ようこそ銀行へ4
和歌山のはつのもとにあさから
手紙が来た。
藍の助のことであった。
はつは、藍の助が
惣兵衛にひどいことをいって
そのままいなくなったことに
腹を立てた。
菊も
栄達も
だまっていた。

加野銀行では。
大口の客である
工藤の話とは
娘にええ縁談はないものかと
いってきた。
娘は高等女学校を出た
ものの、働く場所がなく
成績がよかったばかりに
よけい、がっかりしているらしい。
いくら数学ができても
働く場所がないし
行き遅れという言葉が
存在する時代なので
早く嫁にいかせたいというのだ。

「娘は変に知恵がついてしまったので
せっかくの学問が宝の持ち腐れだ」と
いった。

「だから、結婚??」
あさは、学問を身に着けた女性を
つくっても
その後の受け入れ先をどうにもでき
ていない社会の実態を感じた。
平十郎は「縁談ですか。
相手を探しましょうか」と
いうが
あさは、「おなごも男と同じく
働き者であるはずだ」と
いった。

美和は「そうだ」という。
「男の方の中にも働くのが
嫌な人もいる」という。

働くというのは
男と女の問題ではなく
一人ひとり問題だと
あさはいう。

おなごの働くという
ことは
家業のためとか
行儀見習いとか
にすぎない。
あさは美和によくぞ
こんな店を作ったのもだと
いうと美和は
自分だけではなく
五代さまや大勢の男衆に
助けられたという。

そこに、女給さんが
お茶を持ってきた。

働くことを希望する女性が
いることにあさは気が付いた。

あさは、銀行で女性を雇いたいと
栄三郎に言う。

「しばらくは男子行員の補助として
働いてもらって
正式に行員になってもらう」という
話しである。

一斉に反対したのは
新次郎と平十郎と栄三郎だった。
平十郎は「女子を銀行の内側にいれるのは
難しい。
なぜかというと
おなごは数字に弱い」といった。

あさは「それはおなごが実学を十分学ぶ
環境になかったからだ」という。

「他には?」とあさが聞く。

栄三郎は
「今まで両替屋でもおなごが
店で働いていたことは
なかった。世間が
おなごが店に入ることを
認めていなかったからだ」
という。

「それなのに急に加野銀行が
おなごを雇うと
信用問題だ」といった。

「今までありえへん
かったからこそ
もし、成功したら
先見の明があったと
加野屋の株が上がる」と
あさはいう。
「男子行員に引けを取らない
実力をつけることは簡単では
ないが・・
どんな苦労も根性でついてくる
子を選びます。
そのこの力を生かしてあげたい。」

「かなりの冒険ですね」と
平十郎が言う。
「だから、その子たちのお給金も
信用してもらえるまで
うちが用意します。
だから、どうか
どうかやらしてください」とあさはいう。
栄三郎は新次郎に反対の意見を
聞いた。
新次郎はどうなんだと
いうと
「銀行の外におなごさんが出て
よからぬ連中においどを触られ
たらどうするのかと心配して
いる」という。
そんなゲスな輩はどこにでもいる。

あさは、「そんな連中から
おいどを自分が守る」といった。

「だったら、よろしいですわな。
店におなごはんがいたら
華やぎますからな。」と
新次郎。

それで

結局

賛成となった。
そして新次郎は言った。
「あさは一応おなごです。
このひとは
大金もよく扱っていましたが
一辺も計算間違えたことは
ありまへんのやで。」

平十郎ははっとした。

こうして、加野銀行は
女子行員を募集した。

かなりの人気なので
応募の列ができた。
あの工藤の娘も来た。

基礎学科
接客実地試験を
おこなった。

気分だけとか
遊び気分とかの
甘い考えの女性は
ここでふるいにかけられた。

意欲的で知性あふれる女子だけ
となった。

さらに、最後はあさが自ら
面接となった。

器量や愛嬌よりも
まじめで根性が座っている女子を
見極めた。
最終的に四人となった。

高木つる
末松すず

中川ハト
工藤サカエ

である。

あさは

「長い間ご苦労さんだした。
あなた方余人を加野銀行の女子行員
として見習い採用とします。

あさは、男性優位の社会なので
小さな失敗でも
おなごはあかんと言われると
いった。
男に交じって働くというのはそういう
ことだす。
だから失敗は一つもしたらあきまへん。

でも私も何べんも
失敗してきたの。

わるいけど当分、男子行員よりも
早く出勤してください。

あなた方4人の進む道
の後ろには、ぎょうさんの
これからはたらきたいというおなご
たちがいてはります。
あなた方は
そんな人たちの
ファーストペンギンに
なるのですよ。」

それからあさは四人の女子行員
見習いと
毎朝一番に出勤して
実務の学習をさせた。


朝ごはんの席で
よのがあさがもう出勤している
ことに驚いていた。

千代は育てがいのある女子行員が
きたので喜んでいるのだろう
と話したら
新次郎が千代に言った。
「千代・・・あんた・・・」

と言いかけた。

そのころ
店の外にはつがきていた。
********************
さて、千代の進路はどうなるのかと
いう問題に新次郎は取り組み始めた。

丁度加野銀行が
女子の採用を考えるにあたり新次郎
も千代の進路を考えていたのだろう。
おなじくはつが来たという事は
藍の助のことである。
はつにははつの
悩みがあったはずだ。

この時代、のデコルテの
洋装はきれいでかわいいけど
私には疑問がある。
さっさと足早に歩けるのだ
ろうが
おトイレはどうするのだろう????

いちいち脱ぐのかな???

かなり、面倒くさそうだと
思ったが
女子の社会進出には
社会の受け入れ態勢が
問題でもあるのだが
もう一つ問題は
下着の発達によって
動きがよくなることと
生理の時の
お手当が問題だったのではと
思う。
昔、ある生理用品のCMに確か
そういうことがあったような
気がする。
女性を自由にした○○の生理用品と
いう何かあったと思うが
生理時は確かに不自由である。
それをどうこの時代の女性は
のりこえてきたのだろうかと
思った。
かなり深刻で大事な問題なので、
書きにくいけど
書きました。