら
いいのか
わからないようになってしまって・・」
そういって、あさは足を崩して足を
のばした。
「娘にかて嫌われてしもうて・・」
「え??惣兵衛は
聞き返した。
そこに新次郎が入ってきて
「なにをだら~~っとしてはり
ますのや」という。
はつも入って来た。
「いつから来てたんや?」
と惣兵衛が聞く。
「たったいまです。」と
はつが答えた。
休むという事はだら~~と
することと新次郎がいったから
だら~~~としていると
あさはいうが・・
その様子を
栄達と菊が見ていた。
「四人そろっているところを
みるってけったいやな」と
栄達が言う。
菊は、「惣兵衛とあさが
一緒になっていたら
山王寺屋は生き残っていた
やろか」と
いう。
栄達は、「それはない」といった。
菊とあさは会わないから
きっと、どこかで
家を飛び出したやろうという。
菊は「そうだすな。これでよかったんや」と
いう。
「うちの嫁ははつさんしかいない」と
栄達は言った。
そこへ惣兵衛は
栄達と菊と見つけて
「一緒に話をしよう」と
いった。
眉山家の家族会議が始まった。
囲炉裏を囲んで養の助と
藍の助もはいって
これからのミカン農家について
話を始めた。
惣兵衛はいった。
自分たちは親の言いなりに生きようと
した。
自分にはその道しかないと
思っていた。
商人以外道はないと思っていた。
その道が思いがけなく
亡くなってしまった。
道というのは自分たちで
探して歩くものだと気が付いた。
山王寺屋ののれんがなくなり
世間に掘り出された。
よくみてみたら
面白いものやら、汚いものやら
いろいろとみた。
目がくらみそうになったときは
はつが惣兵衛の手を握って
いた。
「はつの力はつよい」と
栄達が言うと二人の息子は
「力は強い」と笑った。
惣兵衛は
いまは、貧しくても
今の暮らしに誇りを持って
いるという。
菊は「それでも、藍の助を
どうにかして商人にしたい」
そういいかけて
惣兵衛は
それをさえぎった。
「いま、親の言いなりに生きることは
どうかという話をしてますのや。
ちょっとだまってて。」
菊は驚いた。
「つまりこの誇りをわかって欲しいと
思っていたけど
藍の助が家出をしてまでも
やりたいというのだったら
止められないと思った」
という。
はつは、惣兵衛に
「だったらこの家はどうされますか」
と聞く。
藍の助はがまんができずに
両親に頭を下げた。
「おねがいします。
大阪に行かせてください!
加野銀行があかんのやったら
他の店でもええ。
自分で探します。
一辺でいいから
日本一の商業の町で
僕の生まれた町で
きちんと働いてみたいのです。」
そして、藍の助ははつに
「みかんが好きだ」という。
「一家で働くのも
この村も嫌いではない。
もっと自分でやりたいことを見つけ
たんや。
大阪に行かせてください。」
養の助も
はつに、「僕も頑張るから
兄ちゃんに行かせてやって。
時々手を抜いていたけど
僕も頑張るから。」
「やっぱり手を抜いていたのか・・」
と惣兵衛。
はつは、「もういやや。
そないいうたら
行くなと言えへんや。
三年だす。
うちらが和歌山に来て
みかんを植えて
初めて実がなるのは
三年かかりました。
だから
まずは三年
大阪で働いてきなさい。
それまでにものにならへんかったら
帰って来るんやで。
いっといで・・・」
はつから
了解が出た。
眉山家は
あたらしい、門出を
迎えた。
あさと新次郎は
みかん畑で
話をしていた。
藍の助の話を
しようとして
よその家のことに口を出すなと
新次郎が言う。
あさは、千代のことを思った。
自分たちの思いを
押し付けるのではなく
千代の気持ちも考えなくてはと
あさは思った。
****************
こどもの道とは
子供が考えることでモア
あるし
親も一緒に考えること
でもある
わけです。
いままで
一生懸命、わたしは
子供のために
教育を
応援してきました。
が・・・
いざ、
就職になって
彼らは
自分は何をやりたいのか
わからないというのです。
キャリアが足りなかったのです。
経験不足です。
大学時代は
もっと
ボランティアだの
アルバイトだの
社会を見る必要があります。
それが
足りなかった
と思いました。
自分は何に向いているのか
わからない。
自分は何がしたいのか
わからない・・
何と甘い子供たちでしょうか。
やりたいことなどなくてもいい。
仕事はしないといけないと
言い聞かせられなかったことが
悔しいです。
藍の助くん
よかったです。
養の助くんも
しっかりと
兄や両親を
守ろうとして
います。
菊も
はつを認めています。
眉山一家は店はなくなったけど
一致団結して
素晴らしい家族だと思います。
はつの、功績です。
惣兵衛が話があるという。
あさは緊張していた。
あさと惣兵衛が二人で話をする
のはなんと
あの時以来だった。
はつが嫁に行く前に
惣兵衛を表情のない
白蛇のようだと
あさがいったことがあった。
それで、あさは惣兵衛に
いった。
『姉に笑ってやっていただけませんか』
すると惣兵衛は
『ちょっとは大人になったとおもった
けど中身はあかんたれのままやな。』
と、あさにすごんだ。
その時以来だった。
離れの小屋のようなところで
惣兵衛はあさに聞いた。
「なぁ、妹はん
あんたの目から見て
銀行の働き手としての
藍の助はどうでしたか?
