道を照らす人1
五代のスキャンダルに大阪は
ゆれたが、栄三郎、新次郎、あさの
激励で五代は生涯をかけて大阪の
繁栄のために尽くしていくと
宣言した。
しかし、五代は、あさの知らないところで
倒れることがあった。
あさはその後も
よさそうな鉱山の売り出しがあるたびに
その山に足を運びじかに自分の
目で見ながら買い広げて行った。
あさとうめは九州にあって
亀助も元気で働いていた。
夜になってうめが転寝をして
も、あさは、本を読んでいた。
うめは起きるとびっくりして
「まだお勉強していますのか。
寝ないとじきに朝になりますよ」と
いう。
商いの本はすぐに読んでしまった
ので、いまは通常動物というタイトル
の、自然界の動物の本を読んでいる。
子供向けだが
おもしろいという。
学校でこんなことを教えてもらえる
子供たちがうらやましいが
女子は男子の半分もいないらしい。
あさは、女子が教育を受けられて
いないのが気になった。
その本の中にみたことのある
動物が載っていた。
空をみあげる
丸い動物である。
ペングインだと
あさは、うれしく思った。
加野屋に客が来て
「おなごの社長がいるだろう
その社長に合わせてほしい」と
いう。栄三郎が「当主は私ですが」
というが、「あんたと違う」と彼らは
いった。
雁助は「ここにはおなごの社長など
いない」といって追い返した。
弥七は「あれは奥さんのお客さんでは
ないのですか」と聞くが
雁助はじろっと弥七をにらんだ。
丁度先ほどから山崎という
客が弥七の前に座っていた。
弥七は雁助が恐ろしい顔をした
のでちぢみあがった。
雁助は当主の栄三郎をないがしろに
して、あんたと違うとは何事だ
と、怒る。
栄三郎は、よく現実がわかっている。
八代目になって七年もたつのに
あさにはかなわない。
町の衆もこの店の主はあさだと
思っている。
そのことには
もう慣れたという。
雁助は「そんなことない。」という
「元気出してください」と言った。
山崎はじっと
一連の状況を見ていた。
そこへ、あさがうめとともに
帰ってきた。
が、宮下も一緒だった。
雁助は支配人が来たので
おどろいた。
あさ、新次郎、栄三郎、雁助
と宮下が
座敷で西洋料理を食べながら
話す。
宮下は
事故がおこったら都会の金持ちは
山を投げ出すものだが
加野屋さんはすばらしいと
ほめちぎる。
しかし、栄三郎は自分は山を
捨てるつもりだったといった。
宮下は、捨てられないでよかったと
ほっとしている。
あの事故の対応がすばらしく
加野屋には絶大な信用が残った。
宮下は
「今の山があるのも
自分があるのも
みんな奥さんのおかげです」と
いって、あさに礼を言った。
あさは、「櫛田さまとの約束だから
がんばっている」という。
あさは、褒められることには
成れていないという。
宮下はあさをほめちぎったので
あさは、「ごゆっくり」といって
部屋を出てしまった。
「奥さんあっての炭鉱です。
奥さんが来て
あの大きな目で見られたら
石を掘る力も一段とはいる」と
宮下は言った。
あさは、次のことを考えて
いた。
夜、千代を寝かしつけつつ
新次郎に、大事なご相談がある
といった。
「加野炭鉱は偉い大きくなりました。
・・・・・・」
と商いの話をしているあさの
すきを見て
新次郎は、すっと出て行った。
それに気が付きあさは
新次郎を追いかけたが
「そんな話は明日聞くから
宮下に、大阪を楽しんで
欲しい」といった。
そして、宮下を連れて
出て行った。
栄三郎が
でてきて、「どうしましたか」と聞くと
「また美和さんのお店に行くのだろう」と
あさがいう。
「いいえ、今日は天ブラかおうどん
というてました」と
栄三郎が答える。
どうやら一緒に行くらしい。
そして、「大事な話とは
銀行の話ですか」と
きく。あさはおどろいた。
「お金もできたことだから
きっとぼちぼちその話が
でるだろうと思っていた」と
いう。
あさは、驚いて
