新春恋心の行方6
祝言というと忘れられない
ことがあるあさがいう。
新次郎が当日
紅葉狩りに行って
いなかったことを
いう。
新次郎は、
祝言の夜に投げ飛ばされた
こともあった。
忘れられないといった。
「堪忍だす」とあさはあやまった。

「あのころはどうなるのかと
思ったら
どないかなるものだすな」と新次郎は
いう。

千代もきれいに着物をきた。
新次郎は千代を嫁に出さないと
いうが、
「そんなわけにはいかない」と
あさはいう。

うめはきれいになった花嫁姿の
ふゆをみて、「まさか自分が
ふゆの嫁入りの見送りをすることに
なるやなんてな」と感慨深げに言った。

ふゆは「すんまへん」という。
「何で謝りまのや?
謝ったら嫁に行かへん
わたしがやっかんでいる
みたいだすがな。

これは私が選んだ道だす。
縁談も色恋もこのさき
関係ありません。
そやけど誰かを思うと
胸が暖かくなる」と
うめがいう

「あんたはまだまだ若いから
亀助さんを助けて
いいお嫁さんになりますのやで」
という。

ふゆは
「はい」と返事をした。

そこへ、新次郎に目隠しされた亀助が
やってきて
新次郎が目隠しを取ると

目の前にふゆがいた。

あまりにもきれいなので
びっくりする亀助。

よのもあさも
ふゆのお嫁さん姿はきれいだと
いった。
そんなとき、
店に雁助が帰ってきた。

うめは知らずに店に栄三郎を
よびにいって雁助に合う。
驚くうめだった。

金屏風の前にふゆと雁助がならんで
写真を撮った。

なかなか笑えない亀助だった。

祝言も無事に終わった数日後
亀助とふゆは
ふたりで炭鉱に行かせてほしいと
申し出る。

亀助はふゆに炭鉱を見せたいと
いう。
あさがどんなことをして抗夫さんたち
の気持ちをつかんだかを話してやりたい
といった。

ふゆは九州のおなごさんは
気が利いてよく働くというので
勉強させてもらいたいと
いう。
雁助はこれで加野屋にいることに
なった。
雁助は「余計な気を使いやがって」
といった。

美和のレストランでカレーを食べる
あさと新次郎。

美和はあさは常連だと新次郎に
いった。
最近はあさは、千代とうめとふゆで
アイスクリンを食べに来た。
美和は女同士のおしゃべりは楽しいと
いった。
そこへ五代が人を連れて
やってきた。
ひとりは業界紙の記者。
もうひとりは福沢諭吉の紹介で
東京からきた相談役であるという。
今度は商業を学べる学校を
作る予定だと
五代は言う。
商家の子供たちに若いころから
経済学や経営学、商売の英才教育を
する予定だ。

「できた暁にはぜひ
あささんにも学校へ入ってほしい」と
いった。
あさは「ぜひとも」
と入学したい意志をみせた。

五代はあさを彼らに紹介した。

新次郎は、「五代を見ていると
自分が何もしていないあほみたい
だと感じる」と美和に言う。

美和は、「何でも簡単に引き受け
はるから。
新次郎には新次郎のよさがある」と
いう。

あさは、何を話しているのかと
気になった。

美和は五代に二階に部屋を取って
いるといって案内した。
新次郎も五代に挨拶に行った。
そのまま二階へいったようだ。

ひと心地ついた美和は
あさに、新次郎と五代はふたりで
時々ここで飲んでいると
ばらした。

おどろくあさだった。

その夜、加野屋は
のれんもしまって
店を閉めた後
雁助は
「両替商もボチボチですな。
炭鉱と比べて
扱っているお金の単位が違う」と
いった。

あさは、銀行の話をしようと
したら、雁助は
「銀行は反対だす」と
きっぱりという。

「そやけど・・・
今日は目出度い門出の話のあと
なので、この話は又にしましょう」と
いった。

ふと自分のそろばんを見たあさは
あることを
思い出した。

それを新次郎に言うあさ。

「うちにもありました。
どきどきしたことだす。

決まった許嫁さんがいて
そのままお嫁に来て
誰かを思ってドキドキ
なんてしたことないと
思っていたけど・・」

あの子供のころ、押し入れに
入れられたあさに
新次郎がそろばんを
ふすまの隙間からそっと
渡してくれた。
かわいい、あかいそろばんだった。

新次郎は
「ちょっとふってみ?」

という

あさは、「ええの???」

といってふるときれいな音がした。

「わぁ~~ええおと。」


「あははは
あさちゃんもええ顔や。」


「うちの初めての思い人は
旦那様やったんやな・・・」

「わてもだす。
なんべんあさに惚れ直していること
か・・・」

「うちもだす・・」

ふたりは
そろばんをみて
よりそった。

ふゆと亀助は
やがて
一緒に九州にいく日となった。

そして・・・
めでたい話は栄三郎にも。

よのは新次郎と
栄三郎を連れて
栄三郎の許嫁の所へ
いった。

あまり気の進まない栄三郎だ
ったが
その娘は、まだ
丸髪のあのころの
あさのようなかわいい
女の子だった。

そのこが笑って栄三郎を
みた。

栄三郎もうれしくなったようだ。

さて、あさは、国立銀行の
新聞記事を読んでいた。

「銀行かぁ~~~~」
とつぶやくと

千代は
「銀行
銀行・・」

と、銀行という言葉を
覚えて意味もなく
つぶやいていた。
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こうして加野屋は
一件落着と
なりましたということでしょうか。
去年からの引き続きの問題は
解決しました。
4日から本年の放送が始まって
ようやく、一件落着。

いよいよ、あさの経営者としての
活躍が見られます。

が・・・

時代は明治。

女性が思い通りに事を運べるかと
いえば・・・
なかなかだったと思います。

しかし雁助は
なぜ、銀行に反対をする
のでしょうか。