最後のご奉公1
生前五代が言っていた
銀行という商売に
あさは、本気で考えるように
なり、ついに加野屋を
銀行にするという計画を
立てることができた。
新次郎は炭鉱の会社の社長と
なった。
そんなある日
加野屋にはつ、親子と
菊がやってきた。
はつ、藍の助。そして菊で
ある。
なつかしい再会に
喜ぶあさたちだった。

家の中にはつたちを案内した。

藍の助は加野屋の大きさに
「ひろいなぁ~~~」と
感動してさけぶ。
はつは、「うろうろしたらあきまへん」
というが、「ここは庄屋さんの家より
大きい、どうなっているのか」と
興味津々の藍の助だった。
それで思わずはつは
「あかんいうたらあきまへん」と
大声で叫んだので
あさは、びっくりした。
あの、そそとした
おとなしい、おしとやかな
はつが、肝っ玉が据わった
母親になっている。
元気な男の子ふたりを
育てていると
どうしても荒っぽくなると
はつはいう。
あさは、はつが立派な
母親になっているので
感心した。

はつはあさが、立派な
奥様になっているので
感心した。

うめは、菊にあちらで
大奥様と
お茶でもといった。

菊は歩き疲れていたので
喜んでお茶にいった。

その様子をじっと千代が陰から
みていた。

はつは千代を見つけた。

「あんたが千代ちゃん?」
千代は恥ずかしそうにした。
あさは千代を呼んだ。

「これがうちの娘の千代だす。」
「あらま・・・」

はつは、千代の前に座って
千代をだきしめた。
「会いたかったわ・・・」
そして、千代の顔を見ていった。
「はじめまして
うちがあんたの
お母ちゃんのお姉ちゃんやで。
おみかんのおばちゃんやで。」

千代は小さな声で「はじめまして」と
いったが

そして、去って行った。

よのと菊のほうは・・。
菊たちは墓参りに
きたという。

やっと、旅に出る余裕ができた
という。

藍の助は高等小学校に
いっていると
いう。
「どないしても教育を
受けさせたいので
菊も自ら藁を
編んでいる」と
いうと
よのは驚いた。

そうしている間に庄屋の
奥さんがお琴を習いたいと
いうのでそれも
収入の一部になって
いるらしい。

女たちのおしゃべりは
長々と続く・・・・

藍の助は
両替屋の店先を見て
感動していた。

「りっぱな机や
お父ちゃんもこんな
仕事をしていたのか・・・」

店の若い者は
藍の助が大番頭の席に
座っているので
「ずうずうしいやつや」と
悪口を言う。
「そういえば亀助さんは
どうしているだろう」とも
話をし始めた。
その話には
山崎がはいっていて

「亀助さんどうしているかな」
というと
「へぇ」

「ヘイさん亀助さんしらへんやろ?」
「へぇ」

といって、去って行く。

「かなわんな。話にならへん。」
と丁稚が言う。

「あの人は、どうもものすごい
始末屋らしい」と
雁助が言った。
ノートは
細かい字でびっしりと書く。
ハナ紙も
四回は畳んでかむ。
また広げて乾かして使うと
いう・・・。

無駄なことは一切しない。

話しも倹約して
「へえ」で済むことは「へえ」ですます。
と言って感心した。

藍の助はあさが社長なので
驚いている。

やっとそろばんがあったので
はつのもとに
急いで行った。

はつは、座敷で静かにまって
いた。
そこを千代が見ていた。

でもはつが気が付くと
逃げて行った。
うめははつにもう少し待って
下さいと言った。

静かな時間をすごすので
ほっとしているはつだった。

せまい家に育ちざかりの
男の子が二人いると
毎日がお祭りのように
にぎやかだという。
今井の父親のように
こら、こら。。。っと
叫んでばかりいるらしい。

千代ちゃんはあさににていると
はつがいう。

でも中身はまったく違って
いるらしい。

遊びも女の子らしい
遊びをしているという。

あさがその時入ってきて
「何からお話ししましょうか」
と、うれしそうにいった。


千代はひとりで人形を相手に
話をしていた。

「びっくりしたわ。
お母ちゃんのおねえちゃんが
あんなにやさしそうな人やなんて」と
いった。

そこへ新次郎が来て
千代を呼ぶ。

そして初めて藍の助を
紹介してくれた。

はつは、和歌山に梨江がきてくれた
と話をした。
はじめてだったらしい。

あさとはつのおしゃべりはまだまだ
続いた。
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藍の助は
商人になるかもと思います。
何気にそう思いますが。。
はつとの出会いは
またまたあさを元気づけて
商売の励みになると
思います。
そして、ミカン農家となった
はつは、地道な努力で
山王寺屋ののれんを
また掲げるのではないかとも
思います。

この、あたり、興味深いです。

まさかと思いますが
藍の助が
千代の婿殿になって
加野屋を継ぐとかってことは
ないでしょうか???
この辺からお話は後継者のことに
なりますね。
あさの生きてきた道を
継ぐ人をあさはこれから
探していくことになる
と思います。