「ホンマに頭のいい人だすな」と
いう。
栄三郎はびっくりして
「頭がいいってわてのことだすか」と
聞く。
あさは、栄三郎は頭がいいし
小さい時から商売熱心だし
自分の弟の久太郎と
はえらい違いや、立派や
という。
栄三郎は
そんなこと言われるとは
思っていなかったので
ぽかんとした。
あさは、銀行の話をして
「これからのことを思うと
加野屋は
銀行になるべきだ」といった。
「ええ銀行を作って
もっといい商いができたら
大阪はもっと頑張れるはずだす。」
その話を雁助は店の中で聞いて
いた。
「加野屋はそんな銀行になれます」と
いった。
「その他にもう一つご相談が
あるのだけど
でも、またお話します」と
いって「おはようお帰りやす」と
いった。
あさは、久しぶりに大阪商法会議所
に五代を訪ねて
商売の話をした。
ひさしぶりに、五代と話ができて
よかったとあさは喜んだ。
五代も加野屋がどんどん大きくなる
ので、自分も元気が出るという。
あさは、「七転び八起きどころ
か、九つ転び十起きです。
でも、五代さますこしお顔の色が
悪いですよ。
お痩せになったようですし。」
あさは心配した。
五代は大丈夫だという。
あさは、この間炭鉱で読んでいた
子供の本を出して
ペンギンの話をしようと
したとき
三坂が来客を告げに来た。
あさは、五代に
「お話も聞けたので
失礼します」という。
「何か話が合ったのでは」と
五代が聞くと
「些細なことです」と
あさは答えた。
五代は「商売の話ではなく
些細なことという話を
本当は聞きたい」という。
あさは、「いつかまたきっと」
といった。
五代は立ち上がって三坂と
一緒に出て行こうとした。
あさは、五代の後姿にむかって
いった。
「お忙しいと思いますが
どうか、おからだはお大切に
してください。
いくらお酒が御強いと
いってものみすぎは・・・」
五代は立ち止まって
背中のまま言った。
「おおきに。
ほんまそうですな。
そやけど・・・」
五代はふりむいてあさに
向かっていった。
「もし、私が死んでも
五代が作った大阪は
残ります・・・。
我々はいつもそないな
仕事をセナあきません。」
そういってくるっと振り向いて
さっと出て行ってしまった。
あさは、五代の目を見て
はっとした。
そして、小さな不安が生まれた。
**********************
金持ちに対して
世の中の人は
嫉妬なのか
よく、けちだの
ごうつくばりだの
金儲け主義だのと
いうが
官の力ではなく
民間の力は
その土地に根を張っていると
思います。
根付いていくというのでしょうか
必要とされる商売
歓迎される商売は
必ず残ると
思います。
五代が作った大阪・・・
私は京都にいて
大阪は大きくて
とらえどころがない町だと
思います。
大阪名物というのはなんでしょうか。
大阪でこれというものは
なんでしょうか。
吉本の新喜劇
お笑い・・・
それから、大阪城・・
それから海遊館
道頓堀、食い倒れの町・・・
いまは、グランフロント大阪とか
大阪阿倍野ハルカスとか・・
それが有名だと
いうけど
どうでしょうか???
食べ物はおいしいですよ。
特にどことはありません。
どこもです。
お芝居も、歌舞伎も
ありますし・・・
お魚がおいしいので、お寿司もおいしい
ですね。
あと???
これってないですね・・・
大阪を目指していくのは何を目指して
いるのか・・・
京都と違う、スケールの大きさ
ですが、どうも文化的に
広がりすぎて、ポイントが
ぼやけているようです。
京都では
あれをかって
これを買ってという
お土産がありますが
大阪のお土産って
どうですか?
岩おこし・・・
これは京都にありません。
酒まんじゅうのおいしい店
もありますが・・・
たこやき、お好み焼きは
関西どこでもあります。
串カツも、おいしいですが
大阪だけではありません。
小倉やの昆布・・・・
えびすめかな??