あんたの正直な見立てを
ききたいんや・・・」
あさは、考えて
話を始めた。
「藍の助と働くのは楽しい。
身内だからと言ってひいきはしないが
年下の丁稚たちに交じっても
少しも嫌な顔をしなかった。
ようまじめに働いてくれてい
ました。
この有田でも藍の助はますます
頼りになる子に育つと思います。
うちに預けてくれるのなら
その時はいい商人になるよう
きっちり
教えされていただくつもりだす。」
惣兵衛は
ふっと笑って
「自信あるんやな」という。
「商いのことぐらいは自信を
持たせてください。
惣兵衛さんがうらやましい。
一家でみんなで働いているから。
食事はみんなとできるから・・。」
あさは、家族とは
時間があわずに、食事のは
ひとりだった。
ひっしで仕事を終えて食事にいったら
あさの席がなかった。
「いてないほうがいいのかな・・」
と思ったという。
その様子を
新次郎とはつがそっと
見聞きして
いた。
「わしは一家六人を食べさすのに
必死だけど
あんたはその何十倍何百倍の人
を食べさすのやさかいな。」
「へぇ・・・・」
「昔のお母ちゃんもこうだったんやろな。」
「商いはやりがいがあります。
二つの会社も安定してきました。
これからは何に向かって
頑張って行ったら
いいのか
わからないようになってしまって・・」
そういって、あさは足を崩して足を
のばした。
「娘にかて嫌われてしもうて・・」
「え??惣兵衛は
聞き返した。
そこに新次郎が入ってきて
「なにをだら~~っとしてはり
ますのや」という。
はつも入って来た。
「いつから来てたんや?」
と惣兵衛が聞く。
「たったいまです。」と
はつが答えた。
休むという事はだら~~と
することと新次郎がいったから
だら~~~としていると
あさはいうが・・
その様子を
栄達と菊が見ていた。
「四人そろっているところを
みるってけったいやな」と
栄達が言う。
菊は、「惣兵衛とあさが
一緒になっていたら
山王寺屋は生き残っていた
やろか」と
いう。
栄達は、「それはない」といった。
菊とあさは会わないから
きっと、どこかで
家を飛び出したやろうという。
菊は「そうだすな。これでよかったんや」と
いう。
「うちの嫁ははつさんしかいない」と
栄達は言った。
そこへ惣兵衛は
栄達と菊と見つけて
「一緒に話をしよう」と
いった。
眉山家の家族会議が始まった。
囲炉裏を囲んで養の助と
藍の助もはいって
これからのミカン農家について
話を始めた。
惣兵衛はいった。
自分たちは親の言いなりに生きようと
した。
自分にはその道しかないと
思っていた。
商人以外道はないと思っていた。
その道が思いがけなく
亡くなってしまった。
道というのは自分たちで
探して歩くものだと気が付いた。
山王寺屋ののれんがなくなり
世間に掘り出された。
よくみてみたら
面白いものやら、汚いものやら
いろいろとみた。
目がくらみそうになったときは
はつが惣兵衛の手を握って
いた。
「はつの力はつよい」と
栄達が言うと二人の息子は
「力は強い」と笑った。
惣兵衛は
いまは、貧しくても
今の暮らしに誇りを持って
いるという。
菊は「それでも、藍の助を
どうにかして商人にしたい」
そういいかけて
惣兵衛は
それをさえぎった。
「いま、親の言いなりに生きることは
どうかという話をしてますのや。
ちょっとだまってて。」
菊は驚いた。
「つまりこの誇りをわかって欲しいと
思っていたけど
藍の助が家出をしてまでも
やりたいというのだったら
止められないと思った」
という。
はつは、惣兵衛に
「だったらこの家はどうされますか」
と聞く。
藍の助はがまんができずに
両親に頭を下げた。
「おねがいします。
大阪に行かせてください!
加野銀行があかんのやったら
他の店でもええ。
自分で探します。
一辺でいいから
日本一の商業の町で
僕の生まれた町で
きちんと働いてみたいのです。」
そして、藍の助ははつに
「みかんが好きだ」という。
「一家で働くのも
この村も嫌いではない。
もっと自分でやりたいことを見つけ
たんや。
大阪に行かせてください。」
養の助も
はつに、「僕も頑張るから
兄ちゃんに行かせてやって。
時々手を抜いていたけど
僕も頑張るから。」
「やっぱり手を抜いていたのか・・」
と惣兵衛。
はつは、「もういやや。
そないいうたら
行くなと言えへんや。
三年だす。
うちらが和歌山に来て
みかんを植えて
初めて実がなるのは
三年かかりました。
だから
まずは三年
大阪で働いてきなさい。
それまでにものにならへんかったら
帰って来るんやで。
いっといで・・・」
はつから
了解が出た。
眉山家は
あたらしい、門出を
迎えた。
あさと新次郎は
みかん畑で
話をしていた。
藍の助の話を
しようとして
よその家のことに口を出すなと
新次郎が言う。
あさは、千代のことを思った。
自分たちの思いを
押し付けるのではなく
千代の気持ちも考えなくてはと
あさは思った。
****************
こどもの道とは
子供が考えることでモア
あるし
親も一緒に考えること
でもある
わけです。
いままで
一生懸命、わたしは
子供のために
教育を
応援してきました。
が・・・
いざ、
就職になって
彼らは
自分は何をやりたいのか
わからないというのです。
キャリアが足りなかったのです。
経験不足です。
大学時代は
もっと
ボランティアだの
アルバイトだの
社会を見る必要があります。
それが
足りなかった
と思いました。
自分は何に向いているのか
わからない。
自分は何がしたいのか
わからない・・
何と甘い子供たちでしょうか。
やりたいことなどなくてもいい。
仕事はしないといけないと
言い聞かせられなかったことが
悔しいです。
藍の助くん
よかったです。
養の助くんも
しっかりと
兄や両親を
守ろうとして
います。
菊も
はつを認めています。
眉山一家は店はなくなったけど
一致団結して
素晴らしい家族だと思います。
はつの、功績です。