京都には松前やさんが
あります。
でも、私は、大阪に行くと
うれしくなります。
元気だし
商売熱心なお店が多いし。
阿倍野ハルカスのデパ地下に
もう一度行きたいと
思っています。
あそこの魚屋さんは
威勢がいいです。
お魚は大阪にかないません
ので。
五代のスキャンダルに大阪は
ゆれたが、栄三郎、新次郎、あさの
激励で五代は生涯をかけて大阪の
繁栄のために尽くしていくと
宣言した。
しかし、五代は、あさの知らないところで
倒れることがあった。
あさはその後も
よさそうな鉱山の売り出しがあるたびに
その山に足を運びじかに自分の
目で見ながら買い広げて行った。
あさとうめは九州にあって
亀助も元気で働いていた。
夜になってうめが転寝をして
も、あさは、本を読んでいた。
うめは起きるとびっくりして
「まだお勉強していますのか。
寝ないとじきに朝になりますよ」と
いう。
商いの本はすぐに読んでしまった
ので、いまは通常動物というタイトル
の、自然界の動物の本を読んでいる。
子供向けだが
おもしろいという。
学校でこんなことを教えてもらえる
子供たちがうらやましいが
女子は男子の半分もいないらしい。
あさは、女子が教育を受けられて
いないのが気になった。
その本の中にみたことのある
動物が載っていた。
空をみあげる
丸い動物である。
ペングインだと
あさは、うれしく思った。
加野屋に客が来て
「おなごの社長がいるだろう
その社長に合わせてほしい」と
いう。栄三郎が「当主は私ですが」
というが、「あんたと違う」と彼らは
いった。
雁助は「ここにはおなごの社長など
いない」といって追い返した。
弥七は「あれは奥さんのお客さんでは
ないのですか」と聞くが
雁助はじろっと弥七をにらんだ。
丁度先ほどから山崎という
客が弥七の前に座っていた。
弥七は雁助が恐ろしい顔をした
のでちぢみあがった。
雁助は当主の栄三郎をないがしろに
して、あんたと違うとは何事だ
と、怒る。
栄三郎は、よく現実がわかっている。
八代目になって七年もたつのに
あさにはかなわない。
町の衆もこの店の主はあさだと
思っている。
そのことには
もう慣れたという。
雁助は「そんなことない。」という
「元気出してください」と言った。
山崎はじっと
一連の状況を見ていた。
そこへ、あさがうめとともに
帰ってきた。
が、宮下も一緒だった。
雁助は支配人が来たので
おどろいた。
あさ、新次郎、栄三郎、雁助
と宮下が
座敷で西洋料理を食べながら
話す。
宮下は
事故がおこったら都会の金持ちは
山を投げ出すものだが
加野屋さんはすばらしいと
ほめちぎる。
しかし、栄三郎は自分は山を
捨てるつもりだったといった。
宮下は、捨てられないでよかったと
ほっとしている。
あの事故の対応がすばらしく
加野屋には絶大な信用が残った。
宮下は
「今の山があるのも
自分があるのも
みんな奥さんのおかげです」と
いって、あさに礼を言った。
あさは、「櫛田さまとの約束だから
がんばっている」という。
あさは、褒められることには
成れていないという。
宮下はあさをほめちぎったので
あさは、「ごゆっくり」といって
部屋を出てしまった。
「奥さんあっての炭鉱です。
奥さんが来て
あの大きな目で見られたら
石を掘る力も一段とはいる」と
宮下は言った。
あさは、次のことを考えて
いた。
夜、千代を寝かしつけつつ
新次郎に、大事なご相談がある
といった。
「加野炭鉱は偉い大きくなりました。
・・・・・・」
と商いの話をしているあさの
すきを見て
新次郎は、すっと出て行った。
それに気が付きあさは
新次郎を追いかけたが
「そんな話は明日聞くから
宮下に、大阪を楽しんで
欲しい」といった。
そして、宮下を連れて
出て行った。
栄三郎が
でてきて、「どうしましたか」と聞くと
「また美和さんのお店に行くのだろう」と
あさがいう。
「いいえ、今日は天ブラかおうどん
というてました」と
栄三郎が答える。
どうやら一緒に行くらしい。
そして、「大事な話とは
銀行の話ですか」と
きく。あさはおどろいた。
「お金もできたことだから
きっとぼちぼちその話が
でるだろうと思っていた」と
いう。
あさは、驚いて
「ホンマに頭のいい人だすな」と
いう。
栄三郎はびっくりして
「頭がいいってわてのことだすか」と
聞く。
あさは、栄三郎は頭がいいし
小さい時から商売熱心だし
自分の弟の久太郎と
はえらい違いや、立派や
という。
栄三郎は
そんなこと言われるとは
思っていなかったので
ぽかんとした。
あさは、銀行の話をして
「これからのことを思うと
加野屋は
銀行になるべきだ」といった。
「ええ銀行を作って
もっといい商いができたら
大阪はもっと頑張れるはずだす。」
その話を雁助は店の中で聞いて
いた。
「加野屋はそんな銀行になれます」と
いった。
「その他にもう一つご相談が
あるのだけど
でも、またお話します」と
いって「おはようお帰りやす」と
いった。
あさは、久しぶりに大阪商法会議所
に五代を訪ねて
商売の話をした。
ひさしぶりに、五代と話ができて
よかったとあさは喜んだ。
五代も加野屋がどんどん大きくなる
ので、自分も元気が出るという。
あさは、「七転び八起きどころ
か、九つ転び十起きです。
でも、五代さますこしお顔の色が
悪いですよ。
お痩せになったようですし。」
あさは心配した。
五代は大丈夫だという。
あさは、この間炭鉱で読んでいた
子供の本を出して
ペンギンの話をしようと
したとき
三坂が来客を告げに来た。
あさは、五代に
「お話も聞けたので
失礼します」という。
「何か話が合ったのでは」と
五代が聞くと
「些細なことです」と
あさは答えた。
五代は「商売の話ではなく
些細なことという話を
本当は聞きたい」という。
あさは、「いつかまたきっと」
といった。
五代は立ち上がって三坂と
一緒に出て行こうとした。
あさは、五代の後姿にむかって
いった。
「お忙しいと思いますが
どうか、おからだはお大切に
してください。
いくらお酒が御強いと
いってものみすぎは・・・」
五代は立ち止まって
背中のまま言った。
「おおきに。
ほんまそうですな。
そやけど・・・」
五代はふりむいてあさに
向かっていった。
「もし、私が死んでも
五代が作った大阪は
残ります・・・。
我々はいつもそないな
仕事をセナあきません。」
そういってくるっと振り向いて
さっと出て行ってしまった。
あさは、五代の目を見て
はっとした。
そして、小さな不安が生まれた。
**********************
金持ちに対して
世の中の人は
嫉妬なのか
よく、けちだの
ごうつくばりだの
金儲け主義だのと
いうが
官の力ではなく
民間の力は
その土地に根を張っていると
思います。
根付いていくというのでしょうか
必要とされる商売
歓迎される商売は
必ず残ると
思います。
五代が作った大阪・・・
私は京都にいて
大阪は大きくて
とらえどころがない町だと
思います。
大阪名物というのはなんでしょうか。
大阪でこれというものは
なんでしょうか。
吉本の新喜劇
お笑い・・・
それから、大阪城・・
それから海遊館
道頓堀、食い倒れの町・・・
いまは、グランフロント大阪とか
大阪阿倍野ハルカスとか・・
それが有名だと
いうけど
どうでしょうか???
食べ物はおいしいですよ。
特にどことはありません。
どこもです。
お芝居も、歌舞伎も
ありますし・・・
お魚がおいしいので、お寿司もおいしい
ですね。
あと???
これってないですね・・・
大阪を目指していくのは何を目指して
いるのか・・・
京都と違う、スケールの大きさ
ですが、どうも文化的に
広がりすぎて、ポイントが
ぼやけているようです。
京都では
あれをかって
これを買ってという
お土産がありますが
大阪のお土産って
どうですか?
岩おこし・・・
これは京都にありません。
酒まんじゅうのおいしい店
もありますが・・・
たこやき、お好み焼きは
関西どこでもあります。
串カツも、おいしいですが
大阪だけではありません。
小倉やの昆布・・・・
えびすめかな??
京都には松前やさんが
あります。
でも、私は、大阪に行くと
うれしくなります。
元気だし
商売熱心なお店が多いし。
阿倍野ハルカスのデパ地下に
もう一度行きたいと
思っています。
あそこの魚屋さんは
威勢がいいです。
お魚は大阪にかないません
ので。
